いちごは赤いだけではない!
いちごは赤色が定番ですが、近年では白色のいちごも市場に出回っています。もともと白いいちごは自然が偶然生み出したものでした。白いいちごを食べた農家の人たちがその美味しさに驚き、多くの人に味わってほしいと品種改良を重ね、現在では数種類の白いいちごが食べられています。
白いいちごはなぜ白い?
いちごが赤いのは、アントシアニンによるものです。いちごは栽培の段階で果皮に光が当たると、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが発生する性質があります。対して白いいちごは果皮に光が当たっても、アントシアニンが発生しない遺伝子を持っています。品種によっては熟成するにつれて淡いピンク色へと変化する白いいちごもありますが、果肉の中身は白いままです。
白いいちごの特徴
特徴①見た目
白いいちごの大きさは赤いちごと比べると大きく、ずっしりとした重みと弾力があります。色は乳白色または淡いピンク色で、黄緑色や赤色の粒が果皮を覆うようにびっしりとついています。
贈答品としても人気
白いいちごは果皮が少し硬く、日持ちするのも特徴です。そのため入学・入社祝いや開店祝いなどの贈答品として人気を集めています。近年では赤いいちごをセットにした「紅白いちご」や、赤・白・ピンク(または濃い赤)のいちごをセットにした「3色いちご」も人気です。
ボタニ子
日持ちできても生ものなので、貰ったら早めに食べましょう!
特徴②味
果皮を覆っている粒が赤くなったら、白いいちごの食べ頃です。白いいちごは甘味が強く酸味が少なめなのが特徴です。いちごの酸っぱさが苦手な人でも美味しく食べられます。品種によっては爽やかな甘い香りを放つ白いいちごもあり、赤いいちごでは味わえない歯ごたえのある食感と風味が楽しめます。
特徴③栄養
白いいちごの栄養は赤いちごとほぼ一緒です。いちごにはビタミンCやペクチンと呼ばれる食物繊維が含まれているため、風邪予防や美肌づくり、疲労回復や整腸作用の効果が期待できます。しかし赤いちごに含まれるアントシアニンは白いいちごに少量、または含まれておらず、眼精疲労を緩和する効果は期待できません。
白いいちごの品種
品種①淡雪
「淡雪」は、数ある白いいちごの中ではポピュラーな品種です。収穫時期は12月~4月で、少し小ぶりの円錐形で薄いピンク色、果肉の断面が白くなっています。この白さは熟成が進んで食べ頃になっても損なわれません。産地は九州地方が中心で、主に福岡県産の淡雪が市場に多く出回っています。
品種②エンジェルエイト
「エンジェライト」は、いちご栽培初心者でも失敗なく育てられるよう開発された、家庭園芸用の品種です。ほかの品種に比べると収穫時期が1カ月遅いですが、四季咲き性のため長い間(7月ごろまで)収穫が楽しめます。少し丸みがかった形で、酸味と甘みのバランスが絶妙なところが魅力です。果皮を覆っている粒が赤くなってきたら食べ頃です。
品種③真珠姫
「真珠姫」は、「パールホワイト」の開発から2年後に、産地のひとつである奈良県で開発された白いいちごです。果皮だけでなく果肉・粒も白いのが特徴で、熟しても赤色の色素がでない純白のいちごです。果肉には多くの水分が含まれており、食べ頃になると甘い香りを放ちます。「真珠姫」を栽培している農家や産地が少なく、主に贈答品として販売されています。
品種④パールホワイト
「パールホワイト」は、「真珠姫」の元になった品種の白いいちごです。「パールホワイト」という名は愛称で「イロハ-001」の名で品種登録されています。縦長の卵型で、熟成が進むにつれて白色から少し淡いピンク色に変化し、粒の部分が赤くなるのが特徴です。食べ頃になると甘味が増し、優しい風味が味わえます。収穫時期は12月~4月です。
品種⑤初恋の香り
「初恋の香り」の名は、ほんのり淡いピンク色が初恋を連想させることからつけられました。「白いちご」として市場へ登場するきっかけとなった品種です。関東・東北地方のいちご産地である山梨県の種苗会社と、福島県内の育種者の共同開発によって誕生しました。ほかの白いいちごより収穫時期が少し長めの11月~5月で、契約農家のみ栽培されています。
品種⑥ミルキーベリー
「ミルクベリー」は、牛乳のようなクリーム色がかった果皮から命名されました。関東一のいちご産地である栃木県で生まれた品種です。「栃木iW1号」で品種登録された後、県民から公募によってミルクベリーに決まりました。牛乳のようなコクのある甘味が特徴で、赤いちごの「スカイベリー」と対になるように「紅白いちご」として販売されています。
品種⑦雪うさぎ
「雪うさぎ」は、成長するにつれて赤くなる果皮を覆う粒が、うさぎの目のように見えることから命名されました。果皮に光沢があり冬季は白色ですが、気温的に暖かくなると薄いピンク色に変化する特徴があるため、春には「桜いちご」という名で市場へ出荷されます。収穫時期は12月~5月で、産地は九州地方が中心です。フルーティーな甘い香りがしたら食べ頃です。
白いいちご狩りができるスポット4選
【山梨県】グルメいちご館前田
人気の「グルメいちご館前田」は、プライベートエリア制のため制限時間を気にすることなく、いちご狩りが楽しめるスポットです。園内で栽培されているオリジナルの白いちご「ホワイトベリー」を含めた4種類のいちごは、糖度20度を超えた甘さを誇ります。またいちごを通して食の安全を第一に考えていることも、大勢のリピーターから支持されている理由です。
【長野県】軽井沢ガーデンファームいちご園
「軽井沢ガーデンファームいちご園」は、一年中いちご狩りが楽しめるスポットです。いちご狩りには「スタンダードコース」「プレミアムコース」「コンプリートコース」の3種類のコースが用意されていますが、白いちご「真珠姫」が食べられるのは「コンプリートコース」のみです。また「コンプリートコース」では、自分で摘み取ったいちごをお土産として持ち帰れます。
【大阪府】BERRYPARK(ベリーパーク) いずみの
「BERRYPARKいずみの」は、道の駅「いずみ山愛の里」に隣接するいちご農園です。3種のいちご(赤色の「とちおとめ」、白色の「エンジェルエイト」、ピンク色の「桃薫」)の食べ比べも体験できます。また、いちごを使ったジュースやスイーツも用意されているなど、来場者を飽きさせないのが魅力です。
【福岡県】うきは果樹の村「やまんどん」
「やまんどん」は、いちごをはじめ、一年中フルーツ狩りが体験できる果樹園です。2.3haの広大な果樹園内にあるハウスでは、個数限定で30分間白いちご「淡雪」が食べられます。いちご狩りが終わった後は、園内にあるカフェ「夢語寄家(むぎょか)」で、期間限定のとれたていちごを使ったケーキやランチが味わえます。
白いいちごをもっと気軽に楽しもう
白いいちごの品種や産地は、赤いいちごに比べると少なめです。しかし、生産者の白いちごに対する熱意と品種改良によって、日本各地へと広がってきました。白いちごには高価な贈答品というイメージを持たれがちですが、近年では白いちごを気軽に楽しめるいちご狩りも各都道府県にあります。家族や友人と、食べ頃の白いいちごを求めて出かけてみるのもおすすめです。
出典:写真AC