ススキは「オバナ」や「カヤ」とも呼ばれている山野草で、道端や草原、山地や空き地などで気軽に見つけられる植物です。耐暑性や耐寒性が強く初心者でも育てやすいのが魅力で、園芸用に品種改良された斑入り品種や、草丈の低い品種もあります。
園芸部類 | 山野草 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 50cm〜200cm |
花の色 | 白銀色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 初心者向け、カラーリーフ、盆栽、落葉性 |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
ススキは日本全国に自生している山野草で、秋の七草の一つです。日本の秋を象徴する植物としても親しまれており、中秋の名月の飾りとしても利用されています。9月〜10月にかけて白銀色の「風媒花(ふうばいか)」を咲かせます。風媒花とは花粉を風に運ばせるのが特徴で、目立たない小さな花を咲かせる植物が多いです。ススキの稲穂部分が風媒花にあたります。
名前の由来は?
ススキの「スス」は「スクスクとまっすぐに育つ」という様子をあらわします。ススキの「キ」には「茎」や「草」という意味があり、植えっぱなしにしてもどんどん立派に成長していくため「ススキ」と名付けられました。また別名の「尾花(オバナ)」は、ススキの穂が動物の尾に似ているためにつけられた名前です。
花言葉は?
ススキには「活力」「生命力」「心が通じる」という花言葉がついています。ススキは耐暑性や耐寒性が強く、土質もあまり選ばず丈夫に成長するのが特徴です。そのたくましい性質から「活力」や「生命力」という花言葉がつけられました。
タカノハススキ
参考価格: 870円
タカノハススキは日本で古くから自生している品種です。葉に黄褐色の斑模様が入っているのが特徴で、お茶花や切り花などにも利用されています。別名「矢筈薄(ヤハズススキ)」と呼ばれており、土質をとくに選ばず育てられます。
草丈 | 50cm〜200cm |
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葉の色 | 黄緑、黄褐色 |
イトススキ
参考価格: 605円
イトススキは、名前のとおり糸のように細い葉が魅力的な品種です。鮮やかな緑色の葉をすらっと伸ばす涼しげな姿が人気で、葉に白色の斑模様が入る品種もあります。ススキの中でも小ぶりな品種のため、盆栽にしたりほかの植物と寄せ植えにしたりする育て方もおすすめです。
草丈 | 20cm~80cm |
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葉の色 | 緑、白 |
植え付け時期 | 2月〜3月 |
植え替え時期 | 2月〜3月 |
肥料の時期(鉢植えのみ) | 4月〜8月 |
剪定の時期 | 5月〜6月 |
花が咲く時期/開花時期 | 9月〜10月 |
ススキは地植えでも鉢植えでも育てられます。地植えにする場合は、草丈が200cmほどまで大きく成長するため、ほかの植物の背景になるように植え付けるのがおすすめです。株が横へと広がっていく特性から、広いスペースを確保してから植え付けます。屋外で鉢植えにする場合は、ススキが風にあおられて転倒しないように、重さのある鉢を使用してください。
ススキは小さく剪定しながら管理すれば、室内で盆栽仕立てでも育てられます。盆栽に使用する場合は「イトススキ」や「屋久島ススキ」などの草丈の低い品種がおすすめです。小鉢で育てると葉が小さくなるのが特徴で、伸びた葉を地際で切るとさらに草丈を抑えられます。ススキだけでなく、ナンキンハゼやなでしこと一緒に植え付けるとおしゃれさが増します。
ススキは日光を好むため、日当たりのよい場所で管理します。ススキを室内で育てる場合でも、半日以上は日光の当たる場所で育ててください。草丈が高く、葉や穂が密に茂るため、風通しのよい場所で管理して病気や害虫被害を予防しましょう。また、水はけの悪いジメジメとした場所で管理すると、根腐れを起こしやすくなってしまいます。
ススキは比較的丈夫な植物のため、用土をあまり選ばず育てられます。市販されている一般的な「草花用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒を単体で使用してください。盆栽として育てる場合は、苔玉に植え付けていきましょう。排水性のよい用土を好みますが極度の乾燥は苦手です。適度に水もちのよい用土を使用してください。
ススキを地植えで育てている場合は、降雨のみで十分なため水やりの必要はありません。しかし、雨が全く降らずに地面が乾燥しすぎていると、水切れを起こして株元から枯れ込んできます。様子を見ながら適度に水やりをしてください。鉢植えの場合は、土の表面が白っぽく乾燥してから水やりをします。
盆栽仕立てにした場合の水やりは?
