陳皮とは
陳皮とは温州みかんの皮を陰干しで1年ほど乾かしてから粉砕したもので、漢方薬にも使われます。「陳」とは古いものを表す漢字で、陳皮は古い物ほど効能が高いと言われます。青いみかんの皮を乾燥させたものは青皮、完熟みかんの皮を乾燥させたものは橘皮で、それをより完全に乾かしたものが陳皮です。七味唐辛子や五香粉、お屠蘇など意外に身近で使われています。
陳皮の効能
陳皮は生薬の一種です。みかんの外側の皮はフラベドといい、へスぺリジンという物質が含まれます。体を温める効果があるので血流の改善に役立ちますし、ストレスや血中脂質を下げる手助けをすると言われ、胃酸過多や嘔吐、消化不良や下痢などの症状の改善にもよいとされます。薬として飲む以外なら陳皮自体を食べるより、料理に混ぜる使い方だと摂りやすいでしょう。
陳皮の作り方
陳皮の作り方は簡単です。まずはみかんを洗ってください。農薬が気になる方はもちろんですが、自家製のみかんでもほこりや汚れがついていることがありますので、洗剤やせっけんは使わずお湯や水で丁寧に洗いましょう。みかんの中身は食べたりジャムにしたりします。陳皮は皮が主役ですので、水気を拭いて新聞紙などに並べて日陰の風通しの良い場所で管理してください。
陳皮の作り方①
みかんの皮をむき新聞紙や段ボールなどの上に置き、日陰で風通しの良い場所で1週間陰干しします。水分を吸いやすいので天気が良く乾燥した日を選んでください。長く干せば干しただけよいとされますが、ご家庭で使う場合はカリカリになれば十分です。食用としてだけでなく、バスタイムにも入浴剤として楽しめますので、みかんの皮は捨てずに全部干してしまいましょう。
陳皮の作り方②
皮がカリカリにしっかり乾いたら、粉にしたり粒にしたりします。水分が残っていると細かくしづらいです。すり鉢とすりこぎで擦ってもよいですが、時間がかかり肉体労働になるので、コーヒーミルやフードプロセッサーなどを利用するとよいでしょう。最初に厚めのビニール袋に入れて、まな板の上で棒や瓶などである程度粗く砕いておくとより簡単に細かくできます。
みかんの皮のレシピ
「みかんが色づくと医者が青くなる」と言われるくらいパワーがある果物です。オレンジ色の色素にはクリプトサンチンという発がん性物質から細胞を守ると言われている成分が含まれていますし、皮の裏側にある白い筋、アルベドには毛細血管を強くし肌の老化を防ぐ助けをすると言われるビタミンP(スペルジン)が含まれます。生の皮もぜひ料理として楽しみましょう。
みかん葛湯の作り方
風邪の引きはじめに体を温めてくれるのが葛湯です。葛湯は普通お湯で作りますが、そこに1日に3個食べれば1日分のビタミンCがとれるというみかんの果汁と皮を使います。風邪をひいた時にはビタミンCが大切です。葛粉に水を入れておきます。沸騰したお湯にショウガと水溶き葛粉を入れてとろみがついたら火を止めます。みかんの果汁と皮、お好みではちみつを入れてください。
ミカンピールの作り方
みかんの皮をむいたら、裏側の白いところを少しスプーンやフォークでこそげ取ります。加熱すると苦味が出るからです。苦味がお好きな方はそのままの方が良いでしょう。細く切ったあと1時間~2時間水につけてあく抜きをし、砂糖やてんさい糖などと一緒に水で柔らかくなるまで煮ます。水気がなくなったら粗熱をとってバットで乾かし、グラニュー糖をまぶせば出来上がりです。
続いて薬味、お茶、鍋などの作り方と、保存方法や効果などをご紹介しますね。
みかん胡椒の作り方
ゆず胡椒のみかんバージョンです。みかんの皮をみじん切りにするかフードプロセッサーでペースト状にします。青唐辛子は目や手に触れると危ないので眼鏡やマスク、手袋をしましょう。どちらも細かくできたら、塩と一緒にまぜて1週間ほど冷蔵庫で熟成させてください。昆布茶を混ぜるとより深い味わいのみかん胡椒が出来上がります。お鍋やゆで鳥、焼き魚にも合います。
みかん鍋と合わせてもおいしい
みかんを皮ごとワイルドに召し上がる方もいらっしゃるようですが、山口県周防大島にはご当地鍋の「みかん鍋」なるものがあります。オーブンで皮ごと焼いたみかんには「鍋奉行御用達」の焼き印が入りまるごといくつも鍋に入ります。みかん果汁入りの地魚のつみれに瀬戸貝など豊富な魚介類や新鮮な野菜が入ったお鍋です。みかん胡椒と一緒に食べると絶品です。
お茶の作り方
フルーツティです。みかんの皮だけでなく、りんごの皮やショウガの皮、輪切りのレモンを入れてもおいしいお茶ができます。熱湯を注ぐだけでもいいですが、加熱しながら飲むと1杯ごとに味が変化する楽しいお茶です。ペパーミントやカモミールを入れてもいいですし、贅沢にいちごを入れるとよりおいしいお茶ができます。メープルシロップを入れるのもおすすめです。
トムヤムクンの作り方
トムヤムクンにはこぶみかんの葉、バイマックルーが入っています。その代わりにみかんの果汁と皮を入れて作りましょう。チキンスープやブイヨンでみかんの皮とマッシュルームやフクロタケ、鷹の爪やショウガなどを煮て、火が通ったら下処理した海老とナンプラーを加えます。最後に酸味としてみかん果汁を入れてパクチーをのせれば、みかんトムヤムクンの出来上がりです。
次ページからは陳皮の保存方法について紹介します!
出典:flickr