大島桜とはどのような植物?
大島桜(オオシマザクラ)は、新緑の葉と共に白い大きな花を咲かせる桜です。花を愛でるだけではなく葉を塩漬けにしたり、幹を薪に利用したりするなど古くから日本の生活に根付いています。今回は、そんな大島桜の花や葉の特徴とソメイヨシノとの違い、家庭での育て方と素敵な花言葉、また見頃の季節や名所を詳しく見ていきましょう。
基本情報
学名 | Prunus lannesiana var. speciosa |
科名・属名 | バラ科・サクラ属 |
別名 | 薪桜(タキギザクラ)、餅桜(モチザクラ) |
英名 | Oshima cherry |
原産地 | 日本 |
樹高 | 10~15m |
開花時期 | 3~4月 |
花色 | 白、薄紅色 |
名前の由来
大島桜は、伊豆大島を中心とする関東南部の沿岸部から山地にかけて自生する桜のため、名前に「大島」と付けられています。また、幹が太く薪(まき)に利用されることから「薪桜(タキギザクラ)」、香りのある葉を塩漬けにして桜餅に使われるため「餅桜(モチザクラ)」とも呼ばれています。
桜餅を包む桜の葉は、大島桜の葉が使われており静岡県で一番生産されています。
大島桜の特徴
大島桜は、潮風の当たる海岸沿いで育つ丈夫な樹木です。幹の直径は50~200cm程度、樹高10~15m程度に生長する立派な桜で古くから多くの人に愛されてきました。300品種以上ある桜の中でも交配親として名高く、桜の代表品種「ソメイヨシノ(染井吉野)」も大島桜を交配親として生まれた桜です。そんな日本の固有種である大島桜の花や葉にはどのような特徴があるのか詳しく解説します。
大島桜の樹皮は、磨くと光沢が出るため家具や工芸品の材料に用いられています。
特徴①開花時期
大島桜の開花時期は、3月下旬~4月下旬ごろです。ソメイヨシノと違い花が咲くと同時に葉も開きます。花は純白で一重咲きの大きな花びらをしており、満開の時期は枝が隠れるほどたくさんの花を咲かせます。真っ白な花と、みずみずしい緑の葉を一緒に楽しめるのが大島桜の特徴です。また、ほのかに香りがありがあるのも大島桜の魅力です。
大島桜の開花時期は、ソメイヨシノと同じ時期ですが、葉が開いているかどうかで見わけがつきます。
特徴②葉
大島桜は、白い花が咲くと同時に新緑の葉を茂らせます。長さ5~10cm程度の卵形で縁に細かいギザギザがあり、葉先が尖っています。桜餅を包んでいる葉は、この大島桜の葉を塩漬けしたものです。表面は毛がなく滑らかで強い香りがあるため塩漬けにして和菓子に利用されます。花と葉には「クマリン」という香り成分が多く含まれていて、塩漬けにすると香りがさらに引き立ちます。
葉桜
桜は「花が散った後に葉が出る」と思っている方が多いのではないでしょうか?実は、多くの桜品種は花と葉が同時に生長するか、葉が開いてから花が大きくなるのが一般的です。葉桜とは、桜が散り葉が茂り始めたころを指しますが、これはソメイヨシノが葉よりも先に花が咲くため使われるようになった言葉です。
葉桜は、新緑を表す美しい言葉ですね。ソメイヨシノが花が散った後に葉が出ることから定着しました。
特徴③実
大島桜は5~6月ごろに、かわいらしい赤い実をつけます。実の大きさはサクランボの半分ほどの大きさで、熟すと黒紫色になります。サクランボより苦味が強いため生で食べるのはおすすめできません。食べるときは、ジャムなどに加工して食べましょう。
次のページで「大島桜の花言葉」をご紹介します。
出典:写真AC