ススキを苔玉に植え付けて盆栽仕立てにした場合は、霧吹きを使用して水やりをするのがおすすめです。エアコンの風が直接あたる場所で管理すると、苔玉が乾燥しやすくなるため注意しましょう。水やりを忘れてススキが弱ったり枯れ始めたりしている場合は、水を張った容器に苔玉ごと漬け込み、たっぷりと水を吸わせましょう。
ススキを地植えで育てている場合は、肥料を与える必要はありません。鉢植えの場合は、4月〜8月にかけて、草花用の液体肥料を規定の分量よりも薄めて、1カ月に1回の割合で追肥してください。ススキの斑入り品種を育てている場合は、リン酸が多い肥料を施すと斑が薄くなったり消えたりするため避けてください。
カバキコマチグモは「フクログモ科コマチグモ属」に属しているクモです。からだが黄色いため「カバキ」と名前に入っています。夏になると産卵のために、ススキの茎や葉の部分に縦長の巣を作る害虫です。この時期のカバキコマチグモは凶暴で、巣に手を入れると噛まれる恐れがあるため注意してください。
カバキコマチグモ対策は?
カバキコマチグモは「益虫」と呼ばれており、ススキに危害を加える昆虫を捕食してくれます。ススキ自体には害を与えないため、巣があってもそのままにしておいても構いません。雌は子育てをしていく途中で、自らがエサになり子グモに食べられてしまいます。雄のカバキコマチグモは益虫として放置しておきましょう。
立ち枯れ病は「糸状菌(しじょうきん)」というカビの菌糸が原因で発生する病気です。立ち枯れ病に感染すると、下葉から黄色く変色が始まり、茎は細くしおれてきます。病状が進むと根が腐って、株元から枯れ込んでくるのが特徴です。立ち枯れ病に感染した部分は薬剤を散布しても治せないため、ほかの部分への感染を防ぐためにも早めに切り取って処分してください。
ススキは9月〜10月にかけて、白銀色の花を咲かせます。花後は穂の部分から切り取り、花瓶などに苗を入れてススキの穂が風になびく涼しげな風情を味わうのもおすすめです。
ススキの植え替えは、苗の植え付けと同じ2月〜3月に行います。根を傷つけないように丁寧に掘り起こし、根についている古い用土を落としてください。さらに、根が弱っている部分や腐っている部分を取り除いてから、新しい用土に植え替えましょう。植え替え後はたっぷりと水やりをして、水切れを起こさないように管理します。
ススキの剪定は5月〜6月にかけて行います。地面から30cm〜50cmの高さで切り戻していきましょう。ススキは一旦短く切り戻すと、秋に穂がつきやすくなります。また、あまり背が高い状態にしておくと、台風などで倒れて茎が折れてしまう場合があります。室内で育てる場合は、強剪定以外ならば株を小さく保つためにこまめに剪定をしても構いません。
ススキは耐暑性が強いため、夏越しに必要な作業はとくにありません。直射日光に当てたり気温が高かったりしても問題なく育ちますが、水切れだけは注意してください。夏場は水が蒸発し、用土が乾きやすくなります。土の表面が乾燥しすぎているようならば、朝と夕方の1日2回に分けて水やりをしましょう。
ススキは秋頃から株全体が茶色く変色し始め、地上部が枯れた状態で冬越しする植物です。しかし、地下茎や根は生きているため、春が近付くと黄緑色の新芽が顔を出しはじめます。茎や葉が枯れ込んでいる部分は、地面から5cmほどの長さを残して刈り取っても構いません。
ススキが冬越しする際に、地上部が枯れた状態は「枯れススキ」や「枯れ尾花」と呼ばれ、独特の風情があります。枯れた状態を楽しみたい場合は、刈り取らずそのままの状態で冬越しさせても構いません。枯れたススキは「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということわざにも使われています。
ススキは2月〜3月にかけて、株分けで増やしていきましょう。植え付けや植え替えと同時に行うのがおすすめです。大きく成長した株を選び、2株〜3株程度に分けていきます。あまり小さく株分けすると、ススキが弱ったり枯れたりするため注意してください。株分け後は新しい用土に植え付けて、完全に根付くまでは風通しのよい日陰で管理しましょう。
出典:写真AC