アークトチス・グランディスの特徴
アークトチス・グランディスはガーベラに似た白い花が特徴の、南アフリカ原産のキク科の植物です。草丈は小さいものでは20センチ、大きいものだと50センチを超えるものもあります。
性質
関東より西の温暖地では、暑さの盛りを越えた9月に種をまき、翌年4月ごろから花を楽しめますが、高温多湿に弱く夏越しは難しいので、本来は多年草ですが一年草に分類されます。真夏を避ければわりと作りやすく増やし方もかんたんで、花の数を多くつけるので人気のある花の一つです。
アークトチス・グランディスの基本情報
学名 | Arctotis grandis |
科名 | キク科 |
原産地 | 南アフリカ |
属名 | アークトチス属(ハゴロモギク属) |
別名 | ハゴロモギク/アルクトティス |
形態 | 多年草(一年草扱い) |
草丈 | 20センチ~60センチ |
開花時期 | 4月~7月 |
花色 | 白 |
花言葉 | 個性豊か、若き日の思い出 |
アークトチスの花の色は白、赤、ピンクと様々あるので、カラフルな寄せ植えもやりやすいです。ちなみにアークトチス・グランディスという名前の由来は、ギリシャ語でarktos(熊)+ous(耳)+grandis(大きい)→大きな熊の耳という説が有力です。また、花言葉は「個性豊か」「若き日の思い出」です。
アークトチスの品種
アークトチス・グランディス
園芸店やホームセンターで最も流通しているものがアークトチス・グランディスです。真っ白のものや薄い青みがかったものがあります。また、花径は5~8センチほどで、草丈は50センチ以上になる立性です。
アークトチス・アカウリス
アークトチス・アカウリスは、グランディスに比べると草丈はやや小さく、オレンジやピンク、赤色など花弁の色が派手な傾向があります。アークトチスという表記のみの場合は、カラフルなアカウリスであることが多いです。
アークトチス・グランディスの育て方
お庭の一角に咲いた真っ赤なアークトチス。栽培のコツをつかめば、こぼれ種により毎年同じ場所に綺麗な花を咲かせてくれます。
① 用土
原産地が南アフリカのサラサラな土壌のため、水はけがよい土を好みます。市販の培養土を購入する際には、水はけや保水性についてチェックしましょう。やむを得ず保水性の高いものを使用する場合は、水を少なめにして乾燥気味に育てましょう。
② 植えつけ時期
種まきの場合は9月~10月中旬までには種をまきましょう。寒さのピークが来る前までに、ある程度は株が大きくなっている必要があります。種のまき遅れには注意しましょう。苗を定植する場合は、12月までにアークトチスの根っこを土壌に活着できるよなスケジュールを組みましょう。
③ 植えつけ場所
日当たりは必須のため、日陰や半日蔭は避けましょう。また、じめじめとした環境が苦手なので隣の作物との距離を置いて、風通しを良い場所を選びましょう。
④ 肥料
培養土に化学肥料を少量、混ぜておきましょう。肥料のやりすぎには十分注意してください。肥料をやりすると根腐れの原因にもなりますし、葉っぱが必要以上に茂ってしまい、風通しが悪くなってしまうからです。ただし、開花の時期には緩効性肥料か液体肥料を効かせると、花を長い期間咲かせます。
⑤ 種まき
関東以西の一般地では、9月から10月が種まき適期です。新品の培養土に種が重ならないようにまき、水をたっぷりとやります。発芽するまで1週間ほどかかりますが、この間に種を乾かしてしまうと発芽率が下がってしまいます。種の水やりには十分気を付けましょう。
⑥ 水やり
原産地がサラサラな土壌の植物のため、水のやりすぎには弱いです。ほかの植物よりも乾燥気味に育てると上手に育ちます。お庭の畑に直接植える場合などの鉢植え以外では、雨だけで大丈夫です。
⑦ 植え付け
