冬に咲く早咲き桜・寒桜とは
冬に咲く桜「寒桜」
日本の春の花というイメージが強い桜ですが、冬に咲く種類があります。その一つが「寒桜」と呼ばれている桜です。その誕生に関しては、寒緋桜と山桜の雑種との交雑で誕生したという説と、寒緋桜と大島桜の雑種の交雑で誕生したとする説があります。ちなみにサクラソウ科の多年草にも同じ名前の植物があります。間違えないように注意しましょう。
寒桜の特徴
寒桜と冬桜は別品種
2月頃に淡紅白色の花をつけます。春の季節に先がけて咲く、早咲き桜の1つです。大型の花をつける木もあり、こちらは「大寒桜」と呼ばれています。単純に寒い冬の時期に咲く早咲きの桜全般を指して「寒桜」または「冬桜」と呼ぶ場合もありますが、寒桜も冬桜も、種類としてはまったく違う桜です。
寒桜と冬桜との違い
名前が非常によく似ていることと、上記で触れたように、早咲きの桜の総称として使用される場合もあるので混同されがちですが、寒桜と冬桜は別品種の桜です。まず親が違います。寒桜は緋寒桜と山桜、もしくは大島桜との交配で生まれた品種ですが、冬桜は大島桜と豆桜との交配によって生まれた桜とされています。最も異なるのが開花時期です。寒桜は年に一度しか開花しませんが、冬桜には冬と春、年二回の開花時期があります。
寒桜の開花時期
開花時期は12月下旬から1月
地域や気候条件によるズレはありますが、12月下旬から1月にかけて咲き始めます。桜というと、すぐに散ってしまうイメージがありますが、寒桜はゆっくりと咲いていく性質を持つため、長く咲き続けます。見頃の時期は1月から2月です。葉よりも先に、一重咲きの淡紅色の花を咲かせる特徴があります。
寒桜の花言葉
花言葉は「気まぐれ」「あなたに微笑む
寒桜の花言葉は「気まぐれ」「あなたに微笑む」の2つです。「気まぐれ」は、春の花とされている桜なのに冬の時期に咲くところが、当時の人たちに「気まぐれな花だ」と思われたのが由来とされています。「あなたに微笑む」は、早咲きの花を見て「今は寒いけど、春はすぐそこにまで来ている」と思った人たちが、ふと顔をほころばせたことから生まれたのでしょう。ちなみに「あなたに微笑む」は、山桜の花言葉でもあります。
寒桜以外の早咲き桜
ここでは、寒桜以外の早咲きの桜を紹介します。桜というと春の花というイメージが圧倒的に強いですが、寒桜と混同されがちな冬桜を含め、冬の時期に開花する早咲きの品種は意外と多いです。
冬桜
前にもふれたように、大島桜と豆桜との交配によって生まれた早咲き桜が冬桜です。葉が小さいことから小葉桜という別名があります。10月から1月頃、3月から4月頃と、開花時期が年に2回あるのが特徴です。白、または淡いピンク色の花をつけます。年2回の開花時期のうち、最も見頃となる時期は11月から12月です。花言葉は「冷静」といいます。冬の時期に凛とした白色系の花をつけることから、この花言葉が生まれました。
四季桜
四季桜は江戸彼岸と豆桜との交配によって誕生した桜です。春と晩秋の二季に咲くので、二季桜と呼ばれることもあります。開花時期は10月末頃と4月上旬で、一重咲きで淡紅色の花をつけます。春のほうが花が大きいですが、葉が落ちた後に花をつけ、紅葉とのコントラストも楽しめる晩秋が見頃とされています。最も見頃の時期は11月頃です。花言葉は「神秘的な心」「寛容」の2つがあります。
十月桜
小彼岸桜と豆桜との交配によって生まれた早咲き桜です。名前の通りの10月から12月、そして4月頃と開花時期が2回あります。ピンク色の八重咲きの小さな花を断続的に咲かせます。四季桜とよく混同されますが、別種の桜です。ただし花言葉は四季桜と同じく「神秘的な心」と「寛容」で、見頃の時期も11月頃とされています。紅葉との景色を楽しむために、紅葉する樹木と一緒に植えられることも多いです。
子福桜
子福桜は、小彼岸桜と唐実桜との交配によって生まれたとされている早咲き桜です。1つの花に複数の実をつける性質が、名前の由来とされています。開花時期は10月中旬から12月下旬、4月上旬の2回です。白い八重咲きの花を咲かせますが、時が経つにつれて、花芯部分が赤くなるという特徴があります。花言葉は「純潔」です。これは桜全般の花言葉でもあります。
寒緋桜
寒緋桜は桜の原種の1つです。「緋寒桜」「元日桜」など複数の別名を持っています。温暖な気候を好む早咲き桜で、沖縄県では自生している姿が見られます。開花時期は地域によって異なり、沖縄では1月頃、本州では3月頃に開花します。濃い紅紫色の花を下向きにつけるのが大きな特徴です。花言葉は「あでやかな美人」「あなたに微笑む」「気まぐれ」の3つがあります。「あでやかな美人」は鮮やかな花色が由来です。
河津桜
河津桜は、大島桜と寒緋桜との自然交雑種とされている早咲き桜です。原木が発見された場所が静岡県の河津町だったことから「河津桜」と命名されました。開花時期は1月下旬から2月ですが、ゆっくりと咲き進むので長く花を楽しめます。花は一重咲きの中輪で、花色はやや濃いめのピンク色です。河津桜の花言葉は「思いを託します」です。他の桜に先がけて咲く早咲きの特性が由来とされています。
写真:寒桜