ハルシャギクとは?
名前 | ハルシャギク |
和名 | 波斯菊 |
学名 | Coreopsis tinctoria |
分類 | キク科:ハルシャギク属 |
高さ | 60cm~80cm |
開花時期 | 7月~9月 |
明治初期に北アメリカから渡来
ハルシャギク(和名:波斯菊)は北アメリカ原産の植物で、明治初期に観賞用として渡来後、鉢植えや庭での地植えで栽培されています。栽培以外では日当たりのよい河原の土手に群生して育ち、1年草ですが繁殖力が旺盛な特徴をもちます。
雑草に分類されているハルシャギク
旺盛な繁殖力で市街の空き地や道端にも生えることからハルシャギクは雑草にも分類され、野生化も進み帰化植物に認定されています。
ハルシャギクは食用にはならない
キク科の植物には「食用キク」や「阿房宮(アボウキュウ)」など、食用になる種類のキクもありますが、ハルシャギクは食用にはなりません。ハルシャギク自体に毒はありませんが、日本ではあくまで雑草というイメージを強くもつ植物です。
染色に使われているハルシャギクの花
ハルシャギクの花から、黄色やオレンジ色に染めることができる染色液が採れます。群れになって咲くためまとまった染色液を得ることができ、綿だけでなくシルクやウールなど幅広く染色できるのも優れた特徴で、染め上がりはくっきりとした色合いになります。
ハルシャギクの名前の由来
「波斯(ハルシャ)」は現在のイランのこと
和名の「波斯(ハルシャ)」とは現在の「イラン(古名:ペルシャ・ペルシア)」のことですが、ハルシャギクはイランに生息しておらず、古名の「ペルシャ」の音の響きに当てた、当て文字が名前の由来になっています。
ハルシャギクの花言葉
花の見た目や色にちなんだ花言葉
ハルシャギクの花言葉には、つぎのようなものがあります。
- 「いつも陽気」
- 「一目惚れ」
ハルシャギクの特徴
ハルシャギクの特徴1:茎
短毛はなく筋がある茎
60cm~80cmほどの高さになる茎は明るい緑色や深緑色で、短毛はなく筋があります。茎は寒い季節になると茶褐色に変わり、果実をつけたまま立ち枯れするものもあります。
ハルシャギクの特徴2:葉
付け根部分まで切れ込みが入る葉
シンメトリーに茎から生える葉柄とそこから伸びる葉は細くしなやかで、葉の中心に葉脈が入り、葉脈は葉裏から見るとくっきりしています。葉表の色は黄緑や緑色で葉先が赤みを帯びることもあり、葉裏の緑色は薄く白が入ります。一見すると葉が3枚あるように見えますが、葉の付け根部分まで深い切れ込みが入っている「深裂」になっていて、葉の中心部分が一番長く飛びだし、ほかの2枚は短いのが特徴です。
ハルシャギクの特徴3:花
多く見られるのはツートンカラーの花色
ハルシャギクの花柄は1本の茎から2又、3又に分かれて伸び、花柄が長いのが特徴です。花の色はいくつかありますが、比較的多く見られるのは黄色と赤茶色のツートンカラーで、花びら付け根近くや半ばあたりから色が分かれます。花の大きさは直径4.5cmほどで花びら1枚の長さは約1cm~2cm、枚数は8枚、花びらの縁はギザギザしており3つの山になっています。花の中央には雄しべと雌しべがありますが、雄しべのほうが先に外へでて、入れ替わるようにあとから雌しべがでてきます。
開花時期は夏から秋の初め
開花時期は夏から秋の初めまでで、群生している場所は一面明るい色に覆われて見ごたえがあります。花の季節が終わると花びらを落としてガクが残り、寒い季節が来るまで中に種子をもって育ちます。
ハルシャギクの特徴4:種子
ガクの中に種子を含む集合果
ハルシャギクは集合果で種子を含むガクの大きさは約1cm、乾燥してくると茶色に変色します。中にある種子の色は黒で1粒の大きさは2mm~2.5mmほど、平たい種はゆるやかに湾曲し種子の表面には粒状の細かなでっぱりがいくつもあります。
ハルシャギクの育て方
ハルシャギクの育て方1:場所
日当たりを好むが耐暑性は弱い
日当たりがよい場所を好みます。土手や空き地など、ほかの雑草のなかでもよく育つことから丈夫な植物と言えますが、強い日差しや暑さに弱い一面をもちます。
ハルシャギクの育て方2:水やり
水やりは種まきのときに必要
種まきのときに水やりが必要ですが、庭への直播はそのあと水やりの必要はなく、鉢植えは土がカラカラに乾く前に水やりし、根っこが腐れないように水の与えすぎには注意します。
ハルシャギクの育て方3:用土
水はけのよい用土を使う
水はけのよい市販の草花培用土を使い、自分でブレンドする場合は赤玉土と腐葉土を7:3の割合でミックスして使います。
ハルシャギクの育て方4:肥料
直播は必要なく、そのほかは液体肥料を与える
庭へ直接まく場合は肥料の必要がなく、無肥料のほうが茎が倒れにくく成長します。鉢植えや長期間開花する種類のものは、月に3回~4回草花用の液体肥料を与えます。
ハルシャギク属の種類
ハルシャギク属の種類1:イトバハルシャギク
名前 | イトバハルシャギク |
和名 | 糸葉波斯菊 |
学名 | Coreopsis verticillata |
分類 | キク科:ハルシャギク属 |
高さ | 20cm~60cm |
開花時期 | 6月~9月 |
単色の花を咲かせるイトバハルシャギク
イトバハルシャギク(和名:糸葉波斯菊)はハルシャギクと違い、花びらの色が単色なのが大きな特徴です。北アメリカの東部が原産のイトバハルシャギクは乾燥や寒さに強く、日本では道端や河原の土手に自生しています。とても丈夫な性質で育てやすいことから、公園などで栽培され親しまれています。
草丈はそれほど高くならず、針のような葉や花柄を多く生じ、直径5cmほどの黄色い花をたくさん咲かせます。植物の姿はコスモスにも似ていますが、弱冠コスモスより花のサイズは小さめです。
ハルシャギク属の種類2:オオキンケイギク
名前 | オオキンケイギク |
和名 | 大金鶏菊 |
学名 | Coreopsis lanceolata |
分類 | キク科:ハルシャギク属 |
高さ | 30cm~70cm |
開花時期 | 5月~7月 |
駆除の対象となっているオオキンケイギク
オオキンケイギク(和名:大金鶏菊)は、単色の花と花びらの先がギザギザに裂けているのが特徴です。北アメリカから日本へ入ってきたオオキンケイギクは、切り花やドライフラワーなどに使われてきましたが、野生化したものの繁殖力が強くほかの植物の脅威となることから、栽培の禁止と駆除の対象となる特定外来生物に指定されています。
オレンジがかった黄色い花は8枚の花びらをもち、大きさは直径約5cm~7cm、オオキンケイギクもコスモスに似た花を咲かせますが開花時期はコスモスより早く、花びらが八重になるものもあります。葉には産毛のような短い毛が生え、少し丸みを帯びた楕円形です。
まとめ
ツートンの華々しい色の花を咲かせるハルシャギク。7月~9月の開花時期に土手などで目に鮮やかな群生するハルシャギクを見れば、「一目惚れ」という花言葉も納得してしまいます。雑草といって簡単に引き抜いてしまうのはもったいない!群生している場所を見つけたらほんの少しおすそ分けしてもらい、自宅でその華やかさを楽しみましょう。
出典:写真AC