園芸部類 | 鉢花、切り花 |
形態 | 落葉性多年草、球根植物 |
樹高・草丈 | 20cm~50cm |
花の色 | 白、赤、ピンク、黄、オレンジ、紫、複色 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 普通(休眠期) |
特性・用途 | 香りがある |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
フリージアは豊富な花色と甘い香りを持つ球根植物です。原種は約10種ほどですが、園芸品種は150種以上あります。フリージアの香りは、白色はキンモクセイ、黄色はフルーティーな甘酸っぱい香りと、花色によって違うのが大きな特徴です。香りの強さも花色によって異なり、一般には原種に近い白色や黄色が強いとされています。
学名でもあるフリージアの名前は、南アフリカでフリージアの原種を発見した植物学者エクロンがつけたものです。エクロンには、彼と彼の研究を長い間支え続けてくれた親友がいました。親友への敬意と感謝の気持ちを表する意味で、親友の名前「フレーゼ」にちなんだ名前を花につけたといわれています。
アラジンはフリージアの黄花品種の代表格です。鮮烈な印象を与える濃い黄色、一重咲きのスッキリとした花姿、フルーティーな香りと三拍子そろった品種で、球根苗、切り花の両方で高い人気を誇ります。多花性で花付きもよいため、一輪挿しでも華やかです。
ハネムーンはフリージアの八重咲き品種です。淡いピンクに白が混ざる優しく甘い花色と、豪華な八重咲きで高い人気を誇ります。見た目だけでなく性質も優秀です。オランダで開催されたフリージアコンテスト(2005年度)で優勝という輝かしい経歴を持っています。
カシスはフリージアの大輪八重咲き品種です。豪華な咲き方と鮮やかな濃いピンクの花色があいまって、とても華やかで目立つ雰囲気を持っています。フリージアの品種のなかでは成長速度が遅い晩生種なので、栽培する際は注意しましょう。
ボランチェはフリージアの白花品種です。中心部に黄色が入るオフホワイトの花色と豪華な八重咲きの花姿が、清楚かつ華やかな雰囲気を漂わせています。香りがよく、切り花にしても鉢植えにしても、さまになる花です。
ブルームーンはフリージアの紫花品種です。薄紫の花色と強過ぎない優しい香り、一重咲きの花姿が上品な雰囲気をかもし出しています。草丈は約60cmと高めですが、花茎が丈夫なので、しっかりと直立し、スッキリした花姿をたもつ品種です。
植え付け時期 | 9月下旬~11月中旬 |
植え替えの時期 | 9月~10月 |
肥料の時期 | 2月 |
剪定の時期 | 開花後~6月上旬 |
花が咲く時期/開花時期 | 3月中旬~5月上旬 |
フリージアは温暖な気候を好み、寒さにやや弱い植物です。フリージアの植え付け時期は9月下旬~11月中旬ですが、地植えの場合は11月上旬~11月中旬が適期となります。これは地植えの場合、9月~10月に植え付けると茎が寒い時期に伸びてしまい、寒害を受ける恐れがあるからです。
フリージアの鉢植えは、寒い時期は室内で管理できます。このため、植え付けは9月下旬でOKです。フリ-ジアは過湿を嫌うので、植え付ける際は鉢底に鉢底石を多めに敷くなど、水はけをよくする工夫を凝らしましょう。植え付けの目安は、5号鉢で5球~8球、65cmプランターなら15球~20球です。球根1個分の深さで植え付けていきます。
フリージアの地植えは場所選びが重要です。フリージアは寒さに弱く、霜に当たると枯れる恐れがあります。冬でも3℃以下にならず、霜の当たらない場所を選びましょう。フリージアの球根は10cm~15cm間隔で植え付けていきます。植え付ける深さは、球根の上に土を3cmほどかぶせる程度でOKです。
フリージアは日当たりと風通しのよい環境を好みます。温暖な南アフリカ原産種のため、寒さに少し弱く生育適温は10℃~20℃です。このため、地植えの植え場所は冬でも暖かく、霜の当たらない場所が栽培条件です。鉢植えの場合、冬は室内に移動させて管理するのが基本ですが、室内でも日当たりと通気性がよい場所に置きましょう。
フリージアは過湿が苦手です。そのため用土は、水はけがよいものを好みます。鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土4、もしくは赤玉土(小粒)6:腐葉土3:バーミキュライト(パーライト小粒)1の割合で土を作ればOKです。市販品ですませたいなら、草花用培養土を選びましょう。地植えの場合は、掘り出した土に川砂やパーライトを混ぜて、水はけをよくします。
フリージアの水やりは、生育期間中は土が乾いてから水を与え、休眠期になったら止めます。また、冬の間は土が乾いてから数日後に水やりするというふうに、乾かし気味に管理するのが基本です。フリージアは水を与え過ぎると、軟弱な株になってしまうので注意しましょう。水やりは朝か午前中に行います。夕方以降になると、夜間の冷え込みで土が凍り、枯れてしまう可能性があるからです。
フリージアはあまり肥料を必要としません。鉢植えも地植えも、植え付け時の元肥と開花前の追肥で十分です。元肥は緩効性肥料を使用し、土に混ぜ込みます。用量は鉢植えなら1Lあたり約3g、地植えなら1㎡あたり約100gが目安です。その後は開花前の3月に、液体肥料または即効性化成肥料を追肥として与えます。
フリージアの栽培で、注意すべき害虫はアブラムシです。葉裏や新芽などにつき、養分を吸い取って株の成長を阻害します。これだけでも厄介ですが、アブラムシの恐ろしいところはウイルスを媒介したり、排泄物から病気が発生したりするなど、病気の原因になりやすいことです。発見次第、早急に駆除しましょう。大量発生している場合は薬剤を散布します。
フリージアは球根苗から育てます。このため、球根を腐らせ株が枯れてしまう球根腐敗病や首腐れ病、葉や花びらにモザイク状の模様ができて株が委縮してしまうモザイク病(ウイルス病)など、球根植物がかかりやすい病気に注意が必要です。予防法としては「連作をしない」「過湿を避ける」「健康な球根を使う」「アブラムシなどの病気を媒介する害虫を駆除する」などがあります。
フリージアの開花後は、咲き終わった花から除去していき、すべての花が終わったら、花茎の付け根を切り取ります。残った茎葉は地下の球根を肥やすために必要なので、枯れるまで切ってはいけません。茎葉を切る目安は6月頃です。この時期に入ると休眠に入るので、球根を掘り上げます。
フリージアは連作を嫌うため、球根の植えっぱなし栽培には向いていません。地上部が枯れて休眠期に入る6月になったら、水やりをやめて球根を掘り上げましょう。掘り上げた球根は陰干ししてよく乾かした後、古い球根や葉軸を取り除いてから、冷暗所で植え替え適期まで保存します。フリージアの植え替えの適期は、植え付け時期と同じ9月~11月中旬です。
フリージアの剪定は開花後に行います。咲き終わった花から切除し、すべての花が終わったところで花茎の付け根を剪定します。残る茎葉は光合成をして養分を作り、球根を肥やす役目があるので、枯れるまでそのままにしておきましょう。
フリージアの増やし方は、分球という方法がとられています。分球は成長した球根につく小さい球根を使って増やす、球根植物ならではの増やし方です。フリージアの分球は植え替え時に行います。掘り上げた球根から、小さい球根を丁寧に取り外します。フリージアの植え付けの適期は秋です。それまでは風通しのよいネット袋などに入れて保存します。
出典:写真AC