バーミキュライトとは？用土としての特徴・性質や効果的な使い方を解説！

バーミキュライトとは、庭や家庭菜園の土壌栽培や種まき・挿し木の用土などの使い方ができるおすすめの園芸用土です。バーミキュライトは園芸専門店だけでなく、ホームセンターや100均ショップなど身近な場所でも購入でき、アイデア次第でいろいろな使い方ができるため初心者にもおすすめです。

バーミキュライトの原料は、苦土蛭石です。苦土蛭石は含水ケイ酸塩と呼ばれる鉱石の1種で、高温で加熱すると苦土蛭石に含まれる雲母が膨張し変形します。バーミキュライトは本来高温焼却で変形した苦度蛭石のことをいいますが、一般的には苦土蛭石を高温加工したものをバーミキュライトと呼びます。

バーミキュライトの主成分は、珪酸、アルミナ、酸化鉄、カルシウム、マグネシウム、カリウムです。バーミキュライトに含まれる主成分には植物の栽培に必要な成分も含まれています。しかしバーミキュライトは原則として混合剤で使うので肥料としては使いません。

バーミキュライトは天然土にはないさまざまな性質を持っているため、園芸分野だけでなく建築分野でも使われています。建築分野ではバーミキュライトの耐火性・断熱性・軽量性が注目されており、防火板・耐火被覆材・住宅用断熱材などの原料としての使い方が多いです。

使い捨てカイロは、バーミキュライトの水を含みやすい性質を応用しています。使い捨てカイロは鉄紛と食塩水が混ざって発熱しますが、食塩水を液化した状態でパッケージできません。そこでバーミキュライトの保水性で食塩水を給水させ、化学反応を起こさないようにしたのが使い捨てカイロです。

バーミキュライトにはさまざまな性質があるので、家庭菜園やガーデニングのほかにも建築資材や身近な生活用品など利用法もさまざまです。バーミキュライトの性質を詳しく知れば、既存の利用法だけでなく新しい利用法の発見や応用も可能です。

バーミキュライトは小さな粒の中に無数の空洞があり、水を蓄えやすいです。バーミキュライトの原料である苦土蛭石は、高温加工されると内部に多孔質の層が無数にできます。園芸用バーミキュライトは使いやすいよう小さく粉砕され、目に見えない無数の空洞があります。

バーミキュライトが建築資材の原料として重宝されるのは、性質の1つである耐熱性が関係します。バーミキュライトの無数の空洞には空気も含むため、多孔質の層は空気の壁と同じ役割をします。そのため建築業界では、バーミキュライトを断熱材として壁や床材に使う利用法があります。

バーミキュライトの空気の層は、気温が低い冬にも役立ちます。バーミキュライトを混ぜると全体的に空気を含んだ柔らかい土になるため、土の中の温度が急激に下がるのを防ぎます。そのため雪や凍結などの冷害を防止する効果があります。

バーミキュライトは、土と土が固結するのを防止する分離材としての利用法もあります。無数の空洞に空気を蓄える性質があるため、バーミキュライトを混ぜると土中酸素量が増加し土の固結を防ぎます。さらに空気を多く含む土は空気の通り道が多くできるため、通気性もよくなります。

バーミキュライトは、成分がほぼ中性の土壌改良剤です。一般的な土壌改良剤は酸性またはアルカリ性のため、酸性が強い場合はアルカリ性タイプ、アルカリ性が強い場合は酸性タイプを使うことで強すぎる特徴を中和させます。これに対してバーミキュライトはほぼ中性なので、どちらの土壌タイプにも使える万能改良剤です。

バーミキュライトは、天然土やほかの人工土には見られないさまざまな性質をもっているため、植物栽培の用土にもおすすめです。しかもバーミキュライトの性質をうまく利用して用土にすれば、失敗しがちな種まきや挿し木も簡単にできます。

バーミキュライトは、水を吸収する性質があります。バーミキュライトの給水量は容積の約30％なので、乾燥したバーミキュライト100ℓにたっぷりと水やりすると、水やり後のバーミキュライトの容積は約130ℓになります。さらにバーミキュライトが吸収した水は無数の空洞に蓄えられるため、保水性の高い土になります。

バーミキュライトは、病害虫に強い用土がつくれます。バーミキュライトは800℃～1000℃で焼かれるため、加工の過程で殺菌・無菌化されます。通常園芸用の土にはバクテリアなどの微生物が存在するので、微生物の存在が成長にも影響する種まきや挿し木には、無菌化されたバーミキュライトの用土がおすすめです。

バーミキュライトの性質には、塩基置換容量が大きいことも含まれます。塩基とは肥料の成分で、容量が大きいバーミキュライトを用土に加えると保肥性の高い土になります。しかもバーミキュライトは多孔質の層に栄養成分を蓄えるため、水やりなどで肥料が流出することも防ぎます。

水耕栽培は土の代わりに培地を使いますが、水耕栽培の培地におすすめなのがバーミキュライトです。水耕栽培では肥料成分が含まれた水溶液を使うため、保肥性の高いバーミキュライトを使うと肥料枯れを起こしにくいです。さらにバーミキュライトは無菌の土なので、水耕栽培でも病害虫の心配がありません。

バーミキュライトは水耕栽培にもおすすめですが、水耕栽培で種から育てる場合は水耕栽培キットが必要です。水耕栽培は土を使わない代わりに、肥料の成分を含んだ水溶液を使います。

バーミキュライトは非常に軽い性質の土なので、壁や柱にぶら下げて飾るハンギングの用土におすすめです。重さは、通常の用土の1/10しかありません。バーミキュライトは単体では使えませんが、ハンギングの基本用土に混ぜればかなりの軽量化ができます。