オオイワウチワ(大岩団扇)とは?イワウチワとの違いや見分け方を紹介!

オオイワウチワ(大岩団扇)とは?イワウチワとの違いや見分け方を紹介!

オオイワウチワ(大岩団扇)とは、雪解けとともに、淡桃色の花を咲かせる多年草です。イワウチワ属のオオイワウチワ(大岩団扇)とイワウチワ(岩団扇)は、見た目も名称もよく似ていますが、実は違う特徴があるのです。今回は両種の違いや見分け方について見ていきましょう。

記事の目次

  1. 1.オオイワウチワ(大岩団扇)とは?
  2. 2.オオイワウチワ(大岩団扇)の特徴
  3. 3.オオイワウチワ(大岩団扇)とイワウチワ(岩団扇)の違い
  4. 4.まとめ

オオイワウチワ(大岩団扇)とは?

オオイワウチワ(大岩団扇)の基本情報

和名 オオイワウチワ
学名 Shortia uniflora maxim. var. uniflora
分類 イワウメ科イワウチワ属
種類 多年草
分布 青森~新潟の日本海岸側
植生環境 山地・林内
開花期間 4月下旬~5月

オオイワウチワとは、イワウチワの基準変種で青森~新潟など、日本海側の雪深い環境に生息する多年草植物です。耐寒性がある常緑多年草のオオイワウチワは、雪解けとともに真っ先に淡いピンク色の花を咲かせる、春の代表的な草花の一種類です。草丈は15cm程度で、群生する傾向があります。

オオイワウチワ(大岩団扇)の語源

オオイワウチワの語源は、その生息地環境や葉の形に由来しています。イワウチワの変種であるオオイワウチワは、イワウチワと同様に岩地のような生息環境を好み、葉が団扇(ウチワ)のような形をしていることから、大岩団扇と呼ばれています。また、オオイワウチワは、イワウチワよりも葉が大きいため、名称に「大」の文字が加えられました。

英名の語源

北アメリカ大陸にも分布するイワウチワ属は、開花途中の花の形が「鈴」や「鐘」のように見えるため、同様の意味を持つ英単語の「Bells」が名称に含まれています。オオイワウチワは、英語で「Nippon Bells」です。「鈴」のような花を控えめに咲かせるところが、日本の奥ゆかしさを感させ「日本の鈴」という呼称にピッタリではないでしょうか。

オオイワウチワ(大岩団扇)の花言葉

オオイワウチワはイワウチワと同じく、「春の使者」「適応力」という花言葉を持ちます。雪解けとともに開花時期を迎えるオオイワウチワは、春のおとずれを告げるため「春の使者」という花言葉がつけられました。また、傾斜がある岩場などでも自生し、厳しい冬を超えて花を咲かせる草花だという観点から、「適応力」という花言葉もつけられたといわれています。

ボタニ子

ボタニ子

あれ?でも、3月の誕生花のオオイワウチワには「秘めた感情」とか、「忍耐」の花言葉があるみたいだけど、どういうこと?

ボタ爺

ボタ爺

3月23日の誕生花のオオイワウチワは、ユキノシタ科ベルゲニア属のヒマラヤユキノシタじゃ。違う種類の花だから混同しないように。

ボタニ子

ボタニ子

なるほど。ボタ爺、ありがとう!

オオイワウチワ(大岩団扇)の特徴

特徴①自然分布域

オオイワウチワは、日本海側の雪深い環境で生息する日本の固有種です。耐寒性があるかわりに、暑い環境では育ちません。ブナが群生するような、やや暗い林床を好んで生息します。個体によって湿気の高さや水はけのよさなどの環境条件は多少違いますが、基本的に雪深い地域、木漏れ日が注ぐ程度の日陰や半日陰を好んで群生する傾向があります。

特徴②葉

オオイワウチワの葉はほぼ円形です。イワウチワに比べ、オオイワウチワの葉は一回り大きく、直径3cm~8cmほどで基部は心型(ハート型)です。葉の質は厚めで堅く、表面には光沢があります。浮き出るような葉脈が印象的なオオイワウチワの葉の縁には、波状の鈍いギザギザがあります。

特徴③花

開花時期は、4月下旬~5月です。春を知らせるように山に優しい色を添えるオオイワウチワの花は基本的に淡桃色をしていますが、白い花もあります。花の大きさは3cmほど、広鐘形(こうしょうけい)で先が5裂し、花びらの縁は浅く細かく裂けています。オオイワウチワは、一つの花茎にうつむき加減のしおらしい清楚な花を一花だけしか咲かせません。

オオイワウチワ(大岩団扇)とイワウチワ(岩団扇)の違い

イワウチワとは

和名 イワウチワ
学名  Shortia uniflora var. orbicularis
分類  イワウメ科イワウチワ属
種類  多年草
分布  北陸から近畿・中国地方
植生環境 山地の岩場・崖地の斜面
開花時期  4月~5月

イワウチワは、3つの変種にわけられます。葉の大きさが小さい順にコイワウチワ、イワウチワ、そしてオオイワウチワです。イワウチワもオオイワウチワと同様に、淡桃色の花を咲かせます。花の色や形、大きさなど非常によく似ていてるため、花だけ見ても、ほとんど見分けはつきません。

イワウチワとの違い①自然分布域

オオイワウチワとイワウチワは、両種とも耐寒性が強く、木漏れ日程度の日照状況の中でも育ちます。しかし、自然分布域が違います。オオイワウチワの生息地は、青森~新潟までの日本海側ですが、イワウチワは、北陸~近畿・中国地方の山地帯の林内、岩場や崖地に分布しています。基本的には観察される場所によって種を見極めることが可能です。

イワウチワとの違い②葉

オオイワウチワとイワウチワは、葉の大きさが違います。オオイワウチワの葉が、大人の手のひら(指を除く)ほど大きくなるに対し、イワウチワの葉の長さは2cm、幅は4cmほどの大きさです。オオイワウチワの葉は大きく長さと幅が同じ円形の葉ですが、イワウチワの葉は小さく長さよりも幅が広い楕円形をしています。

よく似たコイワウチワとは

コイワウチワの葉は、イワウチワよりも小さく、幅が広めの楕円形です。オオイワウチワやイワウチワと似た花を咲かせるため、花だけでは見分けはつきにくいですが、楕円形の小さい葉や、葉脈がやや白く目立つ特徴から区別できます。関東地方~宮城県の太平洋側の林内に分布し、生息地に由来して「カントウイワウチワ(関東岩団扇)」とも呼ばれます。

まとめ

オオイワウチワは淡桃色の花を咲かせ、サクラの花が散ったような幻想的な光景を毎年楽しませてくれる雪山の多年草です。オオイワウチワとイワウチワは花だけでは見分けがつきにくいですが、葉の大きさや形に違いがあり、自然分布域も違うので、観察地から種を推測することもできます。厳しい冬を越え花を咲かせるオオイワウチワの次の開花を楽しみにしたいですね。

菖蒲月
ライター

菖蒲月

色鮮やかな毎日を、菖蒲月です。

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