シュラブ・ローズはローズガーデンには欠かせない、色や香りの種類が豊富なバラです。性質は木立ち性のブッシュ・ローズとつる性のクライミング・ローズとの中間に当たる半つる性で、比較的コンパクトにまとまります。人気の高いイングリッシュ・ローズや、オールドローズやモダンローズの一部などもシュラブ・ローズのひとつです。
園芸部類 | バラ、花木 |
形態 | 落葉性低木 |
樹高・草丈 | 1〜2.5m |
花の色 | 白、黄色、オレンジ、ピンク、赤、紫、褐色 |
耐寒性 | 強い〜やや弱い(品種による) |
耐暑性 | 強い〜やや弱い(品種による) |
特性・用途 | 生垣にむく、病害虫に強い(品種による) |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
シュラブ・ローズは花色が多彩です。一季咲き・四季咲き・くり返し咲きがあり、コロンとしたカップ咲きの花がかわいらしく人気があります。特にイギリスのバラ育種家デビッド・オースチンの作り出すイングリッシュ・ローズは、オールドローズの持つ香りと美しさをほどよく残しつつ、病害虫に強く改良されています。初めてのかたにも育てやすいシュラブ・ローズです。
クィーン・オブ・スウェーデン【イングリッシュローズ】
参考価格: 5,478円
デビッド・オースチンが作り出したクィーン・オブ・スウェーデンは中輪多弁のカップ咲きで、花色がアプリコット〜ソフトピンクに変化します。鉢植えにもおすすめでトゲが少なく花持ちがよいため、切り花としても長く楽しめます。
樹高 | 約1.25m |
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開花性 | 春咲き、くり返し咲き |
バラ 苗 京成 【ピンクサクリーナ (修景バラ) 四季咲き】
参考価格: 3,278円
フランスのメイアン社が作り出したピンクサクリーナは、桜の花のような淡いピンク色のハート型の花びらに、紅のおしべが印象的な一重のバラです。庭植え・鉢植えどちらでも育てやすく、初心者のかたにも向いています。
樹高 | 1.0〜1.3m(横張り性) |
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開花性 | 四季咲き・小輪一重 |
植え付け時期(春苗、大苗) | 3〜6月、11〜3月 |
植え替え時期 | 11〜2月 |
肥料の時期 | 1〜12月 |
剪定の時期 | 7月、12〜2月 |
開花時期 | 5〜11月 |
シュラブ・ローズ_の植え付け時期は?
シュラブ・ローズの植え付けは、春または冬が最適です。春には若い新苗が、秋からは大苗が流通します。購入時期にあわせて、植え付けのタイミングを選びましょう。
シュラブ・ローズの開花時期は?
シュラブ・ローズの花が咲く時期は、主に春の4月下旬〜6月です。シュラブ・ローズには四季咲き性の品種もありますが、イングリッシュ・ローズの多くはくり返し咲きの性質があります。春の開花後に枝を剪定すると、新芽が出て夏〜秋にかけて花を咲かせます。
シュラブ・ローズを育て始める時期は、春が最適です。バラの成長時期とも重なり、多くの品種が春に美しく開花します。花後の剪定や上手な管理で、その後のくり返し咲きを楽しみましょう。
シュラブ・ローズの栽培方法は庭植えや鉢植え・大型のプランターも適します。鉢やプランターは通気性のよい素焼きや駄温鉢、保水性の高いプラ鉢、根の成長を促すスリット鉢などが向いています。深さがあって用土がたっぷりと入る、8号(直径24cm)以上のものがおすすめです。
シュラブ・ローズは風通しと日当たりのよい屋外で育てます。寒さに強い品種が多いですが、株が若いうちは寒風の当たらない屋根下に移動して、冬越し対策をしておくと安心です。
春と秋にはよく日が当たる場所に置いて、真夏は西日が避けられる場所で管理します。強い日差しは葉焼けしたり、新芽が傷んだりしやすくなります。
シュラブ・ローズを鉢植えするときは、花と野菜の培養土やバラの専用土が最適です。庭植えにする場合は、赤玉土の中粒と腐葉土に牛フン堆肥を混ぜて、水はけと肥料持ちをよく整えます。堆肥などの有機物を含むと微生物の働きで、土質が柔らかくなって根の張りがよくなります。
シュラブ・ローズにおすすめの仕立て方は?
