ネメシアの花は唇形と呼ばれる形状で、上唇に4片、下唇に2片の花弁で構成されています。園芸品種では単色だけでなく、上下の花弁の色が違うものも多くみられます。一年草、宿根草ともに暑さを苦手とするため、株の寿命は短期間と考えたほうがよいでしょう。また、一年草と宿根草の両方の特徴を持つハイブリッド種もあります。
園芸部類 | 草花 |
形態 | 一年草、多年草(短命) |
草丈 | 10~40cm |
花の色 | 白、ピンク、赤、黄、橙、青、紫、複色 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 弱い |
特性・用途 | 開花期間が長い、芳香がある・寄せ植え |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
一年草は「ストルモサ」を元に品種改良された春咲きの花です。一年草の特徴としては、多花性で花色が鮮やかなことと、耐暑性も耐寒性もないため、花後に種を残すと夏を越せずに枯れることがあげられます。
宿根草には「カエルレア」「デンティキュラータ」といった品種があります。一年草とは違い、耐寒性が-3℃あることから冬越しが可能です。四季咲き性も強いので、うまく管理して夏越しできれば、真夏以外の期間に咲き続けられます。
タキイ種苗 草花 種子 ネメシア・F1セブンスヘブン ラベンダーバイカラー
参考価格: 330円
パステル調のバイカラーが優しい雰囲気の早生品種。大輪花ですが、矮性タイプなのでコンパクトにまとまり、寄せ植えにしても倒れにくい花です。庭植え、鉢植えのどちらでも活用できます。
種子 | 約20粒 |
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タキイ種苗 草花 種子 ネメシアF1ポエトリィミックス
参考価格: 550円
白、ピンク、紫の混合種です。花には爽やかな芳香があり、早春から長い期間楽しめます。ピンチをしなくても自然にまとまるタイプですが、混んできたら剪定して脇芽を増やすとボリュームが出ます。
種子 | 約30粒 |
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植え付け時期 | 3~4月、9~11月 |
種まきの時期 | 10月 |
肥料の時期 | 3~6月、9~10月 |
剪定の時期(切り戻し) | 9~翌6月 |
開花時期 | 10~翌6月頃 |
※開花時期①は宿根草
開花時期②は一年草
基本的に開花時期に植え付け、植え替え、剪定、切り戻し、といったすべての作業が可能です。開花し始めたポット苗を購入した場合は、すぐに植え付けるとよいでしょう。花のようすを見ながら必要な作業を行い、生育に適した環境を整えてください。
ネメシアは日当たりのよい場所を好むので、屋内での栽培は適していません。庭植えの場合、日当たりよく風通しのよい場所で育ててください。また雨に当たると花が傷みやすいので、鉢植えなどは、なるべく雨の当たらない場所で管理しましょう。
用土は水はけのよいものを用意しましょう。市販の草花用培養土か、赤玉土中粒5:腐葉土3:酸度調整済みピートモス2に有機石灰を加えたものがおすすめです。リン酸分の多い緩効性肥料を加えるのもよいでしょう。
鉢植えの場合の水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えてください。地植えの場合は、よほどの乾燥状態でない限り降雨のみで問題ありません。過湿を好まないので乾燥気味に育てましょう。とくに冬季は成長もゆっくりなため、水は控えましょう。
ネメシアは多花性の植物です。一年草の場合は、花が咲いている期間中液肥を与えましょう。また宿根草の場合は、夏の期間は涼しく風通しのよい日陰で株を休ませ、秋にまた花を咲かせるようになったら週1回の頻度で液肥を与えてください。
よく見られる害虫としてはハダニやアブラムシがあげられます。ハダニ対策としては葉水を与えることが有効です。アブラムシは被害が大きくなる前に薬剤の散布で早めに駆除しましょう。
発生しやすい病気には、灰色かび病やウイルス病があります。花がらなどをそのまま放置すると枯れる原因となるので、早めに取り除きましょう。ウイルスが原因と思われる場合は株ごと抜き取ってください。
花後の管理としては花がら摘みがあげられます。病気の発生を防ぐためにも、こまめに摘み取りましょう。花序全体の開花が終わった状態で切り戻すと効率的です。
種は気温が高いと発芽しないので、気候が涼しくなる10月ごろにまくとよいでしょう。種には和紙のような薄い羽状のものが付着しています。高い位置からまくと飛び散る可能性があるので気をつけてください。飛び散りを防ぐためにも、種をまき終えてから軽く覆土しましょう。
店頭でポット苗を購入する場合は、葉が黄変しておらず、徒長していないものを選びましょう。
植え替えは、植え付けの時期と同じころが適しています。鉢植えの場合は根を軽く崩して一回り大きめの鉢に植え替えましょう。地植えの場合は元肥を忘れずに施してください。
株が込み合うと枯れる原因となります。花が咲き終わった時点で半分ぐらいの草丈に切り戻してください。群れを防ぐとともに新芽の活性化にもつながります。ウイルス感染の予防のために、消毒したハサミか清潔な手で折り取りましょう。
耐暑性のない一年草は夏には枯れてしまいますが、宿根性のネメシアはうまく管理すれば秋にもう一度花を咲かせます。切り戻して風通しのよい涼しい場所で夏越ししましょう。
一年草には耐寒性がありませんが、宿根ネメシアの場合は-5℃まで耐寒性があります。よほどの寒冷地でなければ、問題なく戸外で冬越しして花を咲かせられます。
増やし方は、一年草、宿根草ともに種まきが一般的です。また、宿根草は株分けや挿し木でも増やせます。挿し木の時期は3~6月と9~10月です。植え付けと同じころと覚えておきましょう。
出典:写真AC