その他の原種桜の種類
エドヒガンザクラ(江戸彼岸桜)
エドヒガンザクラは本州、四国、九州の山地に分布しています。お彼岸の頃が開花時期なのでこの名がつきました。花の色は薄紅色で、オオシマザクラとともにソメイヨシノの親株とされています。また枝が長く垂れる枝垂れ桜はエドヒガンザクラの園芸品種になります。とても丈夫で長寿なので各地に巨木や名木があり、国の天然記念物に指定されている桜もあります。
マメザクラ(豆桜)
マメザクラは富士山付近や、箱根、伊豆に自生しているので、「フジザクラ」や「ハコネザクラ」とも呼ばれています。花の色は白から薄紅色で、名前通り、まさに豆のような小さな花をたくさん咲かせます。うつ向きがちに花を咲かせるのが特徴で、挿し木でも育つことから盆栽としても人気があります。
チョウジザクラ(丁字桜)
チョウジザクラは東北以南の太平洋側に見られます。花の色は白からやや薄紅色で、下向きに咲きます。花びらが180度に開いて咲き、萼(がく)が筒のように長いので、横から見ると「丁」の字のように見えることからこの名前がつきました。
カンヒガンザクラ(寒彼岸桜)
カンヒガンザクラは主に沖縄の各地に生息していて、沖縄では桜と言えばこのカンヒガンザクラのことを指します。花は濃いピンク色で釣り鐘のように垂れ下がります。開花時期は1~2月上旬にかけての寒い頃で、早咲きで有名な河津桜はカンヒガンザクラの交配種です。
ヤマザクラ(山桜)の特徴と見分け方
ヤマザクラの特徴は、花や葉によく表れています。ソメイヨシノなどの桜と見分けるために、まずそれぞれの特徴を詳しくご紹介しましょう。
ヤマザクラの花や葉の特徴
花の特徴
ヤマザクラの花の色は白が多いのですが、縁や先端だけが淡紅色になるものや、咲き初めは淡紅色でだんだん白っぽく変化するもの、また散り際に白い花の中心が化粧をしたように紅色に染まるものなど、さまざまな花の色があります。花が咲き終わると5~6月頃に黒い小さな実がなります。
葉の特徴
ヤマザクラは花と一緒に若葉も開くのが大きな特徴です。若葉の色は赤紫色、褐色、黄緑色、緑色など、様々な色合いがありますが、花が咲き終わって散ると葉も緑色になります。
ヤマザクラの見分け方
ヤマザクラとソメイヨシノは一見よく似ていますが、簡単な見分け方があります。それは花が咲き始める頃に、若葉も一緒に出て開いているかどうかということです。花と葉が一緒に開いていたらヤマザクラ、葉が出ていなければソメイヨシノなので、簡単に見分けることができますね。またヤマザクラには花が散った後に黒い実がなりますが、ソメイヨシノは実がならないので、この点も見分けるポイントです。
ヤマザクラ(山桜)の育て方
育て方①土づくり
ヤマザクラは水はけのいい土を好むので、赤玉土5:川砂3:腐葉土2の割合で土を配合するといいでしょう。庭植えはもちろん、鉢植えや盆栽でも育てることができます。
育て方②水やり
鉢植えの場合は土が乾いてきたらたっぷり与えるようにしましょう。庭植えにしたものは特に水やりをする必要はなく、降雨に任せる程度で大丈夫です。ただ、夏に日照りが続いたときは水を与えるようにしてください。
育て方③肥料
植込むときに油かすや鶏糞などの肥料を施してよく耕しておきましょう。開花前と開花後にも肥料を与えると元気になります。ただ、根が直接肥料に触れると、肥料焼けをおこしてかえって枯れる原因になってしまうので、肥料は株元から離れたところに施すようにしてください。
育て方④剪定
昔から「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」と言われるように、桜の木は剪定を嫌います。剪定する場合は、休眠期の冬場に枯れた枝や密集している枝だけを切るようにします。雑菌が侵入しないように、必ず切り口に癒合剤や防腐剤を塗っておきましょう。
まとめ
野山に咲くヤマザクラを見ると、待ちに待った春の訪れを感じて嬉しくなりますね。昔は花見というとこのヤマザクラを見に行くことだったと言われています。見分け方も簡単なので、ソメイヨシノとは違った趣を味わえるヤマザクラを探しに、春になったらお近くの山にお出かけしてみてください!
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出典:筆者撮影