ヤマボウシは、本州から九州の地域で山地に自生している樹木です。樹形が自然に整い育てやすいことから、庭木や街路樹、公園の樹木として人気があります。梅雨の時期に白、もしくはピンクの花が咲き、花後に食用できる実も特徴的です。落葉するものと常緑のものがあります。
園芸部類 | 庭木、花木 |
形態 | 高木 |
樹高・草丈 | 10〜15m |
花の色 | 白、ピンク、帯緑色 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 落葉性、常緑性、初心者でも育てやすい |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
ヤマボウシは本州から九州の地域で山地に自生しており、日本の風土に馴染んでいる樹木です。梅雨の時期に花が咲いているのが特徴です。近似種のハナミズキとよく間違えられます。
ヤマボウシは、つぼみの集まりである丸い部分と花びらのような白い部分が、頭巾(ずきん)をかぶった僧の頭に見えることからヤマボウシ(山法師)とよばれるようになりました。
ヤマボウシの白い4枚の花びらのように見える部分は花びらではありません。これは総苞片(そうほうへん)とよばれる葉が変形したものです。真ん中の球形の部分は小花が集まった場所です。この部分は花序(かじょ)とよばれます。また苞(ほう)とは、つぼみを包むように葉が変形したもののことをいいます。
ヤマボウシはハナミズキとよく似ていますが、ヤマボウシが日本原産であるのに対しハナミズキはアメリカ原産です。見た目の違いは、ヤマボウシは総苞片の先端がとがっていますが、ハナミズキは丸みがあって先端が凹んでいます。またヤマボウシの開花時期が6〜7月であるのに対し、ハナミズキは4月下旬〜5月上旬と少し早く咲きます。
ヤマボウシにはたくさん種類がありますが、大きく落葉性と常緑性のものに分けられます。
株立ちヤマボウシ
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落葉性で株立ちが美しいヤマボウシです。自然に樹形が整うのでシンボルツリーにもおすすめです。高さは6〜7mに育ちます。花色は白、秋には紅葉も楽しめます。
ヤマボウシ ミルキーウェイ
参考価格: 2,039円
落葉性で花つきがよい品種です。花色は少しクリームがかった白色です。葉が少し厚めで通常のヤマボウシの葉より夏場の葉焼けに強い特徴があります。
ヤマボウシ ウルフアイ
参考価格: 3,500円
落葉性。葉の外側が白い斑入りの品種です。葉数が多く、夏に斑が消える植物が多い中、夏でも斑入りをきれいに保つためホワイトカラーリーフのガーデン作りにもおすすめです。
ヤマボウシ サトミ
参考価格: 8,800円
落葉性。濃いピンク色の花を咲かせることが特徴です。花つきもよく、日当たりがよいほど花色が濃くなります。逆に日当たりが悪いと白っぽくなってしまいます。
ヤマボウシ 紅富士
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落葉性。花色は濃いピンク色です。サトミよりピンク色が濃く、花びらが細長いのが特徴です。サトミと同様に日に当てることでピンク色が濃くなります。
ヤマボウシ 月光
参考価格: 880円
常緑性のヤマボウシの代表種です。あまり大きく育たないため(3〜5m程度)小さく育てたい場合におすすめです。花つきがよいため実つきもよくなります。別名ホンコンエンシスともよばれます。
植え付け時期 | 12月〜3月 |
接ぎ木の時期 | 3月〜4月 |
剪定の時期 | 11月〜2月 |
花が咲く時期/開花時期 | 6月中旬〜7月中旬頃 |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
植え付け 植え替え |
● | ● | ● | ● | ||||||||
開花期間 | ● | ● | ||||||||||
肥料 | ● | ● | ○ | |||||||||
成長期 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ○ | |||||
休眠期 | ● | ● | ○ | ○ | ● | ● |
ヤマボウシの植え付けは休眠期にあたる12月〜3月頃におこないます。特にだんだん暖かくなる2月中旬〜3月が適しています。鉢植えの植え替えも同じ時期におこないましょう。
ヤマボウシはとても大きく育ちますので、地植えが適しています。小さな苗木の間は鉢植えで育てることも可能ですが、2〜3年に1回は植え替えが必要です。大きくなったら鉢植えから地植えにしましょう。
ヤマボウシは日当たりのよい場所を好むので、屋外が適しています。
日当たりがよく、西日のあたらない場所が適しています。強い直射日光で葉焼けすることがあります。
水はけのよい用土が適しています。庭木用の土や、赤玉土と腐葉土を混ぜたものがよいでしょう。水はけが悪いと根腐れをおこすことがあります。
地植えの場合、根づいてからはほとんど水やりの必要はありません。真夏の日照りの強い日には様子をみて朝の水やりをおこないます。鉢植えの場合は土の表面が乾いていたら、たっぷり水やりします。
肥料は1〜2月に緩行性のものをあたえます。有機質肥料などがよいでしょう。根の先端から吸収するので幹に近い部分ではなく枝の先端下のあたりに穴を掘って施します。
害虫はほとんどみられませんが、カミキリ虫の幼虫などに食害されることがあります。見つけたら捕殺します。
梅雨の時期など風通しが悪いとうどんこ病やすす病を発生することがあります。うどん粉病は葉に白く粉をふいている感じになり、すす病は黒いカビが葉に広がります。早めに病気になった葉を取り除き対処しましょう。
花後の管理は特に必要ありません。花後に花序の部分が食用の実になります。果実は8月〜9月頃に熟します。
熟した実の中にある種を水洗いしてすぐにまきます。もしくは冷蔵庫で乾かないように管理して次の春にまきます。ただし種から育てる場合、開花までに7〜8年の年月が必要ですので、接ぎ木をする際の台木用にするのがおすすめです。
苗木は枝葉の節間がつまっていて間延びしていないものを選びます。樹高と幹の太さのバランスがとれていることも大切です。
ヤマボウシは自然に樹形が整うので、剪定は不要とされています。しかし枝が混みあってきた場合や、小さくしたいときには剪定が必要です。また剪定をおこなうと樹形を乱す枝が発生したり、花芽をきってしまい花が咲かなくなってしまったりするので注意しながら剪定しましょう。
11月〜2月の休眠期におこないます。
花芽を切りすぎてしまうと花がなくなってしまうので、花芽をなるべく切らないように剪定します。花芽は丸く、葉芽は細く固いです。
上向きに伸びる枝(徒長枝)、根元から生えてくる枝(ひこばえ)、枯れた枝を根元から切り落とします。
高さを低くおさえたい場合などでも枝の途中で切らないようにします。車枝(1ヶ所から数本の枝が出ている場所)のすぐ上で切るか、枝分かれしている付け根で切りましょう。
ヤマボウシの増やし方は接ぎ木が一般的です。種から育てた苗を台木にして切りつぎします。3〜4月が適期です。
出典:筆者撮影