豆苗とは、エンドウ豆の新芽のことです。エンドウ豆の原産地は地中海沿岸や中央アジア~中東地域ですが、豆苗として新芽を食べた最初の国は中国とされています。昔は畑で栽培したエンドウの新芽を手で摘んだものを豆苗として食べていました。しかし、現代は水耕栽培によって発芽した状態を豆苗と呼び、販売されることが一般化しています。
園芸部類 | 野菜、スプラウト |
形態 | 一年草(若芽を収穫) |
樹高 | 150cm~200cm |
花の色 | 白、紅色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
耐陰性 | やや弱い |
栽培難易度 | ★★★★☆ |
豆苗はエンドウ豆の新芽です。そのため鮮やかな濃緑色の葉を持ち、ほのかなエンドウ豆の香りがします。昔の中国では畑で栽培して、春の短い時期に新芽のみを摘みとるという収穫方法をとっていたため、手間がかかるわりに量が少ないという弱点がありました。しかし現代では、植物工場で水耕栽培を主体とする栽培管理方法がとられているため、生産量も品質も安定し、安価で流通しています。
サカタのタネ あまうま絹さやエンドウ
参考価格: 330円
キヌサヤエンドウはエンドウ豆の一種です。エンドウ豆にはさまざまな種類がありますが、日本で豆苗というと、水耕栽培したキヌサヤエンドウの新芽を指します。キヌサヤエンドウは「サヤエンドウ」と呼ばれる、サヤごと食べるエンドウ豆の代表的品種です。サヤエンドウ種は実が熟する前に収穫するため、キヌサヤエンドウも春~初夏の早い時期に収穫します。
育てやすさ | ★★★★☆ |
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詰量 | 30mL |
サカタのタネ 秋春そらまめ
参考価格: 297円
ソラマメ(空豆)はマメ科ソラマメ属の一年草です。本来、豆苗とはエンドウ豆の新芽を指す言葉ですが、近年は水耕栽培したソラマメの新芽を「そらまめ豆苗」という名で販売するようになりました。そらまめ豆苗は見た目は豆苗によく似ていますが、ソラマメがエンドウ豆よりも大きいぶん、通常の豆苗よりも茎が太く葉が大きい特徴があります。
育てやすさ | ★★★★☆ |
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詰量 | 28mL |
植え付け時期 | 水耕栽培・再生栽培は特になし |
剪定する時期 | 収穫時期と同時 |
収穫時期 | 発芽後約7日~10日後 |
豆苗を水耕栽培する場合、植え付けはいつ始めても大丈夫です。新芽を食べるので、開花時期、花後の手入れ、植え替え時期は気にする必要はありません。エンドウ豆を地植えにする場合は10月中旬~11月中旬が植え付けの適期です。豆苗は暑さに弱いので、完全に暑さが去る10月下旬~11月上旬が最適期でしょう。豆苗として収穫する場合、収穫時期は開花前の2月~3月です。
豆苗は水耕栽培が基本です。水耕栽培なら室内で管理できるため、豆苗の弱点である暑さ対策を考える必要もありません。水耕栽培の最大の利点は、再生栽培(リボベジ)が可能なことです。根を残しておけば、再び新芽が伸びて7日~10日で収穫できます。豆苗の再生栽培は2回が限度です。2回目以降の収穫も不可能ではありませんが、豆の養分が減少しているため、収穫量が減少します。
豆苗は地植えでも栽培可能です。しかし、地植え栽培の場合は病気や害虫、連作障害対策など栽培管理に手間がかかります。特に園芸初心者の場合は、通年植え付けができて手間もかからず、枯れる心配も格段に減る水耕栽培のほうがおすすめです。
豆苗は日当たりのよい場所が理想的です。水耕栽培で室内で管理する場合、日当たりのよい窓辺が適しています。豆苗の栽培で最適な気温は15℃~25℃です。ベランダなど屋外で栽培する場合は、冬でも気温が下がり過ぎない場所で管理するなど、冬越し対策をしておきましょう。
豆苗を水耕栽培する場合、用土は必要ありません。地植えする場合、プランター栽培なら野菜用の培養土で十分です。畑で栽培する場合は庭土に堆肥や元肥を混ぜ込む2週間前までに、石灰を混ぜ込んで耕し、酸度調整しておきましょう。豆苗の元であるエンドウ豆は酸性土壌が苦手だからです。酸性が強いと枯れる恐れもあるので、用土の土壌改良は必ず行いましょう。
豆苗は水耕栽培の場合は、肥料を与える必要はありません。地植えの場合は植え付け前に、庭土に堆肥と元肥をすき込んでおきます。エンドウ豆の根には、空気中の窒素を固定して栄養分を作り出す根粒菌がついているため、元肥には窒素分の少ない化成肥料やボカシ肥がおすすめです。
豆苗の水耕栽培は水やりが重要な作業です。水をやり過ぎたり、汚れたりすると豆苗自体も傷んで枯れてしまいます。水やりの量は、豆が水に浸からない程度にします。豆が浸かるくらい水を入れると腐って悪臭を放つので注意が必要です。水やりは1日1回、水が傷みやすい夏場は朝晩2回水を取り替えて、水を清潔に保ちましょう。
豆苗を水耕栽培している場合は、肥料を与える必要はありません。肥料を与えると水が汚れて枯れたり、カビや腐敗の原因となったりするのでやめましょう。
豆苗の水耕栽培でのトラブルのほとんどは、水や気温が原因で起こります。水はつねに清潔な状態を維持すること、気温は15℃~25℃の適温を維持することを心がけましょう。豆苗を再生栽培する場合は、2回以降は株が衰弱したり、豆にカビが生えたりと問題が起きやすいため、2回にとどめます。
豆苗は水耕栽培で育てる野菜なので、病気にかかる心配は少ないのですが、カビや腐敗に注意が必要です。水が汚れたり、気温が高かったりすると発生しやすいため、快適な栽培環境をつくりましょう。特に夏場は、暑さや湿気でカビが発生しやすくなります。冬場もエアコンが効いた部屋はカビが発生しやすいので注意しましょう。
豆苗の水耕栽培する場合、害虫の心配はほぼありません。理想的な栽培環境を維持できれば大丈夫です。
水耕栽培の植え付けの適期は通年なので、好きな時期に種まきできるのも利点です。容器にスポンジかキッチンペーパーを敷き、全体が浸るまで水をそそぎます。そこへ重ならないように種を並べたら、発芽するまで暗い場所に置き、乾かないように霧吹きで水を与えて管理しましょう。気温はエンドウ豆にとって適温の20℃~25℃にたもちます。
豆苗の発芽後は、容器に直接水をそそいで管理します。1日1回は水を取り替えて清潔にたもちましょう。芽が5cmくらいに成長したら、日当たりのよい窓辺に移動させます。7日~10日経過したら収穫の適期です。わき芽を残して剪定すると、再び成長して収穫できます。
豆苗 ピーシュート スプラウト の種
参考価格: 345円
豆苗は数多くの水耕栽培キットが流通しています。水耕栽培に必要なものがすべてそろっているので、すぐにでも始められますよ。メーカーによっていろいろな種類があるので、好みや栽培環境にあったものを選ぶとよいでしょう。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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豆苗の増やし方は再生栽培が終わった後、新しい豆苗を購入して栽培するのがおすすめです。なお、豆苗の元であるエンドウ豆は種まきで増やします。市販の種を購入するか、栽培に慣れた方は開花後に収穫できる種を採取して、エンドウ豆の植え付け適期である秋に種まきして育てましょう。
出典:写真AC