星美人は「パキフィツム・オビフェルム」という正式名称をもつ、メキシコが原産の多肉植物です。ぷっくりとした葉が特徴で、開花時期になるとかわいらしい赤色の花を咲かせます。星美人は管理方法や増やし方が簡単で、ガーデニング初心者にもおすすめの植物です。
園芸部類 | 多肉植物 |
形態 | 多年草 |
特性・用途 | 常緑性、観葉植物、インテリアグリーン |
花の色 | 赤 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | やや弱い |
成長期 | 4月〜5月、9月〜10月 |
休眠期 | 12月〜2月 |
星美人は表面にまとっている白い粉と、まん丸に膨らんだ葉が魅力的な多肉植物です。原産地のメキシコでは「桃美人」や「月美人」など、同じ「パキフィツム属」に分類される星美人の仲間が、約10種類ほど自生しています。星美人は4月〜6月にかけて、花冠が星型をした赤色のかわいらしい花を咲かせるのが特徴です。
星美人は、葉が全体的に白い粉に覆われているのが特徴です。この白い粉には、紫外線を散乱させる働きがあります。星美人は、原産地では崖などの日光が当たりやすい場所に自生している植物のため、強い太陽の光から細胞を守るために、白い粉をふくように発達したといわれています。
星美人の白い粉は、太陽の光や紫外線から細胞を守るために発達したものです。星美人の魅力のひとつともいえる白い粉ですが、日光が全く当たらない場所で栽培すると、細胞を守る必要がなくなるため、白い粉がきれいに出なくなります。美しい粉を楽しむには、適度に日光に当てながら育てましょう。直射日光に長く当てすぎると葉焼けを起こすので注意が必要です。
花言葉は?
星美人には「穏やかな」「信じて従う」という花言葉がついています。星美人のまん丸で愛くるしい姿から「穏やかな」という花言葉がつけられました。また、星美人はたくさんの子株をつけるため、その性質から「信じて従う」という花言葉がついたといわれています。
名前の由来は?
星美人は「花冠(かかん)」と呼ばれる花弁が集まっている部分が星型をしているため「星美人」と名付けられました。また、正式名称の「パキフィツム・オビフェルム」には「太った」や「たまごを持っている」という意味があり、ぷっくりと太った葉が卵を持っているように見えた様子に由来してつけられた名前です。
桃美人
参考価格: 400円
桃美人は名前のとおり、葉先がピンク色をしているかわいらしい品種です。秋〜冬にかけて紅葉するため、とくにピンク色が濃くなるのが特徴です。気温が低くなると桃色に色付くので、室内で管理している場合でも、少しは寒さに当てたほうが美しく桃色に染まります。
草丈 | 10cm〜15cm |
---|---|
葉の色 | 薄緑、ピンク |
月美人
参考価格: 858円
月美人は中央アメリカが原産の品種で、秋になると葉が赤紫色に色付きます。星美人とよく似ていますが、月美人は星美人に比べて葉がやや紫がかっているのが特徴です。開花時期になると、細い茎を長く伸ばし、先端に薄いピンク色の小さな花を咲かせます。
草丈 | 10cm〜20cm |
---|---|
葉の色 | 薄緑、赤紫 |
多肉植物 紫麗殿
参考価格: 275円
紫麗殿(しれいでん)は、秋〜冬にかけて葉が美しい紫に色付く品種です。日光にたっぷりと当てると紫色が濃くなり、7月〜10月にかけて小さな赤色の花を咲かせます。
草丈 | 10cm〜20cm |
---|---|
葉の色 | 緑、紫 |
植え付け時期 | 3月〜4月、9月〜10月 |
植え替え時期 | 3月〜4月、9月〜10月 |
肥料の時期 | 3月〜4月、9月〜10月 |
剪定の時期 | 3月〜5月、10月〜11月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月〜6月 |
星美人は、耐暑性や耐寒性がやや弱いのが特徴です。地植えで育てると、夏越しや冬越しが上手にできずに枯れる恐れがあります。そのため、星美人は鉢植えにして、季節ごとに置き場所を移動できるように管理するのがおすすめです。
春と秋は成長期に当たるため、屋外で日光をしっかりと当てて管理しましょう。しかし、雨が長く続くような日や梅雨時期は、雨が当たらない軒下や室内に移動させてください。星美人は、葉を覆う粉も魅力のひとつですが、雨が当たると粉が落ちてしまいます。また、葉を長い間雨ざらしにすると、腐ったり傷んだりするので注意しましょう。
星美人は日光を好む植物のため、太陽の光がたっぷりと当たる場所で栽培します。日光は好みますが、直射日光に長く当てると葉焼けを起こす恐れがあるので注意しましょう。葉が密につくため、風通しのよい場所で管理して、病気や害虫被害を予防してください。室内の場合、エアコンなどの風が直接あたると、株が傷んで枯れ込んでくる恐れがあります。
茎が徒長する原因は?
