カレンジュラの概要
カレンジュラは南ヨーロッパ原産の草花です。日本ではキンセンカという名前で呼ばれています。黄色やオレンジなどの明るい花色と、開花時期が長いこと、そして丈夫で育てやすいことから、鉢植えや花壇などでよく栽培されます。また、薬用ハーブや料理の着色料としてもよく利用されてきました。中世ヨーロッパでは、ペストの予防薬や強心剤として用いられていた記録も残されています。
名前の由来・意味
学名の由来はカレンダーの語源
学名の「Calendula」の語源は、ラテン語で「毎月の第1日」を意味する「Calendae」です。これはカレンジュラの開花時期が長く、どの月の初めでも花を見られることに由来しています。なお「Calendae」は「カレンダー」の語源でもあります。和名の「キンセンカ」は、花の形が盞(さかずき)に似ていることが由来です。さらにカレンジュラの明るい花色を黄金色にたとえて「金の盞の花」から「キンセンカ(金盞花)」となりました。
カレンジュラの基本データ
学名 | Calendula |
科名 | キク科 |
属名 | キンセンカ属(カレンデュラ属) |
別名 | キンセンカ、カレンデュラ、ポットマリーゴールド |
形態 | 一年草・多年草(一年草が一般的) |
樹高・草丈 | 10cm~60cm |
開花時期 | 12月~5月 |
花色 | 黄、オレンジ、複色 |
カレンジュラの特徴
冬の花壇の定番植物
寒さに強く、冬頃から開花することもあって、冬の花壇やコンテナ栽培の定番植物とされています。花色も明るく華やかな暖色系なので、色彩に乏しい冬の花壇を鮮やかに演出してくれる貴重な存在です。草丈が低く、病気や気温の変化にも強いことから、寄せ植えにもよく利用されています。
日本では秋まきの一年草として扱われるのが一般的ですが、種類によっては短命な多年草として扱うこともあります。
薬用ハーブ・食用花としても使える
日本では主に観賞用植物として栽培されていますが、ヨーロッパでは原種を薬用ハーブとして利用してきたという歴史があります。皮膚や粘膜、血管の保護・修復効果があることから、皮膚薬として用いられていました。花はエディブル・フラワー(食用花)として利用されています。鮮やかな花色から、サフランの代用品として利用されることも多いです。
乾燥させたカレンジュラの花びらを、植物油に浸して抽出したオイルを配合したスキンケア用品も多く作られています。
カレンジュラの種類・品種
ここでは、カレンジュラの主な種類・品種を紹介します。非常に品種が多いので、ここで紹介するのはほんの一部ですが、いずれも魅力あふれる素敵な花ですよ。
カレンジュラ・オフィシナリス種(トウキンセンカ)
もっとも多く栽培されている原種
カレンジュラの原種は20種類ありますが、その中でもっとも多く栽培されているのが、オフィシナリス種です。単純にキンセンカと呼ぶ場合、多くはこの種を指します。以前は「トウキンセンカ(唐金盞花)」と呼ばれていました。この唐は昔の中国のことではなく「海外から来た」という意味でつけられたものです。多くの品種が作出されており、花の大きさや草丈の高さなど、いろいろなバリエーションがあります。
冬知らず
寒さに強い小型品種
「寒咲きキンセンカ」「ヒメキンセンカ」とも呼ばれている品種です。名前の由来は寒さに強く、雪が降らない地域なら真冬でも咲いていることからきています。その強健さと、直径2cmほどしかない小さい花が特徴です。横に広がる性質を持つため、花壇や寄せ植え、ハンギングバスケットなどにもよく利用されています。繁殖力も強く、一度植えるとこぼれ種でどんどん増えていきますよ。もちろん、翌年にも花を咲かせます。
まどかシリーズ
寒さにも病気にも強い人気シリーズ
まどかシリーズは、カレンジュラの園芸品種シリーズです。寒さやうどんこ病などの病気にも強い上に、花色も花形も豊富なことから、高い人気を誇っています。-10℃まで耐えられる高い耐寒性もさることながら、耐暑性もあるので、秋から初夏の花壇を鮮やかに彩ってくれますよ。「チーズトルテ」「モンブラン」「オレンジフレーバー」と、花色に合わせた美味しそうな名前の品種が多いのも面白い特徴ですね。
チアーズシリーズ
花壇や寄せ植えに最適な園芸品種シリーズ
チアーズシリーズは、イスラエルのダンジガー社が品種改良したカレンジュラの園芸品種シリーズです。寒さやうどんこ病に強く、秋から春まで長い間楽しめます。花は小さく草丈も15cm~30cmと低めに育つので、花壇の前方や寄せ植えに最適でしょう。ただし耐寒性が高い分、耐暑性はやや低いので、気温が高くなりやすい地域で育てる場合は注意が必要です。
ボタニ子
次は、カレンジュラの育て方のポイントについてご紹介します。
出典:写真AC