ホオズキ(鬼灯)とは
ホオズキというと、夏のホオズキ市などで売られている赤やオレンジ色の実を、まず思い浮かべるのではないでしょうか。赤い実と緑の葉のコントラストが鮮やかなホオズキの姿は、季節を感じさせてくれますね。ホオズキにはこの観賞用のものと、食用のホオズキがあります。今回は、まず両方の特徴を紹介し、次に食べられるホオヅキの味、旬、効能などを解説していきます。
観賞用ホオズキ
観賞用のホオズキは古くから日本各地で栽培されていて、美しい姿が鑑賞され、生活の中で親しまれてきた植物です。また、特にお盆の時期にホオズキを生けたり吊るしたりして飾る習わしがありますが、これはホオズキを提灯に見立て、ご先祖様が帰ってくるときの道しるべとしているそうです。
観賞用ホオズキの概要
- 名称:ホオズキ
- 主要品種:Physalis alkekengi var. franchetiiなど
- 分類:ナス科ホオズキ属
- 分布:アメリカ、ヨーロッパ、アジア
観賞用ホオズキは実の色が鮮やか
多くの観賞用のホオズキの特徴は、実の色が鮮やかなことです。はじめは緑色だった実が、下方のものから除々に色をつけ、オレンジ、赤、朱色などに変化していきます。ホオズキには輝血(カガチ)という古名がありますが、納得できる名前ではないでしょうか。この輝くような実は、初夏から秋まで楽しめます。
観賞用ホオズキには毒性がある
観賞用のホオズキはなじみのある植物ですが、毒をもっているので注意すべき植物です。古くから民間薬とされ、現在でも生薬として成分が利用されている一方、用い方によっては毒となる成分があるので、安易な食用はすすめられません。全草にナス科に特有のアルカロイドを含んでおり、特に根の部分にあるヒストニンをいう成分は、流産をもたらすとされています。
食用ホオズキ
食用ホオズキもナス科なので、若干の毒性はありますが、いたって少なく、まさに食べるためのホオズキです。ブドウホオズキ、インカベリー、ゴールデンベリーなど、さまざまな呼び名があり、最近では改良品種も多く、独自のブランド名がつけられているものもあります。ドライフルーツ、ジャムといった加工品のほか、野菜や果物と同じく、生でも食べられます。
食用ホオズキの概要
- 名称:食用ホオズキ
- 主要品種:physalis pruinosa、 physalis peruvianaなど
- 分類:ナス科ホオズキ属
- 分布:アメリカ、アジア、東南アジア、ヨーロッパ
食用ホオズキは淡い実の色が主流
食用ホオズキの種類は多いですが、実を包む皮の色は熟しても黄色、薄緑色、ベージュ色などの淡い色が主流で、中に入っている実も、黄色、薄いオレンジ色、黄緑色、紫色などです。観賞用の実の鮮明な色に比べ、やさしく落ち着いた色合いです。ちなみに皮や袋と表現してきた部分は、実際は萼(がく)で、ホウズキは全般的に花が終わったあと、萼が実を包んで袋状になる特徴があります。
入手方法は直売店や通信販売が主流
食用ホオズキを生のまま食べたいとき、どのように入手すればいいのでしょうか。スーパーマーケットなどでは、なかなかお目にかかれないので、有力な方法は、産地の直売所や道の駅などで購入することです。産地から遠い場合は、通信販売が便利です。インターネットの店舗をもっている農園もあり、さまざまな種類の食用ホオズキが販売されています。
食用ホオズキの味
食用のホオズキは栽培者が増えていますが、まだ流通は少なく、どちらかというと珍しい食材です。品種によって味は微妙に異なりますが、甘味と適度な酸味があるのが特徴で、フルーツトマトやトロピカルフルーツ、ベリーに例えられたりします。ちなみに、観賞用のホオズキの味は苦く、味の点でも食用には耐えられません。
食用ホオズキの旬の時期
食用のホオズキの旬の時期は一般に7月~10月頃です。この季節に生でフルーツのように食べたり、ドライフルーツやジャムに加工されたり、かわいらしい見た目から、お菓子や料理に使われたりと、用途が広がっています。最近はハウス栽培が増えていますので、季節を限定せず収穫されています。
ホオズキの効能
食用のホオズキは栄養や効能が注目されている食べ物です。ビタミンA、ビタミンC、鉄分をはじめとした栄養素が多く含まれ、抗酸化作用、抗肥満作用など、多くの効能があるという報告があります。ただし、ごくわずかとはいえアルカロイドやヒストニンが含まれていますので、妊婦さんや不安のある方は、お医者さまに相談したほうがよいでしょう。
ホオズキの花言葉
ホオズキの主な花言葉
- プラスの意味:自然美、心の平安
- マイナスの意味:偽り、ごまかし
- 中立の意味:私を誘ってください、不思議
ホオズキの花の多くは白またはクリーム色で、おとなしい雰囲気で、実に比べて目立ちませんが、きちんと花言葉があります。「自然美」「心の平安」は安心できますが、「偽り」「ごまかし」は暗い気分になってしまいますね。ほかには「私を誘ってください」「不思議」という花言葉もあります。ともあれ、観賞用ホウズキも食用ホオズキも、ネガティブな花言葉は気にあまり気にせずに楽しみたいですね。
まとめ
今回はホオズキに観賞用と食用があることや、食用ホオズキの味や効能などを中心にご紹介してきました。まだ、食べたことのない方は、どんな味か気になりませんか?食用ホオズキには多くの種類や商品名があり、どれを購入したらいいのか迷ってしまいますが、食べ比べてみるのも楽しいかもしれませんね。
出典:写真AC