オギとは
荻(オギ)は、イネ科ススキ属に分類させる多年草で、河川敷や田んぼのあぜ道、野原など日当たりのよい場所に自生しています。同じような場所に「ススキ」も生えており、オギとよく似た草姿をしているのが特徴です。オギとススキは穂の形や毛の量が異なるため、違いを覚えておけば簡単に見分けられます。
オギの基本情報
科名・属名 | イネ科・ススキ属 |
学名 | Miscanthus sacchariflorus |
英名 | Amur silvergrass |
和名 | 荻 |
形態 | 多年草 |
開花時期 | 9月〜10月 |
分布地 | 日本、中国、朝鮮半島 |
用途 | 茅葺屋根の材料、お月見の飾りなど |
名前の由来
オギは穂が風になびいている姿が美しく、その様子が「霊魂を招き寄せるようだ」と例えられて、はじめは「おぐ(招)」と名付けられました。しだいに「おぐ」がなまって「オギ」になり、漢字の「荻」が当てられたそうです。また、白くて立派な穂が白馬の尾に見えたため「尾の木(オノギ)」から「オギ」になった、という説もあります。
花言葉
オギには「爽やかな」という花言葉がついています。オギの魅力でもある、穂についた銀白色の毛が風に揺られている様子からつけられました。河原や湖の近くでキラキラと輝くように揺れるオギの咲き姿にぴったりの花言葉です。
オギの特徴
オギは、日本全国の河川敷や田んぼのあぜ道などで見付けられます。オギの穂は茎が固くて長持ちし、水を弾いて雪や雨にも耐えられるのが特徴です。オギは古くから日本に自生しており、茅葺き屋根の材料としても利用されていました。
特徴①穂
オギの穂は白くてふわふわとしており、見る人に優しい印象を与える植物でしょう。穂の大きさは20cm〜40cmほどで、「小穂(しょうすい)」と呼ばれる緑色や褐色の、楕円形の花序がたくさんついています。オギの小穂は互生しており、銀白色の約1cmの毛が生えているのが特徴です。
「風ききぐさ」とも呼ばれている
オギは「風ききぐさ」という異名をもち、穂が風を受けてサワサワと音を立てる様子に由来しています。秋の訪れを知らせてくれる音としても親しまれており、十五夜のお月見をする際に月見団子とともに飾られる代表的な植物です。ほかにも「寝覚草」「目覚草」「風聞草」など、たくさんの名前がつけられています。
特徴②葉
オギの葉は中央に白い筋状の縦線が入っています。葉は成長すると40cm〜80cmほどまで長くなるのが特徴です。開花時期(9月〜10月)が近付くと、下葉から枯れ込んできて最終的には葉が抜け落ちます。
特徴③花
オギは9月〜10月にかけて赤色の花を咲かせます。20cm〜40cmほどの花序に次々と花芽をつけますがあまり目立ちません。オギの穂は白色や白銀色をしていますが、開花時期になるとほんのりと赤く色付いているように見えます。
オギによく似た植物
オギはイネ科に分類されますが、秋になると穂を実らせるイネ科の植物はほかにもあり、同じ時期に同じ場所で見かける場合もあります。オギによく似た植物にはススキやヨシ、チガヤなどがありますが、オギは秋になると花を咲かせるのが特徴です。
ススキ
ススキは「芒」や「薄」と漢字で表記される、秋の七草の一つです。ススキは秋を象徴する植物としても親しまれており、お月見の飾りにも利用されています。花粉症を引き起こすアレルゲン植物に該当するため、アレルギー症状が出る場合は自宅で栽培しないようにしましょう。
ヨシ
ヨシは「葦」「芦」「蘆」「葭」などさまざまな漢字で表記され、別名で「アシ」とも呼ばれています。日本では「セイコノヨシ」や「ツルヨシ」という品種があり、河川沿いや湖の近くなどに自生している植物です。発育旺盛で草丈が5m近くまで成長するため、雑草扱いされる場合もあります。
チガヤ
チガヤは漢字で「千茅」と表記されます。チガヤは群生する性質があり「茅の草が千本集まっているように見える」という理由で「千(チ)」「茅(ガヤ)」と名付けられました。葉が矛のように尖り、節の部分に毛が生えていないのが特徴です。日本に古くから自生しており「子供の守護神」という花言葉がついています。
ハギ(萩)
オギ(荻)と漢字表記すると、よく似ているのが「ハギ(萩)」です。ハギは、マメ科ハギ属に属している植物で、見た目や花の咲き姿などはオギと全く異なります。日本が原産の落葉性低木で、7月〜9月にかけてピンク色や赤色の花を咲かせるのが特徴です。
花札に「萩に猪」が描かれている
花札の7月には、萩を元にした「萩と猪」という絵柄が描かれています。荻(オギ)と萩(ハギ)の漢字はよく似ていますが、オギは丸みを帯びた花弁をもつ花は咲きません。
オギとススキの見分け方
オギとススキはよく似た見た目をしています。しかし、それぞれ違う特徴があるので、穂や葉をよく観察すれば見分けは簡単です。オギとススキの両方が生えている場合は、2つの穂を切り取って同時に落下させてみましょう。ススキの穂は重いのでオギよりも先に落下する、という面白い見分け方もできます。
見分け方➀穂の形
オギとススキを見分けるときにポイントとなるのが「ノギ」の有無です。ノギとは、穂の先端部分についている突起物をさします。オギの穂の先端にはノギがなく、毛がふわふわと生えているだけです。ススキの穂の先端にはノギがあり、チクチクと尖ったような見た目をしています。
「ノギ」とは?
ノギはトゲ状になっているのが特徴で、触ると痛みを感じる場合があります。犬の散歩でススキが生えている場所へ行く場合は、犬がケガをしないように注意しましょう。ノギは「芒」と表記されますが、ススキも「芒」と同じ字を使用する場合があります。
見分け方➁草姿
オギとススキは、どちらも群生する性質がありますが、それぞれの草姿に違いがあります。オギは、1本1本離れて生えており、茎が太くて株立ちしないのが特徴です。ススキは、1つの株元からいくつもの茎が伸びて、株状にこんもりと成長します。
見分け方③自生場所
オギもススキも日本の各地で自生しており、しばしば雑草扱いされる場合もあります。オギとススキが同じ場所に生えている場合もありますが、オギは水辺や河原などの湿地帯を好み、ススキは草原や野原などのやや乾燥した土地に多く生えているのが特徴です。
ボタニ子
次のページでは、オギの育て方をみていきましょう。
出典:写真AC