星美人の茎が徒長する理由は「水分の与えすぎ」「肥料の与えすぎ」「日照不足」が考えられます。水分を与えすぎると葉だけがパンパンに膨らみ、茎が細くなるのが特徴です。肥料を与えすぎると成長速度が速くなり、茎が徒長する恐れがあります。日照不足の場合は、日光を求めて茎が伸びるのが原因です。半日以上は日光の当たる場所で管理しましょう。
星美人は、排水性の高い用土を使用して栽培しましょう。市販されている「多肉植物用培養土」や「サボテン用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒と鹿沼土、さらに腐葉土をよく混ぜ込んでから、少量の軽石を加えた用土を使用してください。排水性を高くするために、鉢底石と鉢底ネットを使用するのもおすすめです。
星美人を枯らさずに管理するには、季節ごとに水やりの量を調節するのがコツです。春と秋は、土の表面が乾燥してからたっぷりと水やりをします。星美人は多湿が苦手なため、受け皿に溜まった水はすぐに捨てて、用土が乾きやすい環境を整えておきましょう。葉に直接水をかけると、水滴の跡がついたり白い粉が落ちたりするため、株元にそっと水やりをしてください。
星美人を屋外で管理している場合は、雨がたくさん降ると水分が多すぎる恐れがあるので注意しましょう。とくに梅雨時期などは、葉が雨の水分を蓄えすぎる恐れがあります。星美人は水分が多すぎると、葉割れしたり徒長したりするのが特徴です。また、用土が湿った状態が長く続くと、根腐れを起こして枯れる原因にもなります。
夏の水やりは?
夏の水やりは土の表面が乾ききって、白っぽくなってから水やりをします。昼間は温度が高くなり、用土が蒸れてしまうため、朝か夕方の涼しい時間帯に水やりをするのがポイントです。夏に葉がしぼんだり落葉したりする場合は、水の与えすぎが原因のため、水やりを控えめにしてやや乾燥気味に管理してください。
冬の水やりは?
星美人は冬になると休眠期に入るため、水をあまり吸わなくなるのが特徴です。そのため、水やりは1ヶ月に1回〜2回程度で構いません。冬は、根から水分を吸収する量が減るだけでなく、葉からの蒸発量も減っています。水分を与えすぎると、用土や根が凍ってしまう恐れもあるので注意しましょう。
星美人は、肥料を施さなくても問題なく育ちます。しかし、成長が滞っている場合や株を大きくしたい場合には、3月〜4月と9月〜10月にかけて、緩効性の化成肥料を1ヶ月に1回施してください。液体肥料を使用する場合は1ヶ月に2回程度の割合で、規定の分量よりも薄めてから施します。肥料の与えすぎは、肥料やけを起こして枯れる原因となるので避けてください。
星美人の葉に黒い点々がついている場合は、ハダニの被害にあっている可能性があります。一般的な観葉植物が被害を受けやすいハダニとは違い、多肉植物に発生するハダニは色が透明で0.2mmほどの大きさしかなく、目視で見つけるのが難しいです。また、黒斑病との見分けがつきにくいため、被害にあった部分を取り除いてから殺虫剤を散布しておきましょう。
カイガラムシは、名前のとおり貝殻のように硬い甲羅に覆われている害虫です。殺虫剤が効きにくいため、駆除する場合は歯ブラシなどを使って払い落としてください。カイガラムシは集団で発生し、星美人の栄養分を吸汁しながら成長します。星美人が弱ったり枯れたりする恐れがあるため、発見したら早めに駆除しましょう。
黒斑病は、梅雨などの湿度が高い時期に発生しやすい病気です。高温多湿の環境で育てるとカビが原因で発生し、葉に黒色の斑点がいくつも出てきます。黒斑病に感染した部分は治せないため、ほかの部分への感染を防ぐためにも早めに取り除いて処分しましょう。星美人を風通しのよい場所で管理したり、定期的に薬剤を散布したりすると黒斑病の予防ができます。