新苗や開花株は枝のバランスがよく、葉がたくさんついている苗を選びます。大苗や裸苗は剪定した切り口が茶色く枯れていないものを、裸苗は根がたくさんついていてしっかりと伸びている苗を選びましょう。
シュラブ・ローズの苗は春に販売される新苗(冬に接ぎ木した若い苗)と、時節柄、母の日のプレゼントにおすすめの開花株がポピュラーです。秋以降には大苗(接ぎ木してから2年以上経過した株)や、冬に予約販売される裸苗(土の付いていない苗)もあります。新苗は1年間株を育てて、2年目からの開花が期待できます。
バラ苗のラベルに表記されている品種名に、SかSHという記号があるのがシュラブ・ローズです。イングリッシュ・ローズはERと表記されています。
シュラブ・ローズの水やりは、用土がしっかりと乾いてからたっぷりと与えます。雨が少なく乾燥する時期、庭植えした株にはたっぷりと水やりしましょう。特に植え付け直後はやや乾燥気味に育てることで、根の張りがよくなって株が丈夫に育ちます。
シュラブ・ローズの肥料として最適なのは、固形の有機質肥料やバラの専用肥料です。庭植えに与えるタイミングは年3回、春・秋の追肥と休眠中の寒肥です。鉢植えのタイミングは年6回、奇数月に適量を与えます。夏はミネラル補給のできる液体肥料や、活力液に切り替えるのもおすすめです。
水も肥料も与えているのに葉が黄色く枯れるのはなぜ?
葉が黄色く枯れてしまう原因には、強い日差しや肥料過多・高温障害・病害虫によるものなどが挙げられます。室内で日照不足になっても葉が黄色くなって枯れ落ちます。原因を取り除き黄色く枯れた葉は剪定して、様子をみましょう。
シュラブ・ローズの開花後は花がらを早めに摘み取ります。花後に5枚葉の先で剪定して、次々と開花させましょう。咲き始めの時期は茎を長目に剪定して、室内で花と香りを楽しむのもおすすめです。
シュラブ・ローズの栽培で特に気をつけたい病気は、うどんこ病・黒星病・べと病などです。うどんこ病は薬剤耐性が高く、一度発生すると毎年くり返すしつこい病気です。予防効果のある殺菌剤を春から秋に散布しましょう。
シュラブ・ローズの栽培で気をつけたいのが、アブラムシ・ヨトウムシ・カイガラムシ・カミキリムシ・コガネムシなどの害虫です。新芽やつぼみを食い荒らしたり、葉や茎を吸汁して枯らしたりします。予防のために殺虫剤を定期的に散布しましょう。
シュラブ・ローズを剪定する目的は、花芽が出なくなった古い枝の整理だけではありません。伸び過ぎた枝葉を切り詰めて樹形を整えたり、混み合ったところをスッキリして病気や害虫を防いだりする効果もあります。来シーズンの花をイメージしながら、剪定作業しましょう。
剪定するタイミングは、落葉後が最適です。12〜1月がおすすめですが、寒冷地では年内に作業を終えて冬越しの準備をしましょう。
枝の色が茶色くトゲがグレーがかった古い枝を、株元近くで剪定します。ただし途中から来年の花芽が付いているシュートが出ている場合には、シュートの少し上でカットします。シュートの中でも割り箸よりも細い枝は、付け根から整理しても問題ありません。太くてしっかりした若い枝を優先して残すのがポイントです。
トゲが刺さるから苦手な剪定、プロはどうしているの?
バラを栽培しているプロの農家によると、グローブの三重使いがおすすめです。手に馴染むコットングローブに長さのあるゴム手袋をつけて、最後に皮のグローブをしています。オールドローズやその流れを組むイングリッシュ・ローズなど、バラの手入れの際はトゲが気になりますね。しっかりと対策をすれば、安心して作業ができるでしょう。
真夏のシュラブ・ローズの鉢植えは根鉢の温度が高くなりやすく、株が弱っていくことがあります。水やりは早朝や夕方にしたり、半日陰に移動したりして、鉢に直射日光が当たって用土が高温にならないような工夫が必要です。夏バテしたバラのミネラル類を補うために、薄めた活力液を葉裏にスプレーするのも効果があります。
冬は植え付けや植え替え・剪定や寒肥など、この時期にしかできない大切な作業があります。12月につぼみや葉が残っている場合には、作業するために剪定が必要です。株元の雑草や落葉した葉は必ず取り除いて、病気や害虫による被害を翌年に持ち越さないようにします。特に寒冷地では年内に作業して、マルチングやワラ囲いで冬越しの準備をしましょう。
シュラブ・ローズの植え替えは1〜2年に1回のタイミングで、12〜2月に行います。新苗の鉢植えは株を充実させるために、毎年新しい用土に入れ替えたり鉢のサイズを大きくしたりして、根と枝葉を成長させましょう。
シュラブ・ローズの増やし方は、挿し木です。挿し木での増やし方は、5〜6月をおすすめします。混み合っていたり徒長したりして剪定する、若いシュートを挿し木にしてみましょう。
イングリッシュローズ苗 ロアルド・ダール 裸苗 2年大苗
参考価格: 3,480円
販売されているバラ苗のなかには、休眠中に掘り上げた裸苗があります。裸苗は2年以上経過した苗が多く、すぐに植え付けが可能で比較的安く入手できるのがメリットです。専門店で予約・購入できるので、欲しい品種を探しているかたには裸苗をおすすめします。
樹高 | 約1.2m |
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開花性 | 中輪ロゼット咲き、春・かえり咲き |
出典:Unsplash