ムクゲはハイビスカスやフヨウの仲間で、中国が原産とされます。韓国の国花で、日本では奈良時代に薬用として持ち込まれて以来、生垣や茶花など、夏の花として親しまれてきました。
園芸部類 | 花木 |
形態 | 落葉低木 |
樹高・草丈 | 1m~3m |
花の色 | 白、ピンク、赤、紫など |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 街路樹、庭木、生垣、茶花 |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
ムクゲという名前は、韓国名の無窮花(ムグンファ)から、あるいは中国名の木槿(ムージン)の音が変化したのではないかといわれてます。
ムクゲの幹は灰褐色で、扇形の樹形に育ちます。細毛の生えた葉は3つに裂けた形で、縁には不揃いなギザギザが入ります。強剪定に耐えられ、刈り込みしやすいため庭木や生垣として育てやすい花木です。耐寒性・耐暑性ともに強く、排ガス耐性もあります。
ムクゲの花は、直径10cm前後の大きさで、しべの花柱が付き出ているのが特徴です。一重咲きは5弁の花びらを付けます。八重咲きや半八重咲き品種もあり、花色は、白、ピンク、紫、赤などです。開花後は、ほぼ1日でしぼみますが、次から次に新しい花を咲かせます。
「日の丸」は、大輪の白地の花びらの底に赤い色が入った一重咲きで、よく見かけられます。古くから茶の席などで好まれてきた「宗旦(そうたん)」系の人気品種です。
ムクゲには八重咲きや半八重咲きの種類もあり、「花笠」は、中心に重なる小さな花びらの形から、半八重咲き品種の多くに付けられている名前です。大徳寺花笠、鳥取花笠、角倉花笠などがあります。
植え付け時期 | 2~3月 |
剪定の時期 | 11月~5月 |
開花時期 | 7月~9月頃 |
ムクゲの植え付け適期は、葉が落ちた12月~3月頃までの間です。寒い地域では、真冬を避けたほうがよいでしょう。
ムクゲはこんもりと育つので、できれば地植えのほうがよいでしょう。耐寒性があり、北海道(平野部)でも植栽されています。剪定作業をいとわないなら、鉢植えでコンパクトに育てることも可能です。
ムクゲは日当たりのよい場所に植えると花芽を多く付けます。生育旺盛で、上に伸びるだけでなく横にも広がるので、余裕をもって場所を選んでください。
ムクゲには、水はけと水もちのバランスのよい土が適しています。それ以外は特に土質を選びません。鉢植えする場合は、庭木・花木用土が市販されているのでそれを使うと便利です。赤玉土と腐葉土を7:3の割合でブレンドした土でもかまいません。
庭植えは、しっかり根付いてからは基本的に水やりは必要ありません。乾燥を嫌うので、しばらく雨が降らないときは水を与えてください。鉢植えは、土の表面が乾いたら水やりします。夏場に乾燥させないように気を付けてください。
植え付け時に、完熟たい肥などを元肥として土にすきこんでください。追肥は、花が咲き始めた7月頃に化成肥料を与えると花付きがよくなります。また葉が枯れた後、1月頃に寒肥として油粕などを与えましょう。
害虫は、カミキリムシに気を付けてください。おがくすのようなものが幹からこぼれていたら、幼虫(テッポウムシ)が幹に穴をあけて侵入しているしるしです。住みつかれると生育が悪くなるので、早期に見つけて針金や駆除剤で対処しましょう。
新芽の頃に、アブラムシが寄ってきがちです。早めに見つけて水で洗い流すなど、駆除してください。
ムクゲは病気に強く、ほとんど心配はありませんが、ごくまれにうどんこ病にかかることがあります。白い点が広がらないうちに摘み取りましょう。
花後は、枯れる前に自然に花びらが落ちます。鉢植えや若木のうちは、花がらを摘んで種を作らせないようにすると樹勢を保てます。ある程度育ったら、そのままにしておいてもかまいません。落ちた花びらを掃き掃除してください。
枝ぶりがよく、葉の緑が濃いもの、幹や枝に穴があいていない(虫がいない)苗木を選びましょう。ネット通販を利用するときは何カ所か見て、価格が適切かどうかもチェックするとよいですね。
根鉢より一回り大きな植え穴を掘り、腐葉土と元肥を混ぜます。苗木をポットから出して根鉢を崩さずに植えましょう。根巻き苗は、麻布ごと植えてください。植えた後は、たっぷり水やりします。
鉢植えは、根詰まりを避けるために1~2年に1回植え替えてください。枝も剪定して、新しい土で植え替えましょう。葉が枯れた12月~3月頃が適期です。庭植えは、植え替える必要はありません。
ムクゲの剪定は、葉が枯れて落葉してから行うと、樹形を整えやすいです。花芽は春に伸びた枝の先に付くので、この時期なら花芽を切ってしまう心配もありません。春になって繁り過ぎたときも、剪定して大丈夫です。5月中旬までに剪定すれば、夏に花が咲きます。
混みあっている箇所を、枝の付け根から間引き剪定します。強剪定にも耐えるので樹高を低くでき、生垣としての刈り込みも心配ありません。徒長枝も切り落としましょう。
ムクゲは暑さに強く、そのまま特に対策をせずに夏を越せます。
庭植えも冬越しできます。寒さの厳しい山地など、冬越しの難しい地域では、鉢植えで育てて軒下などに取り込みましょう。
ムクゲは挿し木で増やせます。5月~6月、10月頃が適期です。10cmくらいに切り取り、下のほうの葉を取って水揚げしてから、挿し木用土か小玉赤玉土に挿してください。
もう1つの増やし方は、種の採取です。花後そのままにしておくと、枯れ色の実の中に綿毛をつけた種ができます。種まき時期は秋か春です。
出典:写真AC