うどんこ病は、葉や茎の表面が白く粉をはたいたようになる病気です。バラや野菜・草花・樹木など、ほとんどの植物に発生します。ウドンコカビと呼ばれる真菌が原因で、菌の種類が多くバラや野菜など植物によって菌の種類がそれぞれ異なるため、薬剤選びが難しい病気です。薬剤耐性の高さもうどんこ病の特徴で、同じ農薬を使い続けていると効果が出なくなってしまうことがよくあります。
うどんこ病の症状は葉の表面や茎だけでなく、花のつぼみなどが真っ白くなるのが特徴です。白い粉のように見えるものはカビの出す胞子で、風に乗って周辺の植物にも広がります。葉の表面が胞子で真っ白く覆われてしまうと、光合成ができなくなりやがて葉が枯れ落ちてしまいます。
うどんこ病の初期症状は、葉の表面がうっすらと白くまだらになります。この段階で葉ごと切り取って処分すれば、周りに被害が広がるのを防げます。菌が広がるのを防ぐためには、摘み取った葉を放置せずゴミとして処分するのが大切なポイントです。
うどんこ病が発生する原因は、ウドンコカビと呼ばれる真菌です。生きた植物にしか寄生しない菌で、春〜秋にかけて発生します。冬は雑草などに寄生して休眠するため、花壇や菜園では毎シーズン繰り返し発生するのが特徴です。農薬が効きづらいうどんこ病は、完治するのがとても難しい病気のひとつです。
うどんこ病が発生しやすい時期は、春〜秋です。原因菌はカビの一種で適温は24〜32℃のため、真夏の猛暑日には菌の活動が鈍ります。春のピークは5〜7月、秋のピークは9〜10月です。春と秋の主な園芸シーズンとうどんこ病のピークが重なるため、こまめに観察して早めに対策をしたい病気ですね。
うどんこ病が発生する植物は、ほとんどの植物といえます。バラ・草花・花木・野菜・果樹・多肉植物・観葉植物などです。特に花だんや家庭菜園では、うどんこ病の原因菌が休眠しやすい環境が整っているため、発生リスクが高まります。うどんこ病には雑草対策も、重要なポイントです。
初期症状は葉の表面がうっすらとまだらに白くなります。広がると葉や茎・花びらの表面が全体的に白く粉をはたいたようになり、つぼみが開かないこともあります。バラやアジサイなどの花木や宿根草がうどんこ病にかかると、生育も見映えも悪くなります。
最初はまだらに白っぽくなるのが特徴です。家庭菜園では、毎シーズン繰り返し発生することがあります。キュウリなどのウリ科の夏野菜は特にうどんこ病にかかりやすいのが特徴です。発生した野菜は水洗いすれば食べられますが、風味が悪くなってしまいます。
イチゴがなんか白いな~と思ってたらうどんこ病やん!!Σ( ̄□ ̄;) pic.twitter.com/p6f10QwIoE
— 梓<あちゃ原レプほすぃ! (@azutan_harutan) April 11, 2015
実物野菜以外には、イチゴなどのベリー類にもうどんこ病が発生します。イチゴは葉が重なり合っていてうどんこ病の発生に気づきにくいため、プランター栽培では特に注意が必要です。
農薬に頼らずうどんこ病を予防するポイント
植物を密植すると湿度が上がりやすくなり、うどんこ病の胞子がすぐに増えてしまいます。適度な間隔を空けて植え付けることで、うどんこ病の蔓延が防げます。
マルチングは水やりや雨の泥はねを防ぐことで、病原菌の増殖を抑えます。雑草対策にもマルチングが効果的です。
野菜の収穫量を増やすために、化成肥料を多用するのは避けましょう。特に窒素肥料を多くなると、植物が軟弱になり病害虫の被害を受けやすくなります。土にも環境にも優しい有機肥料がおすすめです。
うどんこ病の原因菌は植物ごとに種類が違うので、家庭菜園で一度うどんこ病が発生すると次のシーズンにも高い確率で発生します。うどんこ病が発生した植物を連作するのはやめて、ほかの植物を育てましょう。
マリーゴールドなどの身近なコンパニオンプランツを活用しましょう。病害虫を予防したり、植物の成長を助けたりする働きがあります。花と野菜やハーブを一緒に育てる、ポタジェも注目されています。
住友化学園芸 殺菌殺虫剤 ベニカXガード粒剤 550g
参考価格: 1,711円
微生物BT菌(バチルスチューリンゲンシス菌)の働きで、うどんこ病の予防に効果があります。植え付けるときに土に混ぜたりまいたりするだけの、手軽な殺虫殺菌剤です。ほかの殺菌剤などと組み合わせて、上手に活用しましょう。
おすすめ度 | ★★★ |
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容量 | 250g、550g |
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殺菌成分 | BT菌 |
プロの農家などでも実践している方法が、うどんこ病の薬剤体制を抑えるローテーション散布です。タイプの違う複数の薬剤を用意し、順番に散布してうどんこ病の予防と治療を行います。より少ない量と回数で農薬の働きを高める、効果的な方法です。ローテーブル散布はうどんこ病だけでなく、アブラムシなど薬剤が効きづらいほかの病気や害虫の対策にも効果的です。
同じ作用の殺菌剤に繰り返してさらされると耐性菌が増殖しやすくなります。病原菌は生育に好適な条件においては急速に蔓延するので、殺菌剤の防除効果が急に低下して、作物の収量や品質に影響します。異なる作用の殺菌剤とローテーション散布すると、耐性菌の密度を低下させることができます。
うどんこ病に効果のある市販の殺菌剤や殺虫殺菌剤を、農薬工業会情報を元にタイプ別に分類して具体的に紹介しています。ローテーション散布について、さらに詳しく知りたいかたは下の記事をチェックしてくださいね。
ローテーション散布の方法はタイプの違う薬剤を2〜3種類用意して、2週間に1回のタイミングで順番に散布します。うどんこ病に効く殺菌剤とアブラムシに効く殺虫殺菌剤を組み合わせると、より少ない回数で害虫対策が同時にできます。
住友化学園芸 殺虫殺菌剤 ベニカマイルドスプレー 1000ml
参考価格: 841円
食品成分を使用したより安全性の高い薬剤が市販されています。ただし同じ薬剤を使い続けることで薬剤耐性ができてしまうため、他の薬剤と併用するローテーション散布に加えるのがおすすめです。
主成分 | 還元澱粉糖化物 |
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適用作物 | 果樹、野菜、花き、観葉植物 |
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適用病害虫 | うどんこ病、アブラムシ、ハダニ、コナジラミ |
うどんこ病に農薬が効かない理由は?
うどんこ病に農薬が効かない理由は、原因菌の種類が多いことと、薬剤耐性の高さによるものです。同じ症状に見えても、バラとキュウリでは原因菌に違いがあります。また、同じ農薬を使い続けると、本来の効果が出なくなります。薬剤体制を抑えるには、タイプの違う薬剤を使い回すローテーション散布がおすすめです。
なぜうどんこ病は繰り返し発生するの?
うどんこ病が繰り返し発生する理由は、原因菌が活動と休眠を繰り返しているからです。寒くなるとうどんこ病が発生しないため、病気が治ったように感じられますが、実際には雑草などに寄生して休眠しています。気温や湿度が上がり植物に寄生できる環境が整うと、すぐに活発に菌が活動を始めます。
出典:写真AC