軟腐病は、カビの菌糸が原因で発生する病気です。開花が近づいたときに、つぼみ部分に発生しやすい病気で、感染した部分が水っぽくなり黄褐色に変色します。放置すると腐敗が始まり、悪臭を放つようになるのが特徴です。腐敗が地下部分にまで達すると、株ごと倒れてしまう恐れがあります。薬剤を散布しても治せないため、早めに取り除いて処分してください。
星美人を購入する場合は、葉が茎にしっかりとついており、粉がきれいな白色をしている苗を選びましょう。葉の裏側までしっかりとチェックして、病害虫被害を受けていない苗を購入してください。星美人のこんもりとしたかわいらしい見た目を楽しむためには、茎が徒長していない苗がおすすめです。
星美人の植え替えは、植え付けと同じ3月〜4月か9月〜10月に行います。白色の根が新しく、黒色や茶色の根は古い根です。そのため、根についている古い用土を落とし、茶色や黒色の根を手で軽く引っ張って取り除いてから植え替えてください。鉢が大きすぎると、水分を含みすぎて用土が乾きにくくなり、根腐れを起こす原因となるので注意しましょう。
植え替えは必要?
星美人は毎年植え替える必要はありませんが、根詰まりを起こしたり土が硬くなったりすると成長が滞ってきます。そのため、土が硬くなり株が窮屈そうに感じたら植え替えましょう。
星美人の剪定は、3月〜5月か10月〜11月に行います。茎が徒長していると、星美人独特のこんもりとしたかわいらしい姿が楽しめません。草姿を整えるために、徒長している部分は剪定していきましょう。剪定したときに不要になった葉は、葉挿しに利用できます。捨ててしまわず新しい用土に挿しておくのがおすすめです。
星美人は日光を好みますが、夏の直射日光に長く当てると葉焼けを起こす恐れがあります。優しく日光が差し込むような室内や、軒下などの半日陰で管理するのがおすすめです。屋外で夏越しさせる場合は、遮光シートを利用して30%〜40%ほど遮光してください。日光の全く当たらない場所で管理すると、茎だけが徒長して見た目が悪くなるので注意しましょう。
星美人は耐寒性がやや弱いため、冬は室内で管理しましょう。また、冬越しの際には「ビニール温室」を利用するのもおすすめです。ホームセンターや通信販売でも気軽に購入できるため、庭の大きさにあったサイズを購入し、ビニール温室で冬越しさせても構いません。
星美人は多肉植物のため、葉挿しでの増やし方が一般的です。葉挿しでの増やし方も、株分けと同じ3月〜4月か9月〜10月に行いましょう。多肉植物には「成長点」と呼ばれる細胞分裂をして増えていく部分があります。葉挿しをする場合は、成長点を失わないように採取しましょう。葉の切り口部分をしっかりと乾燥させてから、赤玉土などの新しい用土に挿してください。
星美人の葉挿しに利用する葉は、栄養分をしっかりと含んでいる部分を使用しましょう。落葉した葉や紅葉している葉を使用すると栄養分が足りず、上手に発根や発芽をしない恐れがあるので避けてください。剪定で切り落とした健康的な葉を使用しても構いません。
葉挿しを成功させるコツは?
星美人の葉挿しを成功させるには、発根するまでは水を与えないのがコツです。葉の切り口を完全に乾かしてから用土に挿しますが、水やりをする必要はありません。発根するまでは直射日光の当たらない半日陰で1ヶ月ほどまちましょう。切り口から発根したのを確認してから、はじめて株元に水を与えます。
出典:写真AC