桜の繁殖が難しい理由
桜は繁殖が難しい
しだれ桜に河津桜、そしてソメイヨシノ。桜と一言で言ってもたくさんの種類があります。しかし、どの種類で挿し木をしても根が出にくいため、他の植物に比べると繁殖が難しいと言われています。
そのため一般的には接ぎ木で増やす
根が付いている土台をほかの植物で代用する接ぎ木が一般的に行われている繁殖方法なのも、これが理由です。ところが接ぎ木は台木の用意など時間も手間もかかるため、自宅などで作業する人には少しハードルが高いのです。
ただ手軽さなら「挿し木」
そこで、①挿し木用の枝(挿し穂とも呼びます)と②挿し床、があればできる「挿し木」が、手軽に行えるという理由で(自宅でおこなうにはハードルは高いけれども)”親しまれている”増やし方です。
桜の増やし方(3種類)
増やしやすい桜の品種
桜は種、接ぎ木、挿し木の3つの方法で増やせます。それぞれ時期や特徴があるので、1つ1つご紹介します。なお、しだれ桜を含めた桜はすべて、品種によって発根のしやすさが変わってきます。成功率が高いとされるソメイヨシノやヤマザクラ系統がおすすめです。
①種から増やす
しだれ桜も他の品種の桜でも、花が咲いた後に実ができます。その実から芽を出させる増やし方です。種はお店では売っていないので、自分で実から採ります。採取するのは、しっかり成熟して自然に落ちる時期まで待ちましょう。
②挿し木で増やす
挿し木とは、親株から切り取った切り枝に根を生やさせて増やす方法です。切り枝から根が出やすい植物に向いています。また、準備するものが少なく手順や仕方も簡単な挿し木は、接ぎ木よりも気楽にチャレンジできる増やし方です。
③接ぎ木で増やす
接ぎ木とは、別の植物を台木にして、その植物に切り枝を継ぎ足す方法です。すでに台木が根を張っていることにより失敗する確率が低いため、「挿し木しても発根が難しい植物」や「弱い植物」に有効な増やし方といえます。しかし、台木の準備などに手間がかかるので、挿し木のように気軽にチャレンジはできません。
桜の挿し木に使用する切り枝の選び方
挿し木が成功するかは、挿し穂にする切り枝選びから始まっています。しだれ桜のように枝が垂れ下がる品種でも、そうでない品種でも、切り枝の選び方は同じです。5つポイントをご紹介します。なお、枝を切り取った親株の切り口には、癒合剤や接ぎロウを忘れずに塗りましょう。こうすることで、親株が枯れるのを防ぎます。
①若い枝を選ぶ(6月〜7月)
6月~7月に挿し木をする場合は、春から成長したばかりの緑色の若い枝を選びます。木化した茶色い枝は6月~7月の挿し木には向きません。さらに、木化した枝を切り落としてしまうと、親株である桜自体が枯れてしまう危険もありますので、必ず緑色の新枝を選ぶようにしましょう。
②前年に伸びた枝を選ぶ(2月〜3月)
2月~3月に挿し木をする場合は、前年に伸びた枝を選びます。この時、枝に新芽が付いているものを選ぶのですが、しだれ桜のように枝が垂れ下がる品種でも、新芽と花芽の区別がつかない場合は真っ直ぐ伸びた枝を選ぶといいでしょう。
③太い枝は発根率が上がる
太い枝は体力が十分あるので発根しやすい傾向にあります。5mmぐらいの太く成長した枝を切り枝にすると、成功しやすいです。
④幹から生えている枝が狙い目
幹から直接生えてきた枝は「胴吹き枝」といって、よく成長するため幹の上部に栄養が行かなくなってしまう枝です。見つけたらすぐ剪定する枝なので、桜にダメージを与えずに挿し木ができます。ただし、接ぎ木をした桜の場合、あまり根元に近いと台木からの枝の可能性があるので注意が必要です。
⑤虫食いの枝は避ける
しだれ桜も他の品種も、桜の新芽は害虫による被害をとても受けやすです。切り枝には虫食い穴のない枝を選ぶようにしましょう。ツヤのある青々とした葉がある枝が理想です。
挿し木の植え付けポイント(3つ)
切り枝が選べたら、次に知りたいのは植え付けるときのポイントですよね。以下3つご紹介しますので、是非準備の参考にしてくださいね。
①時期
ほとんどの品種は、枝を切っても親株に負担のかからない時期(2月下旬~3月中旬)と、生育旺盛な時期(6月~7月)の2回、挿し木に適している時期があります。ただし、河津桜やカンザクラといった早咲き品種は冬に休眠していないため、6月~7月が適しています。
②発根促進剤
根が出にくい植物には、発根促進剤を使って発根と根の生長をうながしてあげます。主に2つのタイプがあり、1つ目は根を生やす効果が期待できる「植物ホルモン剤」です。2つ目は根を健やかにすることを目的とした「活力剤」です。使い方としては、植物ホルモン剤で発根を助けて、活力剤で根を健やかにして栄養の吸収を助ける方法が挿し木を成功させるコツといえるでしょう。
③用土
土にもいろいろなものがあって、植物を大きく育てるための土もあれば挿し木に適した土もあります。挿し木では根を生えさせることが目的なので、普通の土とは少し違います。違いを理解したうえで土選びをしましょう。
土選びのポイント
- 病原菌がいない新しい土
- 土の粒が小さく保水性が良い
- 栄養が含まれていない
挿し木に使える土は?
挿し木に使える土の種類は、鹿沼土やバーミキュライト、ピートモスなどがあります。これらを組み合わせることで挿し木に使える土が作れますが、全部自分で配合するとなると大変です。アパートなどであまり作業スペースがない方や初心者の方には、お店で売っている挿し木用土の利用をおすすめします。