フリージアとは
フリージアは優しい香りのする球根植物で、ピンクや白、黄色やオレンジなどさまざまな色の品種があります。美しい花色と甘い香りが人気で、切り花や生花のコサージュなどにも使用されている魅力的な植物です。開花が終わると地上部が枯れて休眠期に入るため、球根の管理が必要です。そんなフリージアの育て方や栽培方法、花後の管理の仕方などをご紹介します。
フリージアの基本情報
科名 | アヤメ科 |
属名 | フリージア属 |
別名 | フリージャー、アサギスイセン |
形態 | 多年草 |
耐暑性 | 普通 |
耐寒性 | やや弱い |
フリージアの特徴
冬がくる前に球根を植えて、春に開花するのが特徴です。細くてしなやかな茎を長く伸ばし、色鮮やかで美しい花を咲かせます。約1週間ほど開花したあと、だんだんと葉が枯れ落ちていきます。その後、6月上旬〜9月下旬にかけて休眠期に入るため、球根の管理が必要です。
花からは甘くて優しい香りがする
暖かい春の季節になると、フリージアは甘くて優しい香りを放つのが特徴です。赤色やピンク色、オレンジ色などの品種がありますが、中でも黄色と白色のフリージアは香りが強いといわれています。香水やアロマオイルにも使用されるほど、フリージアの香りはとても人気があります。
フリージアの名前の由来
フリージアは「エクロン」というデンマークの植物学者が発見し、付けられた名前です。エクロンの親友「フレーゼ」という医師の名前が元になっています。エクロンは親友のフレーゼをとても尊敬しており、その敬意を表して「フリージア」と名付けました。
フリージアの花言葉
フリージアには「親愛の情」「あどけなさ」「純潔」「無邪気」「憧れ」「感受性」という花言葉が付いています。フリージアのみずみずしい花びらの様子や、美しい咲き姿にぴったりの花言葉ですね。また「親愛の情」はエクロンとフレーゼの素敵な関係から付いた花言葉ともいわれています。
ボタニ子
次ページからはフリージアの育て方について紹介します!
フリージアの育て方
フリージアは地植えでも鉢植えでも育てられる植物です。しかし耐寒性がやや弱く、暖地でなければ地植えでの冬越しは難しいといわれています。そのため基本的には鉢植えで育て、冬は室内で管理するのがおすすめです。そんなフリージアの育て方や、球根から上手に花を咲かせるコツなどをご紹介します。
育て方①置き場所
フリージアは、太陽の光がたっぷりと当たる置き場所が適しています。日陰で育てると茎だけがヒョロヒョロと伸びてしまい、花付きも悪くなるので注意が必要です。耐寒性がやや弱いため地植えではなく鉢植えで育て、寒い季節は霜の当たらない暖かい室内で管理するのがおすすめです。また、風通しのよい場所で育てると病気や害虫被害を予防できます。
育て方②用土
水はけと水もちのよさを両方兼ね備えた用土が適しています。市販の草花用の培養土を使用しても構いません。自分で配合する場合には赤玉土を多めに用意し、腐葉土とバーミキュライトを混ぜ込んで作ります。鉢植えのフリージアには、植木鉢の底の部分にゴロ土を入れて、水はけをよくするのがポイントです。
育て方③植え付け
フリージアの植え付けは、9月下旬〜11月上旬に行います。茎が長く成長した状態で冬を迎えると弱りやすいので、植え付けは遅めに行うほうが安心です。また、フリージアの発芽に適した温度は23℃〜25℃で、暑すぎても寒すぎても発芽しません。そのため、フリージアを発芽させるには、適切な温度管理を行ってください。
支柱を添えて折れないように管理する
フリージアは切り花として利用される場合が多く、茎が40cm〜70cmほどまで細長く伸びるのが特徴です。発芽して間もない頃は大丈夫ですが、大きく成長したフリージアは強い風に当たると、倒れたり折れたりする心配があります。株元に支柱を添えて、倒れたり折れたりしないように育てましょう。
育て方④肥料
フリージアは球根に栄養を蓄えているため、とくに肥料を与えなくても十分育ちます。植え付け時に元肥を与えてしまうと、根が「肥料焼け」を起こしてしまうため、おすすめできません。花を大きくさせたい場合のみ3月に1度、開花に合わせて緩効性の化学肥料を株元に適量施してください。
育て方⑤球根の管理
フリージアは日光を浴びると、球根に栄養を蓄える性質をもっています。花後も球根を植えっぱなしにして、5月中旬までは水やりを欠かさずに行ってください。葉が黄色く枯れ込んできたら水やりを中止して、土の表面が乾いてから球根を優しく掘り起こします。夏の間は涼しくて風通しのよい場所で保管してください。
球根から上手に花を咲かせるコツ
- 日光をたっぷりと当てて育てる
- 水はけと水もちのよさを兼ね備えた用土を使う
- 茎が伸びてきたら支柱で添える
- 肥料の与えすぎに注意(元肥は施さない)
- 花後も植えっぱなしにして、葉が枯れ込んでから球根を掘り起こす
フリージアの病気と害虫
フリージアは、やや乾燥した温暖な土地に自生している植物です。そのため多湿に弱く、風通しの悪い場所で育てると、カビが原因で病気や害虫被害を受けやすくなります。フリージアのかかりやすい病気や害虫被害は以下のとおりです。
球根腐敗病
球根腐敗病は植え付けを行ったあと、葉が3枚〜5枚程度生えてきた頃に発症しやすい病気です。球根腐敗病にかかると、葉が黄ばんだり色が悪くなったりします。そのまま放っておくと地面に近い場所から腐り始め、最終的には茎の硬さがなくなり倒れてしまいます。感染してしまうと薬を使っても治せないので、風通しをよくして多湿を防ぐなどの予防が必要です。
アカダニ
アカダニは「アカムシ」とも呼ばれ、名前のとおり体の色が全身真っ赤な害虫です。アカムシに寄生されると葉の汁や栄養分を吸い取られ、吸汁された箇所から白い斑点状に枯れ込んできます。アカダニは水で簡単に洗い流せる害虫なので、見つけたらすぐに水をかけて駆除してください。
アブラムシ
春から秋にかけてアブラムシに注意が必要です。つぼみが付いた頃が1番発生しやすく、集団で寄生する性質があるので汁を吸われてしまうとフリージアが枯れてしまいます。殺虫剤を使って駆除するか、少数のうちにガムテープを使って葉や茎から取り除いてください。
まとめ
フリージアの育て方や球根から上手に花を咲かせるコツ、病気や害虫被害についてご紹介しました。フリージアは、温度管理さえ気を付ければ簡単に育てられる植物です。優しい香りのする美しいフリージアをぜひ育ててみてくださいね。
出典:写真AC