お菓子などの香料として有名なバニラビーンズは、観葉植物として栽培ができます。気温の変化に敏感なため上級者向けといわれています。リラクゼーション効果が期待されるバニラビーンズの栽培に挑戦してみましょう。
園芸部類 | 草花 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 10m以上 |
花の色 | 黄緑色 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | つる性、香料になる |
栽培難易度 | ★★★★☆ |
バニラビーンズは、ラン科の植物です。つるを伸ばしながら、ほかの植物に寄生するように成長します。葉は平らで厚みがあり、常緑性があるため冬でも枯れることはありません。
花の大きさは8cmほどで、薄い黄緑色です。受粉できなかった花は1日で散ってしまいますが、その香りが後を引くほど印象的なことから「永久不滅」という花言葉がつけられました。
バニラビーンズの果実は、大きなインゲン豆のような形をしています。中にはたくさんの種が詰まっており、この種を取り除いた後に発酵と乾燥を繰り返して、よく知られるバニラビーンズの形になるのです。
バーボンバニラは、ほどよい甘みと芳醇な香りが特徴的で、キャラメルのような風味がします。アイスクリームなどの香りつけに使われる品種です。メキシコが原産地ですが、フランスによって移植された経緯があり、そのときに「ルイ・ド・バーボン」と呼ばれていたことが名前の由来といわれています。
タヒチアンバニラは、バーボンバニラと比較するとさやが太くて平たいのが特徴的で、ムスクに似たエキゾチックな香りがします。クッキーやケーキの香りづけに多く使用されている品種ですが、生産がやや難しく、バーボンバニラに比べると少々値が張るバニラビーンズです。
植え付け時期 | 6~7月 |
植え替えの時期 | 6~7月 |
肥料を与える時期 | 6月、8月 |
挿し木できる時期 | 6~7月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4~6月頃 |
バニラビーンズの植え付け時期は?
バニラビーンズは寒さに弱いので、気温が上昇する夏に植え付けてください。
バニラビーンズの開花時期は?
開花時期は4~6月です。温暖な気温をキープするのが、上手に開花させるコツです。
バニラビーンズは常緑性のある植物なので、落葉したり休眠したりする時期はありませんが、もっとも成長する時期は夏です。高温多湿を好むため、日本の暖地においては心配は少ないでしょう。冬は乾燥に気をつけて温度を一定に保ち、保湿させることがポイントです。
バニラビーンズの栽培は、鉢植えがおすすめです。夏と冬では管理方法が異なるため、環境にあわせて移動しやすいためです。また、バニラビーンズはつる性の植物なので、支柱を立てて管理してください。
バニラビーンズは、環境に左右されにくい室内での管理がおすすめです。暖地においては屋外でも栽培できますが、直射日光に当たると葉焼けを起こして枯れる可能性があるため、軒下やベランダなどで管理してください。屋外管理の場合は、冬になる前に室内へ取り込みましょう。温室効果のあるワーディアンケースを使用するのも便利ですよ。
バニラビーンズは、水はけと水持ちがよく、肥えた土質を好みます。植え付けには洋ランの用土が便利ですが、自身で土作りを行う際には水ゴケを使ってください。バニラビーンズは着生ランのためです。水ゴケのほかに、バーグチップや天然ヤシの成分を加工したベラボンを用いるのもよいでしょう。
バニラビーンズは、水を好む植物です。常に湿っていて高温の状態が好ましいので、葉水も取り入れて、水切れを起こさないように管理してください。また冬時期など気温が15℃を下回る場合には、やや乾燥気味に管理します。冬の水やりの目安は、葉がカサカサになってきた頃です。
肥料は、液体または緩効性のものを6月と8月に与えます。液体肥料を与える場合は、2週間に1回を目安にしましょう。肥料を与えすぎると根を傷める可能性があるので、適量を守って与えてください。
バニラビーンズは害虫がつきにくい植物ですが、アブラムシやハダニがつく場合があります。これらは葉の裏側など、目立たない場所につきやすいのでこまめにチェックして早めに退治しましょう。
バニラビーンズが発症する可能性がある病気は、たんそ病や灰色かび病です。これらは、低温状態が続くと発症しやすく、放置しておくと枯れてしまいます。病気がまん延する前に、病気の部分を取り除いて薬剤を散布しましょう。
バニラビーンズは開花後に、サヤのような形の果実をつけます。収穫できるまで半年以上かかりますが、花は摘み取らずにおきましょう。
種まきは、4~7月の間に行います。培養土をいれたポットに直まきしたら、ごく薄く土をかぶせて暖かい場所で管理してください。発芽に必要な温度は25~30℃です。この気温を下回らないように気をつけましょう。バニラビーンズは種の入手が難しく、発芽率も低いことから初心者には難しいといわれていますが、ぜひ挑戦してみてくださいね。
バニラビーンズの苗は、葉の色が美しくて全体的に傷がなく、主軸がしっかりしているものを選びましょう。また用土が適度に湿っている状態であることも好ましいです。葉の色が悪かったり傷があったりするものは、病気や害虫の被害にあっている恐れがあるので避けてください。
バニラビーンズを種まきから育てた場合は、草丈が10cm以上に成長したら植え替えてください。苗の植え付けは、10cm以上あけましょう。1つの鉢に1株植えて育てるのがおすすめです。
根づまりを防ぐためにも、2年に1回植え替えてください。一回り大きい鉢を用意したら、植え付け時と同じように水ゴケを使って植え替えます。
手順
とにかく根を傷つけないように、やさしく丁寧に行うのがポイントです。古い水ゴケを強引に引きちぎるのだけはやめましょう。
バニラビーンズは夏の暑さには強く高温多湿を好むので、日本の夏を乗り切るのに大きな心配はいりません。しかしが何日も日照りが続いたり強い直射日光を浴びたりすると、葉が焼けて枯れる可能性があります。明るい軒下に移動させるなど、対策を行いましょう。
冬は、霜や雪に当たると枯れてしまいます。また、常に温暖な環境が必要なため、寒風にさらされることも苦手です。室内に取り込んだり、温室を用意したりしてください。室内や温室で管理する場合も温度が10~15℃を下回らないように気をつけましょう。
バニラビーンズの増やし方は、挿し木による方法です。太くて元気のある葉のつけ根にできる気根と茎を2カ所切り詰めたら、切り口を乾燥させてラン用の挿し木の土を使って挿してください。倒れないように支柱を立てて、水切れに気をつけて管理しましょう。
出展:写真AC