立浪草(タツナミソウ)は、ピンク色や紫色、白色の花を咲かせる山野草です。日本の本州〜九州地方にかけて広く分布しており、園芸用の品種は盆栽や花壇の寄せ植えなどに利用されています。
園芸部類 | 草花、山野草 |
形態 | 常緑性多年草 |
樹高・草丈 | 10cm〜40cm |
花の色 | ピンク、白、紫 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 初心者向け、耐陰性がある、グランドカバー |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
タツナミソウは「ビロードタツナミ」とも呼ばれています。名前のとおり、花や葉に短い毛がたくさん生えているため、ビロード質になっているのが特徴です。まっすぐ伸びた茎の先端に、ぷっくりと膨らんだかわいらしい花を咲かせます。花壇の寄せ植えだけでなく、盆栽やグランドカバーにもおすすめの植物です。
白花立浪草(シロバナタツナミソウ)は、純白の花を咲かせる品種です。タツナミソウの中でもやや小ぶりな品種で、草丈は15cmほどまでしか成長しません。そのため、花壇の縁取りやグランドカバーとして人気があります。
桃花立浪草(モモバナタツナミソウ)は、花弁の上部がピンク色で、下部が白色をしている品種です。開花時期には美しいグラデーションを楽しめる品種で、葉がかわいらしいハート型をしています。
植え付け時期 | 2月〜3月、9月〜10月 |
種まきの時期 | 2月〜3月 |
肥料の時期 | 3月〜6月、10月〜11月 |
剪定の時期 | 5月〜7月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月〜5月 |
タツナミソウは、地植えでも鉢植えでも育てられます。地植えにする場合は、地下茎でどんどん増えていく性質があるため、あまり増やしたくない場合は、ブロックで囲ってから植え付けましょう。また、石を配置した「ロックガーデン」としても栽培可能です。鉢植えにする場合は、株間を10cm〜15cmほどあけて植え付けます。
タツナミソウは、室内でも屋外でも管理できます。屋外の場合は、冬前にマルチングをしてから冬越しさせましょう。
タツナミソウは、日当たりと風通しのよい場所で育てましょう。耐陰性があり、ほかの植物が育たないような半日陰でも育てられますが、日光が全く当たらないと花付きが悪くなります。室内で育てる場合も、日当たりのよい窓辺に置いてください。葉がよく茂るので、風通しのよい場所を選び、病害虫被害を予防しましょう。
タツナミソウは、排水性の高い用土を好みます。市販されている「草花用培養土」や「山野草用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土と腐葉土をよく混ぜ込んだ用土を使用してください。地植えにする場所の水はけが悪いようならば、腐葉土をたっぷりとすき込んでから植え付けていきましょう。
タツナミソウを地植えで育てている場合は、降雨のみで十分です。鉢植えの場合は、土の表面が乾燥してから水やりをします。多湿が苦手なため、やや乾燥気味に管理するのがポイントです。受け皿に残った水は放置せず、すぐに捨てるようにすると根腐れで枯れるのを予防できます。
3月〜4月と10月〜11月にかけて、緩効性の化成肥料を株元に置き肥してください。また、開花が終わった5月〜6月にお礼肥を与えると、株が充実し、翌年の花付きがよくなります。肥料の与えすぎは、肥料やけで枯れる原因となるので注意しましょう。
アブラムシは、年間を通して発生しやすい害虫です。集団で寄生し、タツナミソウの成長に必要な栄養分を吸汁します。アブラムシが少数の場合は、ガムテープなどに貼り付けて駆除しますが、大量発生した場合は、殺虫剤を散布してください。
タツナミソウは比較的丈夫な山野草のため、病気の心配はとくにありません。
ポット苗の状態で購入する場合は、茎が太く、株元まで葉のついている苗がおすすめです。葉の裏側までしっかりとチェックして、病害虫被害を受けていない苗を選びましょう。
地植えでタツナミソウを育てている場合は、植え替えの必要はありません。プランターや鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐために2年〜3年に1回、ひと回り大きな鉢に植え替えてください。
タツナミソウは花後に種子をつけるため、種子から種を採取して増やせます。放任で育てると、こぼれ種でどんどん増えていくため、自分の思い描く場所に植えたい場合は種まきで増やしていきましょう。花後に立ち枯れるまでそのまま育て、種子が黒くなったら花茎から切り取ります。軽くふると中から種が出てくるので、2月〜3月まで保管してください。
剪定で切り取った茎を使用して、挿し木でも増やせます。健康に育っている茎を選び、先端から5cm〜10cmの長さで切り取り「挿し穂」を作りましょう。赤玉土などの挿し木用の用土に挿し、発根するまでは水切れに注意しながら、風通しのよい日陰で管理してください。
タツナミソウの株が大きく育った場合は、株分けでも増やせます。根を傷つけないように優しく掘り起こし、手で簡単に分かれる部分で株分けしていきましょう。
出典:写真AC