パンパスグラスってどんな植物?
パンパスグラスとは
学名 | Cortaderia selloana |
属性 | イネ科シロガネヨシ属 |
分類 | 落葉多年草 |
草丈 | 1m~4m |
耐寒暑性 | 耐暑性:強い 耐寒性:やや弱い(-5℃) |
パンパスグラスは別名シロガネヨシと呼ばれ、原産地は南米の草原(パンパス)地域で、イネ科シロガネヨシ属に分類される落葉多年草です。一般的に栽培され、普及しているのは学名にあるセロアナ種。特徴としては『お化けススキ』の俗称にふさわしく、大きいものでは草丈が4mを越えるものもあります。花の季節は9~10月。雌雄異株の植物で、代表的的な花穂色といえるほのかにピンクがかった白銀色が、シロガネヨシの名前の由来になっています。
パンパスグラスのふるさと
日本原産でもあるススキとは異なり、パンパスグラスは明治のころに日本にやってきました。シロガネヨシと名付けられたのもそのころのことでしょう。パンパスグラスの原産地は南アメリカの草原地域とされています。『大平原』を意味するパンパ(英語表記はpanpas)は温暖湿潤な気候と肥沃な土地であることから、牧畜に適した草が自生している環境です。障害物などなにもない日光の照りつける大地に根付き、パンパスグラスはのびのびと成長してきたのです。
パンパスグラスとススキの違い
『お化けススキ』といわれることからも分かるように、ススキとパンパスグラスは花穂の形状からみても非常によく似ています。ここで両者の特徴を比較してみましょう。
名称・品種 | パンパスグラス・約20種 | ススキ・多種 |
別名・俗称 | シロガネヨシ・お化けススキ | 萱(かや)・尾花 |
分類 | 落葉多年草 | 落葉多年草 |
属性 | イネ科シロガネヨシ属 | イネ科ススキ属 |
原産地 | 南アメリカ | 日本 |
草丈・形状 | 1~4m・線形で鋸歯がある | 1~2m・線形で鋸歯がある |
花の色 | 白銀色・ピンク | 白銀色 |
耐寒暑性 | 耐暑性:強い 耐寒性:やや弱い | 耐暑性:強い 耐寒性:非常に強い |
日本原産ということもありススキの方が耐寒性に優れていますが、それ以外は本当によく似ています。それにしても、日本の裏側に当たる南米によく似た植物が生育しているとはなんとも不思議な話ですね。
パンパスグラスの生態
パンパスグラスの葉
見るからにススキといったイメージの葉は、まさにイネ科の植物といった感じですね。こうなるとパンパスグラスよりもシロガネヨシの名前の方がしっくりくる気がします。イネ科属性の特徴であるように、パンパスグラスには平行脈の入った細長い葉が根元からたくさん立ち上がりますが、葉の縁がするどいノコギリ状になっているので、切り花の採取や手入れの際にはけがをしないよう注意が必要です。
パンパスグラスの花と種
パンパスグラスの花ってどこの部分なんだろう?そうお思いの方も多いと思います。雄花、雌花共に花弁はなく、雌花は羽毛のような円錐花序(えんすいかじょ)(*1)をつけます。雌花は長毛で見ごたえがありますが、雄花は地味な印象です。花茎全体の高さが3mとすると、花序だけでも大きなものでは1m近くになります。イネ科のアレルギーのある方は開花の季節には注意してください。
(*1)円錐花序
花序とは植物の花のつき方のことで、円錐花序の特徴は、一本の茎に対して数本の花茎が円を描くように枝分かれしながら立ち上がっているといったものです。
パンパスグラスの育て方
育て方のポイント①広いスペースの確保
見てお分かりのとおり、パンパスグラスはその特徴として非常に大きく成長します。草丈は3mほどで、株張りもそれ以上のスペースを見越しておいた方がよいでしょう。鉢植えで育てることができないわけではありませんが、矮性タイプのものでも草丈は1m以上になります。パンパスグラスの特徴から考えると、やはり地植えの方が好ましいでしょう。数株を植える場合は株間をしっかりとってください。
育て方のポイント②耐寒性と耐暑性
原産地が南米ということもあり、暑さには非常に耐性のあるパンパスグラスですが、耐寒性の方はやや弱いといったところになります。暖地での地植えでは関東以南が望ましいでしょう。北関東がぎりぎりのラインです。大株になると若干冬越えしやすくなりますが、まだ株が若い状態の場合は早めの時期から防寒対策を考えておきましょう。暑さには本当に強いです。真夏の時期の直射日光の下でも元気に育ちます。
育て方のポイント③水はけや土の環境
パンパスグラスは多湿を嫌いますので水はけのよい場所に植えましょう。地植えの場合、植え付け間もない時期と、真夏の何日も雨が降らない時期以外は水やりは不要です。肥料も地植えの場合は必要ありません。逆に肥料分が多いと葉ばかりが大きく成長することになります。いつまでたっても花穂ができない場合は、栄養過多になっていないか確認してみてください。また、日照不足も花穂の出ない原因のひとつになってます。放任気味の方がよりよく育つでしょう。
育て方のポイント④種から育てる?苗から育てる?
種からの育て方
種から育てるとなると相当忍耐力が必要となります。というのは、パンパスグラスは最終的には3mの大きさになりますが、画像で見かけるような特徴のある花穂が出るようになるには何年か冬越しをする必要があるからです。育て方の難易度は高くなりますが、どうしても種から育ててみたい!という方は、通信販売などで種を購入して気長に挑戦してみるのもよいかもしれませんね。その際には、雌花と雄花があることをお忘れなく。
苗からの育て方
育て方としては、ある程度育った雌花の苗を購入する方が無難です。すでに花穂のついた状態の苗であれば1m近くあるかもしれませんし、冬の時期であれば、地上部のないものが販売されていることでしょう。これらは既に冬越しを経験した苗で株が充実しており、種から育てたものとは違い、季節に合わせてすぐに大きく成長していきます。
育て方のポイント⑤季節による手入れ
春の季節
春の季節の作業は、枯れた葉などを取り除くことからはじまります。新芽が出てきていますので3~5月ごろには株分けも可能です。それから、鉢植えの場合の植え替えと種まきもこの時期です。鉢底の穴から根が出ているようでしたら、一回り大きな鉢に植え替えましょう。種をまく場合の発芽温度は18℃~25℃になります。日当たりが悪いと花穂がつかない場合がありますので、植えつける場所に注意してください。
夏の季節
夏の季節はパンパスグラスの生育時期でもあります。地植えの場合、この期間は特に何もすることはありません。水やりも肥料も不要ですし、病害虫の心配もまずないといっていいでしょう。ぐんぐん成長するパンパスグラスを楽しみましょう。切り花にするのなら花穂が開く前がおすすめです。開花前の花穂を包んでいる莢をナイフなどで切り開くと、綺麗な状態の花穂が出てきます。
秋の季節
まだまだ元気で生育旺盛なパンパスグラスですが、季節的に花穂も終盤を迎えるころでしょう。秋ごろになると切り花も店頭に出回るようになります。また台風などで花穂や株が痛むことがあります。その場合は早めに切り戻しを行なうのもよいでしょう。
冬の季節
冬の季節は防寒がメインになります。この時期になると枯れた葉が目立つころだと思いますので、草丈の半分ほどに切り戻しましょう。ある程度葉をそのままにしておくことで、防寒の役割を果たします。またこの時期に草丈を短めに刈り込んでおくと、翌年の株を小さめに調整することができます。
草丈が4mあるので「お化けススキ」といわれます