園芸部類 | 野菜 |
形態 | 一年草 |
樹高 | 30cm(収穫の適期) |
花の色 | 主に白 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 弱い |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
エンサイは高温多湿の夏に収穫できる、数少ない葉野菜です。栄養価も非常に高く、カリウム、ビタミン類、カルシウム、マグネシウム、鉄分、食物繊維などさまざまな栄養がたっぷりと含まれています。葉に苦みがあるので加熱して食べることが多いですが、加熱しても栄養成分の含有量が多いです。
エンサイは近年、独特な食感と味・栄養価の高さに注目されるようになったため栽培者も増えましたが、全国に流通するほどの生産量はなく品種も基本的に同じです。ただし同じ品種でも、販売されている種によって葉の大きさに若干の違いがあります。
エンツァイは生産地である中国で広く栽培される品種で、収穫適期の葉の大きさがやや細長いのが特徴です。味や育て方、栄養価などは日本国内で栽培されるエンサイと変わりません。種からの栽培が一般的で、園芸店やホームセンターなどで購入できます。
ウンチェーは主に沖縄地方で栽培されるエンサイです。ウンチェーという呼び方は沖縄の方言で、ウンチェーバーも同じです。中国野菜のエンツァイと比べると葉が大きいのが特徴で、暑さだけでなく強烈な紫外線を受けても枯れないほど生命力の強いエンサイです。
エンサイは気温の高い夏に収穫時期を迎える夏野菜なので、栽培する時期も夏が中心です。以下の栽培時期は一般的な目安ですが、暖地では栽培スケジュールと実際の作業のタイミングがずれる場合があります。
植え付け時期 | 4月中旬~8月下旬(栽培地域によっては9月下旬までOK) |
花が咲く時期 | 5~10月(※食用の場合は花が咲く前に収穫) |
実がなる時期 | 実はつかない |
収穫時期 | 6~10月頃 |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
植え付け 植え替え |
○ | ● | ● | ● | ● | ○ | ||||||
開花期間 | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
肥料 | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
成長期 | ○ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
休眠期 | ● | ● | ● | ● | ● |
エンサイは高温多湿で日照時間が長い場所を好む野菜です。春~秋にかけて温暖な地域でなければ、ハウス栽培を除いて基本的に栽培できません。一般的には5~8月が栽培適期ですが、エンサイの栽培に適している沖縄・八重山諸島では3月下旬~9月下旬までが栽培適期とされています。
エンサイは栽培に適した環境が整ってることが栽培するうえで唯一の条件なので、鉢植えや庭植え、地植えのいずれの方法でも栽培できます。樹丈が20cmを超えたら収穫可能ですが、つるのような茎に葉をたくさんつけるため、収穫量を増やすなら庭植えまたは地植えがおすすめです。
エンサイは屋外で育てるのが基本です。エンサイを観賞用に栽培する場合は室内で栽培することもありますが、日当たりのよい場所で栽培することでエンサイ独特の苦みと豊富な栄養成分を作るため、小さなスペースでもよいので屋外で育てましょう。
エンサイの用土はアルカリ性(または中性)に近いほうがよいため、酸性が強い用土の場合は土壌改良が必要です。特に近年は酸性雨となっているため、地植えする場合は土の酸性度をチェックしてください。なお土壌改良には、基本用土に苦土石灰を混ぜるのがおすすめです。
エンサイの栽培は種から育てるのが基本なので、苗の植え付けは行いません。初心者にとって種まきからの栽培はハードルが高いかもしれませんが、特にコツもいりませんし、種まき後の管理も簡単なのでぜひチャレンジしてください。
エンサイの種は気温20~25℃で発芽するので、発芽に適した温度が安定して続く際に種まきをしましょう。エンサイは1週間~10日で発芽しますが、種まき前に種を水に1日程度ひたすと発芽しやすいです。エンサイの株間を30cmあけ、深さ10cm前後の種まき穴に2~3粒を目安に種まきします。
エンサイが発芽したら、葉が2枚になったタイミングで間引きをします。間引く際は、1つの種まき穴から発芽したエンサイのうち生育のよい苗を1~2株残してください。この段階で最初の間引きを行わないと、成長する過程で葉が密集し、日照不足から成長不良を起こします。
エンサイの収穫は草丈が30cmを超えたタイミングで行います。エンサイで食用になるのは先端の10~20cm程度なので、根元の部分は剪定せずそのまま残しておきます。エンサイは収穫してもしばらくすると新しい葉が生えるので、最終的な収穫量は1株あたり平均1~2kgです。
エンサイを初心者が失敗せずに育てるには「乾燥させない」「肥料を切らさない」この2つがポイントです。エンサイの原産地は高温多湿な地域なので、原産地に近い環境をキープしながら栽培することで大きく育ち、夏の期間中つねに収穫が楽しめます。
エンサイの栽培は水やりが重要です。エンサイは高温多湿の環境を好むため、高温多湿の状態が続く梅雨の間は水やりをしなくても大丈夫です。ただし梅雨が明けて日照時間が長くなると、土の中が乾燥し水枯れを起こすためたっぷりと水やりをしましょう。
エンサイの管理では、こまめな追肥が必要です。追肥のタイミングは栽培地域によっても若干違いますが、気候環境が過酷な地域ほど追肥の間隔を短くとるのがポイントです。一般的な追肥は2週間~1ヵ月に1回ですが、沖縄や八重山地方などでは10日に1回のペースで追肥して管理します。
エンサイは初心者でも種まきから育てられますし、栽培中も面倒なお手入れはほとんど必要ありません。生育に適した環境と土があれば問題は起こりにくいですが、まれに生育トラブルを起こすことがあります。
エンサイが収穫時期を迎えても樹丈20cm以上に成長しない場合は、肥料不足と日照不足が原因と考えられます。エンサイは肥料が切れると栄養不足をおこし、収穫時期を過ぎても大きくなりません。また葉が密集した部分を剪定せずに放置すると、日照不足になり成長不良をおこします。
エンサイは高温多湿の環境を好む葉野菜ですが、茎は空洞で害虫がエサにするには硬いため、基本的に対策をしなくても害虫の被害はありません。ただしエンサイが収穫時期を迎える夏は害虫のエサとなる葉野菜が少ないので、エンサイの葉を食害する害虫がいます。
イモキバガは小型の蛾で、食害を引き起こす害虫の一種です。食害をおこすのはイモキバガの幼虫で、本来はサツマイモの葉を主に食べますが、エサがないとエンサイの葉も食べます。イモキバガは乾燥した環境が続くと発生するので、収穫期は注意しましょう。
イモキバガによる作物の被害 | 幼虫が葉を食害する |
イモキバガの天敵 | イモキバガを捕食する天敵はいない |
イモキバガの対処法 | サツマイモの近くで栽培しない |
バッタは野菜の葉をエサにする害虫で、エサとなる野菜の葉が少ない夏はエンサイの葉をエサにすることがあります。バッタは体が大きくなるとエサを食べる量も増えていくため、大量に発生すると作物の葉が食い尽くされて全滅することもあります。
バッタによる作物の被害 | エンサイの葉を食害する/卵を産みつけらえる |
バッタの天敵 | カマキリ |
バッタの対処法 | 見つけしだい補殺/大量発生したら農薬で駆除 |
エンサイは病気の心配がいらない育てやすい野菜です。エンサイの生育適期の湿度は非常に高いですが、日当たりがよく日照時間も長い場所を栽培場所にするため、夏に発生しやすい菌類の病気が発生する環境になりません。