オステオスペルマムとは?
オステオスペルマムは、南アフリカなどに分布するキク科の花です。覚えにくい名前ですが、ギリシャ語由来で「骨の」(オステオ)「種」(スペルマム)の意味を持ちます。なじみやすいキク科の花なので、名前を知らないまま親しんでいる方もいらっしゃるかもしれませんね。
ボタニ子
「オステオ」「スペルマム」なのね。意味を知ると覚えられるかも!
オステオスペルマムの基本情報
名前 | オステオスペルマム、アフリカンデイジー、アフリカキンセンカ |
学名 | Osteospermum ecklonis |
科/属 | キク科オステオスペルマム属 |
原産地 | 南アフリカなど |
花色 | ピンク、紫、白、オレンジ、赤、黄色など |
草丈 | 20cm~70cm |
原産地の名前を付けた「アフリカンデイジー」などの別名があります。多年草ですが日本の高温多湿に弱く、1~2年草扱いの種類もあります。
花の特徴
原種はピンク色の花で夜間は閉じる
キク科の花は、中心に集まる管状花(筒状花)と、花びらのような舌状花で構成されます。オステオスペルマムも、原種「オステオスペルマム・フルティコサム」や原種に近い種類は、中心にラベンダー色の管状花が集まり、そこからうすいピンク色の舌状花が伸びています。夜間や雨などで太陽の光が弱まると花を閉じる性質があります。
花色豊かな園芸品種
園芸品種では、ピンクに加え、赤、白、黄色、オレンジ、白とさまざまな花色が誕生しています。八重咲きやスプーン咲きもあり、夜でも花が閉じにくい品種(ピクニック)も作られています。
葉の特徴
葉は明るいグリーン色で常緑です。斑入りの園芸品種(ザイール)もあります。
耐寒性・耐暑性
半耐寒性ですが、霜に当たると枯れることがありますので、冬越しに少し気を配ってあげましょう。また、夏場の多湿には弱いので、蒸れないように切り戻します。
オステオスペルマムの園芸品種
オステオスペルマム・アキラ
オステオスペルマム・アキラは、種まきから育てることができる種類です。コンパクトで育てやすく、薄いピンク、濃いピンク、黄色、レッド、黄色系と、花色も揃っています。
オステオスペルマム・サニーフィリップ
オステオスペルマム・サニーフィリップは、スプーン咲きになります。周りの舌状花が内巻きになる個性的な種類です。
オステオスペルマム・ダブルファン
オステオスペルマム・ダブルファンは八重咲きの種類です。中心の管状花を大きく育て、八重咲きにしています。こちらもピンク、濃紫、薄紫、黄色など、花色は豊富です。
オステオスペルマム・シンフォニー
オステオスペルマム・シンフォニーは近縁種のディモルフォセカと交配した種類で、ディモルフォセカの花色を生かした明るい黄色系のほかに、白い花(ホワイトシンフォニー)も人気があります。
オステオスペルマム・ザイール
オステオスペルマム・ザイールシリーズは、斑入りの葉が特徴的な品種です。写真は、オステオスペルマム・ザイール・バリエガータです。
オステオスペルマムの育て方
オステオスペルマムの栽培カレンダー
オステオスペルマムは、秋に植え付けると長く開花シーズンを楽しむことができます。春に植え付けてもかまいません。種が買える品種は限られますが、種まきの適期も秋です。開花時期の終わりに切り戻して、夏越しします。
種まき
育苗ポットに赤玉土またはバーミキュライトを入れて、種をまき、うっすらと覆土し、水やりします。発芽まで半日蔭に置きましょう。種まきは9月~10月頃が適期です。春に種をまくと、開花時期が少し遅くなります。
種が市販されている品種
種まきで育てることができる品種は「アキラ」「パッション」などです。ほとんどの場合、花色ミックスで売られています。
花壇に地植え
地植えする場合は、日当たりと風通しの良い場所を選びます。夏場に少し日陰を得られるような場所があれば最適です。元肥に緩効性肥料を施して植え付けます。やや耐寒性はありますが、雪や霜に連続して当たると葉が枯れることがあります。冬に積雪する地域では、地植えより鉢植えの方が冬越しさせ易いでしょう。
鉢植え
土は市販の草花用培養土、もしくは赤玉土と腐葉土を7:3の割合でブレンドして使います。元肥に緩効性化成肥料を加え、根鉢を少しほぐして植え付けます。寄せ植えも楽しめますよ。根が詰まってきますので、2~3年に1度は植え替えてください。花が咲かない場合は、日当たりの良い場所に置いてあげましょう。
水やり・肥料
土の表面が乾いたら、たっぷり水やりします。夏場は、暑くなった時間帯に水やりすると蒸れて葉が枯れることがありますので、気を付けましょう。地植えも同じです。肥料は開花の頃に、緩効性化成肥料か液肥を2~3週間に1度与えます。
花がら摘み
次々に花を咲かせていきますので、咲き終わった花がらを摘み取って、新しい花や蕾に養分やエネルギーを集中させます。株もとに近いところで切り取ります。
切り戻し
オステオスペルマムは夏の多湿に弱いので、6月頃に半分ほどの丈に切り戻して、蒸れにくくしておきます。品種にもよりますが秋にまた開花しますので、10月頃に再び切り戻して冬越しに備えます。
切り戻ししなかった参考例
花後に切り戻しをせずに放置していると、無駄に伸びた茎がやや木質化し、下葉が枯れる状態になります。匍匐しながら上に伸びようとしますので、蒸し暑くて弱る時期に、株全体が余計なエネルギーを使ってしまい、葉に元気がなくなります。
冬に花芽を付ける
冬に花芽を付けます。この時期には切り戻さないように気を付けて下さいね。花芽を切ってしまうと、春に花が咲かない(或いは咲くのが遅くなる)ことになります。
夏越し・冬越し
鉢植えは、夏は涼しい日陰に、冬は軒下などに取り込んで霜よけします。地植えの場合は、夏は切り戻し、冬は腐葉土などで株もとを保護します。
オステオスペルマムの増やし方
挿し芽(挿し木)で増やす
オステオスペルマムは、挿し木(挿し芽)で、増やすことができます。
- 葉のついた茎を10cmほど切り取り、葉を3~4枚にして挿し穂を作ります。
- 育苗ポットに赤玉土か市販の種まき・挿し木用土を入れて湿らせておきます。
- 斜めにカットした挿し穂を挿し、発根するまで乾かさないようにして半日蔭に置きます。
- 根が回ったら、鉢に上げます。
オステオスペルマムの花言葉
オステオスペルマムの花言葉は、「健やか」「無邪気」「ほのかな喜び」「変わらぬ愛」です。いずれも意味深なところはなく、素直で実直ですね。「変わらぬ愛」は、開花時期の長いことから来ているのでしょう。温かい地域では、1月終わりから咲くことがあります。
まとめ
オステオスペルマムは、あまり手のかからない植物ですが、地域によっては夏越しが少し難しいかもしれません。夏越しに失敗してもほとんどの場合、育て方より風土との相性の問題なので、あまり悲観しないでくださいね。うまくいかなかった場合に備えて、切り戻した茎で挿し木しておくのがおすすめです。
出典:写真AC