ホオズキはナス科の多年草で、同じホオズキ属でも100種近く品種があり、大きく分けると観賞用と食用に分かれます。日本で一般的な赤いがくを持つホオズキは観賞用で歴史も古く、古事記にも登場し、薬用として使われた歴史もあります。丈夫で病害虫にも強く、ほとんど枯れることがありません。
園芸部類 | 草花 |
形態 | 多年草 |
樹高 | 30cm~100cm |
花の色 | 白、クリーム色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 多少の日陰には耐える |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
ホオズキは3月からつるを伸ばし、6月~7月の開花期には白やクリーム色の小さな花を咲かせます。7月頃から果実をつけ始め、果実を包むがくが提灯のような形をしているのが特徴です。このがくは秋になると紅葉し、観賞用では緑からオレンジ、赤になり、食用では緑から乾燥した褐色へと変わります。
観賞用のホオズキの一種で江戸時代に日本で生まれました。実の形が、仏が身に着ける首飾りである瓔珞(ようらく)の形に似ていることから、この名前で呼ばれます。別名「ナギナタホオズキ」ともいいます。
北アメリカ~熱帯アメリカが原産の食用ホオズキの品種です。完熟するとがくは褐色になり、その中に果実があります。ベリー種のような味が特徴です。
植え付け時期 | 3月~4月 |
花が咲く時期 | 6月~7月 |
剪定する時期 | 6月 |
実がなる時期 | 7月~9月(品種によって違う) |
収穫時期 | 7月頃 |
ホオズキの収穫時期は食用のほうが長く、特に沖縄などの温暖な地域では3月~10月まで収穫できる場合もあります。その中でもピークは8月~10月頃で、この時期のものは味がよいといわれています。観賞用のホオズキの実は苦くて食べられません。
ホオズキは地植えでも鉢植えでも栽培できます。鉢植えの場合は6号鉢くらいの大きさで5株~6株が目安です。観賞用のホオズキは鉢植えに仕立てて販売されている場合もあります。
ホオズキは、鉢植え栽培でも屋外で管理するのが基本です。乾燥に弱いのでエアコンの室外機の風が当たらない場所で管理してください。
ホオズキは日当たりと風通しのよい場所で管理するのが適しています。乾燥に弱いので、夏場など日向では乾燥しすぎてしまうような場合は半日陰でも問題ありません。
ホオズキはナス科で連作障害が起きやすい植物です。同じナス科の植物を植えた土は使わないようにしましょう。また連作障害を防ぐためにも1年~2年で植え替えて、土をリフレッシュすることをおすすめします。
観賞用のホオズキは、水はけのよい場所で栽培すれば畝はなくても問題ありません。しかし、水はけの悪い場所に植え付ける場合や、果実の収穫を目的として食用ホオズキを栽培する場合は、畝を作りましょう。畝の高さは10cm、幅は60cmほどです。
鉢植えの場合は、市販の草花用用土で問題ありません。地植えする場合は、手つかずの土壌には植え付けの2週間~3週間前に苦土石灰を混ぜ込んでpHを調整します。そのあとで植え付けの1週間~2週間前に堆肥や腐葉土を混ぜ込んでおきましょう。
ホオズキを地植えする場合は株間を15cm~20cmあけて植え付けます。
鉢植えの場合は、使用した草花用用土に肥料が配合されていればほかに元肥を用意しなくても問題ありません。肥料が配合されていない土を使う場合は、緩効性化成肥料を混ぜましょう。地植えの場合は、植え付けの1週間~2週間前に堆肥を混ぜ込みます。
ホオズキの種を直まきする場合は5月が適期です。植え付けの場合と同じように間隔をあけて2粒~3粒ずつまきます。
種をまいたらふるいなどを使用し、薄く土をかけます。3週間ほどで発芽するので、土が乾かないように管理しましょう。しかし、直まきは天気や野外の環境の影響を受けやすく、育苗してから植え付けるほうがおすすめです。