植えつける土壌の水はけに注意して植えます。この時、ほかの作物との株間は30センチほど開けましょう。狭く植えてしまうと根っこが張るスペースが確保できない、風通しが悪くなるなどといったことが起きてしまいます。
⑧ 夏越し
アークトチスは夏の高温と多湿の環境に弱いため、夏越しはできないといわれています。しかしそれらの課題をクリアできれば夏越しは可能です。夏越しにチャレンジされる方は、以下を参考にしてみてください。
気温の対策
- 地温の上昇を防ぐ“白マルチ”を敷く。
- 寒冷紗などで日差しを遮る。
湿度の対策
- 土に軽石やパーライトなど、通気性の良い素材を多めに配合する
- 風通しの良い場所に移動させる(鉢植えの場合)
- 畝の高さを高くする(地面に直接植え付けている場合)
⑨ 切り戻し
アークトチスは4月ごろから花を咲かせますが、長期間さかせるためには、咲き終わった花や古くなった茎を切り落とす「切り戻し」という作業をしましょう。切り戻しを定期的に行うことで、古い茎や葉っぱに栄養が移るのを防ぎます。手間かもしれませんがこまめに行いましょう。
⑩ 霜対策
アークトチスの栽培で特に注意すべきは真冬の管理です。強い霜は、葉っぱを傷ませてしまいます。鉢植えの場合は霜が当たらないところへ移動させ、その場に植え付けている場合は不織布をかけるなどして、霜が当たらないようにしてあげましょう。特に苗が小さい場合は、霜で全滅してしまうなんてこともあるので要注意です。
アークトチス・グランディスの増やし方
アークトチス・グランディスの増やし方には、種まきと挿し木の2通りあります。順番に紹介していきます。
種まき
一番オーソドックスな増やし方として種まきがあります。1年目は市販の購入した種を9月ごろにまきますが、1年目の開花時期以降ほったらかしにしておくと、こぼれ種が庭や植木鉢に落ちて、また夏以降に芽を出します。鉢植えの場合はこぼれ種が落ちることを想定して、初めから大きめの鉢で育てましょう。
注意点
こぼれ種をそのまま放っておくと、辺り一帯がアークトチスだらけになってしまいますので、適度な管理が必要です。ただし、細かな栽培管理などは必要ありません。
挿し木
アークトチスは挿し木によって増やすこともできます。基本的には茎を適当な大きさに切って地面に挿すだけですが、ポイントが2つあります。挿した土に雑菌がついていないようにすることと、茎に水分を与えすぎて腐らせないようにすることです。土の対策としては、新品の“挿し芽専用の土”を利用するとよいでしょう。茎は風通しの良い日陰で一晩ほど乾かす、茎の切り口に発根促進剤を使うなどすれば成功率が上がります。
病気・害虫
害虫の種類
アークトチス・グランディスはアブラムシやハリモグバエが発生しやすいです。どちらの虫も春先3~4月が一番活発に行動しますので、この時期は特に対策をしましょう。基本的にアークトチスは病気にはかかりにくいですが、アブラムシが病気を媒介してくることがあります。直接的な被害がなくても、アブラムシの発生には気を付けましょう。
対処法
農薬で対策するならオルトラン粒剤・液剤か、ベニカ水溶液・ベニカXが効果的です。これらの農薬はホームセンターの園芸コーナーだけでなく、ドラッグストアでも購入できます。また、鉢やプランターで栽培している場合は培養土を使いまわす、培養土を購入してから長い間雨風にさらされているなどの状態だと、病気や害虫が発生することがあります。培養土は新品を購入し、使い切るようにしましょう。
まとめ
ポイントをしっかり押さえれば、夏越しも可能なアークトチス。白だけではなく赤やオレンジとカラフルな品種も多いので、寄せ植えでもお庭に直接植えてもかわいく映えるでしょう。また、次々と花を付けるのでこぼれ種がたくさん落ち、増やすのもとても簡単です。ぜひ一度育ててみてはいかがでしょうか。