うどんこ病って何?
ガーデニングや家庭菜園をしていると、必ずといっていいほど聞く「うどんこ病」ですが、どんなものかご存じでしょうか?多くの植物に発生しやすいものですので、他人事とは思わずに、症状や対策をきちんと知っておくと、安心して園芸を楽しむことができますよ。そんなちょっと厄介な植物の病気「うどんこ病」について詳しくご紹介します。
症状
うどんこ病は、植物にカビの菌が付き、繁殖してしまう病気です。ほとんどの植物に発生しますが、種類によって病原菌が違うという厄介な点があり、特に家庭菜園で人気のキュウリやトマト、ガーデニングをする人の多くが憧れるバラに発生しやすいようです。しかし、見た目でも分かりやすい病気でもあり、マメに様子を見るようにすれば発見することができます。見つけたらすぐに対策するようにしましょう。
うどんこ病を発症した植物の見た目
うどんこ病は、植物の葉が白く粉状のものに覆わたような状態になってしまいます。一度発生し枯れた部分を、治療して回復させることはできません。そのままにしておくと繁殖し、広がってしまいます。つぼみは開花が阻害されますし、トマトはヘタや果柄にも発生します。ウリ科の植物は、黄色く変色し果実が曲がる原因になります。
進行すると枯れてしまう
うどんこ病は見た目でも汚らしく、みにくくなってしまいます。そして何より繁殖したカビが葉全体を覆うと、光合成ができなくなってしまうため、最悪の場合、植物そのものが枯れてしまいます。また、近くにあるほかの植物に次々とうつってしまうこともあります。バラは特に被害が出やすく、ほとんどの品種で発生しますので、その対策を知らなければ上手に育てていくことができません。庭の植物を全滅させてしまう可能性もありますので、放置せずに対策してください。
原因
うどんこ病は、土の中などに住み着いたカビの一種である「糸状菌」が、植物について葉から養分を奪い繁殖することで発生します。気温が高く、カビとしては意外にも乾燥した環境を好みます。糸状菌は風などに乗って植物に付着しますので、それ自体を予防することは非常に難しいのです。そのため、葉に糸状菌がついてしまっても繁殖させないように殺菌効果のあるものを使用して対策する必要があります。5月から11月に発生することが多く、夏場は特に繁殖しやすい病気です。
うどんこ病を治療する方法
植物にうどんこ病が発生してしまった場合は、他の葉や植物にうつってしまわないように、その部分の葉を切り取るという治療方法が一番簡単で確実です。早い段階なら見た目にも響かずきちんと対策することができます。でも、発生したばかりで大半が元気な状態の葉を切り取るのは心苦しいですよね。そういうときは繁殖を抑えるために、しっかり殺菌し自然治癒を待つ方法もあります。特に夏場は繁殖しやすいですが、回復しやすい時期でもありますので、まずはこれで様子を見ると良いかもしれません。
市販の農薬を使用する
うどんこ病の対策には、市販の農薬を使用する方法があります。何を使用する場合でも同じですが、なるべく早い段階で使用するほうが効果があります。また、発生率の高い病気ですので、園芸用品店にはたくさんの種類が販売されています。特定の種類の植物にだけ繁殖する種類もありますので、農薬を購入する際は使用する植物の種類に合ったものを選ぶ必要があります。よくわからない場合はお店の人に聞いてみると良いでしょう。
重曹を使う
農薬を使用すると、少なからず植物に負担をかけることが多いです。子供がいる場合や、野菜など口にするものに使うのは気になるなど、なるべく農薬を使いたくないという方が多いと思います。そんなときは、食品としても使われる「重曹」を使ってスプレー使うと、発生部分を殺菌し繁殖を抑えることができます。それで抑えることができれば、植物全体が自然に回復していきます。
重曹スプレーの作り方
作り方はとても簡単で、濃度さえ間違わなければ大丈夫です。まず霧状になるスプレーボトルを用意します。そこに水500~1000㏄に対して1gの割合で重曹を溶いて入れるだけで、重曹スプレーの完成です。天然素材で掃除にも便利なので、家に常備しているという方も多いのではないでしょうか?掃除用の重曹でも大丈夫ですが、より安全にと思う場合は、食品用の重曹を選んで使用することをおすすめします。効果はどちらも変わりません。
重曹スプレーの使い方
作った重曹スプレーをうどんこ病にかかっている部分の葉に吹きかけます。効果があまり感じられない場合は、少し放置し、乾いたらまた吹きかけることを何度か繰り返すことで、効果がアップしますよ。ただし、あまり使いすぎても植物には負担になりますので、少ない回数で効果を感じられる程度の初期にだけ、有効な方法と考えて使用することも忘れないでください。これで効果がない場合は、諦めて薬剤の使用を検討することも、植物を守るためには必要です。
重曹スプレーの注意点
作り方は簡単ですが、水に重曹を溶くときは、必ず濃度を守りましょう。濃すぎる場合、植物に負担をかけるため、奇形になったり、葉が硬くなったりすることがあります。最悪の場合、枯れてしまい、うどんこ病対策の意味が根本からなくなってしまいます。初めて使う場合は、人のパッチテスト同様に、一部分に吹きかけて様子を見ると安心して使えます。適性量を守って使うことで、安全で高い効果を得られますので、使い過ぎにも注意しましょう。
うどんこ病を予防するためにできる対策法
うどんこ病の原因は糸状菌という自然にあるとても小さな菌ですので、それを全て排除することはできませんが、予防法として菌を繁殖させない環境にすることが重要になります。発生してしまってからでも、あきらめずにに対策することで、繁殖を予防する効果もありますので、ぜひ試してみてください。うどんこ病にかかって落ちた葉も、そのままにせず取り除いたり、近くの雑草も一緒に除去したりするなどの小さな手間が、植物を守ることにつながりますよ。
育てる環境を整える
植物の生命力を最大限に生かせるように、それぞれに合った日当たりが確保できる場所で育てることが、一番重要になります。また、糸状菌の好む環境を作らないために、定期的に水やりをして湿度を適正に保ちましょう。土のカリウムを不足させないよう肥料分にも注意すれば発生率を下げることができます。ただし、水を与えすぎて過湿状態になると別の病気を発生させてしまうので注意してください。特にバラは加湿で黒点病を引き起こします。
剪定などの手入れを行う
湿度を適正に保つことを目的として、茂った部分の葉や枝を選定し整えておくことも大切です。重なり合った部分が少なくなることで、湿度が高くなりすぎることも防ぎますし、それぞれの葉に水やスプレーが効率よくかかりますので、きちんと殺菌することができます。また、うどんこ病が発生してしまった場合も、他の葉へうつる可能性を下げてくれる効果も期待できますよ。バラもときには思い切って剪定して、健康な状態を保ちましょう。
まとめ
うどんこ病は放置してしまえばどんどん繁殖してしまい、植物を見るも無残に枯らしてしまう病気ですが、きちんと手入れをしていれば気が付きやすいものでもあります。発生させない対策をすることと合わせて、早期発見、早期治療をすれば大切な植物を守ることができますので、あまり怖がらないようにしましょう。対策を前もって考えておくことで、ガーデニングがさらに楽しく上手になるでしょう。
出典:写真AC