園芸部類 | 野花 |
形態 | 常緑多年草 |
樹高・草丈 | 5~15cm |
花の色 | 白、ピンク |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
特性・用途 | 観賞用 |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
イワウチワは日本原産の野花のひとつです。近畿地方~東北地方の山林に自生し、4~5月にピンクや白の花を咲かせます。暑さに弱く寒さに強いので、育てる場合は温度管理が重要です。名前の由来は、葉の形がうちわのように見えることから「岩団扇(いわうちわ)」と名づけられたといわれています。
アマミイワウチワは奄美大島固有の変種のひとつです。絶滅危惧種として認定されているため、なかなか出会えない珍しい花のひとつといえるでしょう。葉と花にギザギザとした切込みが入っていることが特徴です。もし見つけたとしても持ち帰らずにそっとしておきましょう。
オオイワウチワは淡いピンク色で少し大きめの花が特徴の品種です。青森県~新潟県の日本海側に生育しており、葉が大きいことから「大岩団扇」と名づけられました。
コイウチワはその名の通り葉が小さいことが特徴の品種です。東北~関東地方の太平洋側に多く生育しています。小型の葉は長さよりも幅のほうが広く、葉脈がしっかりしており、ハートのような形に見えるのも特徴です。
トクワカソウはイワウチワの変種の一種です。イワウチワが葉の基部がくびれてハート形をしているのに対し、トクワカソウは円形です。花の形はほとんど変わりません。主に北陸~近畿地方に分布しています。
シマイワウチワは沖縄県や台湾の一部に分布する変種のひとつです。小ぶりの白い花と7~8cmほどの大きい葉が特徴で、準絶滅危惧種に指定されています。
植え付け時期 | 2~3月頃 |
植え替えの時期 | 10~11月頃 |
肥料の時期 | 春~夏頃 |
花が咲く時期/開花時期 | 4~5月頃 |
イワウチワの栽培適期は特に決まりはありませんが、高温に弱いので夏に植え替えを行うのは控えましょう。株が弱り、枯れに繋がることがあります。植え付けや植え替えを行うときは温かくなる直前の2~3月か、休眠期に入る前の11~12月がおすすめです。
イワウチワは湿度管理と温度管理が大切なので、庭植えよりも鉢植えのほうがよく育ちます。もし、庭植えにしたい場合は、直射日光の当たらない日陰で、適度に湿度が保てる場所に植えるとよいでしょう。また、土の表面をミズゴケなどで覆い、水分が逃げるのを防ぐのも有効です。栽培環境を日本の山林に近づけることが大切なポイントです。
イワウチワを鉢植えで育てる場合は、苗よりもひと回り大きい鉢を用意します。鉢底に軽石を敷いてから用土を入れ、イワウチワの苗を植え付けましょう。植え付け前に傷んだ葉を取り除いておくと、病気や害虫予防として効果的です。また、植え付けの際に液肥を少しだけ入れることで育ちがよくなります。鉢植えで育てる場合も、水を含ませたミズゴケで土の表面を覆い、乾燥を防ぐとよいでしょう。
イワウチワは高温多湿に弱いため、関東以南の温暖な地域では室外管理は難しいです。室内管理をおすすめします。関東以北であれば室外管理も可能ですが、温度と湿度の管理が難しいため室内管理の方が栽培しやすいでしょう。
イワウチワは日光が苦手なので、室内・屋外問わず直射日光が当たらない場所で管理しましょう。また、高温になりやすい場所での管理は枯れに繋がるので注意が必要です。夏場は冷房の効いた室内で管理するか、風通しのよい日陰で育てましょう。
イワウチワは山林で育つ野花なので、用土も山林に近づける必要があります。自分で配合する場合は赤玉土と腐葉土を、腐葉土多めで配合した用土がおすすめです。市販の山野草用の土でも問題なく育ちます。
イワウチワの水やりは生育期と休眠期で変える必要があります。生育期である春~夏は開花の時期でもあるため、たくさんのエネルギーを必要とします。そのため、水を切らさないように、土の表面が乾燥したら都度水を与えましょう。休眠期である冬は、極端に土が乾燥していなければ水やりは不要です。乾燥がひどく水を与える場合は、少量で土の表面を湿らす程度で問題ありません。
イワウチワは基本的に肥料はあまり必要ではありません。しかし、開花時期の春~夏はエネルギーが必要なので、薄めた液体肥料を月に1度ほど施すとよいでしょう。
イワウチワには害虫はほとんどつきませんが、まれにアブラムシやカメムシ、ハダニが発生するときがあります。そのままにしておくと枯れにつながるため、見つけ次第駆除しましょう。
イワウチワがかかりやすい病気のひとつに軟腐病があります。葉に細菌がついて腐ってしまう病気で、放置すると葉の腐敗や枯れに繋がるため注意が必要です。高温多湿で不衛生な場所で発生しやすいため、温度管理を徹底することが予防になります。また、植え替えの際に根や葉に傷をつけないことも大切です。梅雨~夏場は特に注意してください。もし発生してしまった場合は、伝染する前にすぐに株を抜き取り、処分しましょう。
イワウチワの花後の管理は特に必要ありません。しかし、花後には種が落ちている場合があります。開花後にイワウチワの周囲をよく見るようにしてください。種はそのまま種まきに使えるので、採取しておくとよいでしょう。
イワウチワの苗を選ぶときは、葉に元気があり、つやつやとしたものを選びましょう。葉の一部が腐って溶けていたり、変色していたりしているものは病気にかかっている可能性があるので避けてください。
イワウチワの植え替えは2年に1度程度の頻度で行います。植え替えの際は、根やランナーを傷つけないようにそっと取り出し、ひと回り大きい鉢に移しましょう。主幹を崩さないようにし、元の土をある程度つけたままで植え替えるとうまくいきます。ランナーは乾燥を防ぐためにしっかりと用土に埋め込み、芽の基部まで用土で覆うとよいでしょう。
イワウチワの剪定は特に必要ありません。
イワウチワの夏越しは、温度管理が大切です。イワウチワは直射日光と高温に弱いので、夏場は室内の冷房が効いている場所で管理しましょう。また、乾燥しすぎると枯れてしまうため、水切れにも注意してください。夏場の高温多湿はイワウチワのかかりやすい病気である軟腐病の原因となるので、葉のようすに異変がないかよく観察することが大切です。
イワウチワの冬越しは特に必要ありません。乾燥がひどい場合のみ、湿らす程度の水やりを行ってください。
イワウチワの増やし方は株分けが一般的です。植え替えの際に、主幹がついている部分を株分けするとよいでしょう。また、夏の花後に種が取れるので、種まきでも増やすことは可能です。採取した種は保管せずにすぐにまくことでうまく根付くでしょう。
(山野草)イワウチワ(岩団扇)3号(1ポット)
参考価格: 858円
イワウチワはネット販売を利用して購入するとよいでしょう。ポッド苗のものは植え替えもしやすくおすすめです。
育てやすさ | ★★★☆☆ |
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レア度 | ★★☆☆☆ |
出典:写真AC