地植えのホオズキには、真夏に晴天が続いて土が乾くような場合に水やりをしてください。それ以外は特に必要ありません。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり与えましょう。このとき、受け皿に残った水は捨ててください。夏は乾きやすいので朝晩に土の乾き具合をチェックし、必要であれば2回水やりをしましょう。冬越しの際は、地上部が枯れていますが、土が乾いたら水やりをしてください。
5月~8月頃にホオズキの茎が伸びてくるので、倒れるのを防ぐために支柱を立てます。丸型の鉢植えを使っている場合は鉢の縁にそって等間隔に数本の支柱を立て、ひもなどで丸く囲う「行燈仕立て(あんどんじたて)」が支える強度が強いのでおすすめです。
ホオズキは乾燥に弱いので、特に土が乾燥しやすい夏場はマルチングをしておくと乾燥対策になります。
ホオズキを植え付ける際に元肥を加えた場合は、追肥は与えなくても問題ありません。ホオズキは育成初期に肥料が多いと成長し過ぎる傾向があるので、追肥は1番目の花が咲いた後にします。実を多くつけたい場合は鉢植えは5月~7月頃に、地植えは4月~7月頃に緩効性化成肥料与えましょう。
ホオズキは、放っておくとどんどん横に広がって草姿が乱れます。また、あまり大きくなりすぎると栄養分が偏り、実が付きにくくなるので剪定が必要です。開花してから結実するまでの間に、余計な脇芽を1週間に1回~2回のペースで摘んでいきます。そのとき、風通しもよくなるように繁り過ぎた葉も取り除きます。6月下旬頃に花芽が10個ほど付いたら、主枝の頂部を切ってそれ以上大きくならないようにしましょう。
葉が黄色くなったときは、半身萎凋病(はんしんいちょうびょう)という病気に感染した可能性があります。連作を避けることで予防できますが、被害にあって枯れた株は焼却処分しましょう。
肥料が多すぎると株の成長に回ってしまい、実がならないことがあります。また、品種が栽培地の気候に合わないことも実がならない原因です。
立枯病は、土の中にあるカビが茎や葉について繁殖し、褐色や黄色に変色して枯れる病気です。連作を避けることや風通しよく管理することで予防できます。
葉に白くカビが発生する病気です。夏から秋にかけて出やすく、発病した葉をこまめに取り除いて被害の拡大を防ぎます。
その他の病気 | |
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かさ枯病 | 葉には黄緑色に縁取られた赤褐色の病斑、サヤには周縁部が赤みを帯びた濃緑色の病斑が出ます。 |
白絹病 | 土の表面や株に白い絹糸のようなカビが発生します。水はけが悪いと起こるので水はけのよい土を使ったり、畝を作って予防します。 |
オオニジュウヤホシテントウは、6月~8月頃に発生します。テントウムシによく似ていますが葉を食害するので見つけ次第駆除します。
カメムシは、産卵時期の春と越冬前の秋に発生します。葉や茎から養分を吸うので見つけ次第ピンセットなどで駆除します。刺激すると独特の匂いを出すので注意してください。周囲の雑草を除草したり、忌避剤を散布したりすると予防になります。
その他の害虫 | |
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アブラムシ | 小さな虫が葉やサヤに群生して吸汁加害します。モザイク病を媒介するため注意が必要です。 |
コナカイガラムシ | 寄生して汁を吸います。排泄物がすす病の原因にもなるので注意します。 |
育苗する場合の種まきは、4月~5月が適期です。平鉢や育苗箱を用意して種まきしましょう。ホオズキは種の発芽率が高いので、挿し木よりも種から育苗して定植するのがおすすめです。
株間は5cmほど取り、2粒~3粒を点まきするか、種が重ならないようにばらまきします。
ホオズキは種まきからおよそ3週間ほどで発芽します。
種をまいたら薄く土をかけて、風通しのよい明るい日陰であまり動かさずに管理します。土を乾かさないように注意してください。発芽したら混み合っている芽を間引き、本葉が4枚~5枚になるまで育てたら鉢植えや庭に定植します。