パチョリとは
パチョリは古くから精油(パチョリ油)に加工され、香料として香水などに用いられてきました。見た目はペパーミントに似ていますが、香りはバルサム調で、甘く重い香りです。そんなパチョリの植物の特徴、歴史や文化などについてみていきましょう。
ボタニ子
名前
パチョリの学名はPogostemon cablin(ポゴステーモン カブリン)、英語ではPatchouli、Patchoulyと綴り、パチュリ、パチューなどと呼ばれます。漢方では地上部を乾燥させたものを藿香(かっこう)と呼び、霍香正気散(かっこうしょうきさん)、香砂平胃散(こうしゃへいいさん)などに利用されてきました。
植物としての特徴
パチョリはシソ科ヒゲオシベまたはミズオトラノオ属の多年草ハーブです。草丈は30~80cmほど、葉は長さ8cm程の幅広い楕円形で、不揃いな波状の重鋸歯があります。10月ごろに強い芳香のある薄紫色の唇のような形の花を咲かせます。年に2~3回収穫でき、雨期に収穫されたものは質がよいとされます。
生育地
東南アジア、インド原産のパチョリは、主に熱帯地方に育ちます。暑い気候には強いのですが、直射日光は好みません。東南アジア、とくに標高約900~1,800mの地域に多く自生します。野菜として食べたり、スパイスとして料理に使用する地域もあるといわれています。
歴史
パチョリはインドや中国で古くから薬効が認められ、民間療法、伝統療法の生薬として利用されてきました。18~19世紀のインドでは布や衣服に乾燥したパチョリの葉を防虫剤として忍ばせたものが輸出され、その香りはヨーロッパに伝わりました。そのため、パチョリの香りが漂う布は高級品のサインとされたとも伝えられています。
パチョリ油の使い方
アロマを学んでいるという方でない限りパチョリ油の使い方は少々コツをつかむことが必要です。土臭い、埃っぽいとも例えられるパチョリ油の香りの源はパチュリアルコールやパチュレンなどの芳香成分です。この独特の香りがもたらす作用と使い方のコツを探ってみましょう。
パチョリ油の効果と効能①心への働き
リラックス効果
主成分であるパチュリアルコールにはストレスや不安を軽減し、自分を取り戻すきっかけとなる働きがあります。ごく少量の使用で気持ちのバランスを整え、高ぶった気持ちを鎮めてくれる効能が認められていますので、緊張、憂鬱など落ち着かない気持ちをコントロールしたいときに利用してみてください。
判断力を高める
パチュリ油には意識をクリアにして、判断力を高める効果も期待できます。うつろいがちな考えを明確にし、創造力を高めて自分の考えをしっかりと主張できるよう力を貸してくれる香りです。この場合はパチョリの香りをやや主張させると効果を実感しやすくなるでしょう。
パチョリ油の効果と効能②体への働き
風邪をひきにくい体を作る
消毒、抗菌効果もパチョリの芳香成分の効能の1つです。風邪が流行する季節に健康でいるために有効な香りだといわれています。α-ブルネセン、カリオフィレンには抗炎症作用も期待できますので、インフルエンザが気になる季節に活用してみてはいかがでしょうか。
むくみ解消
利尿作用によるむくみ解消もパチョリ油の代表的な効能です。また、食欲減退効果、セルライトケア効果も合わせて女性の気になる悩みに対して有効に働いてくれます。イライラによるやけ食いをやめたいと思うときにお試しください。
パチョリ油の効果と効能③肌への働き
スキンケア効果
パチョリ油は肌にも働きかける、スキンケアにも有効な精油です。皮膚炎、湿疹、傷などにアジアでは伝統療法的に使用されてきた歴史もあり、現在でも肌の再生を活性化するとして、加齢を感じさせないための肌ケアにも活用されています。ひび、あかぎれなどにもおすすめのアロマです。
ボタニ子
次ページからパチョリ油の特徴について紹介します!
バルサム調とは、オリエンタルな香水によくみられる樹脂の重く甘い香りの調子です。