タンポポの綿毛はふわふわで素敵
タンポポの真っ白な綿毛は、黄色い花に負けず劣らず美しく野原を彩ります。ふわふわでかわいいタンポポの綿毛を吹いて飛ばすのが好きだった、という方も多いかもしれません。綿毛が開くのを「第2の開花」と呼び心待ちにしている人もいるようです。そのためか綿毛が開く前の状態を「つぼみ」と表現する場合も散見されますが、正確にはその状態はつぼみではありません。
タンポポの綿毛は保存できる?
綿毛は保存できる!
かわいらしいタンポポの綿毛を、まんまるの状態で保存しておきたいと思う方も多いかもしれません。実は、タンポポの綿毛をドライフラワーのように保存できます。ドライフラワーにすれば、長い時間綿毛のかわいらしい姿を楽しめますね。ハンドメイドグッズの花材にも使えるのも魅力的です。
ボタニ子
本当にタンポポの綿毛をドライフラワーにできるの?早く保存方法を教えて!
慌てないで。きれいなタンポポの綿毛を採取するには、まず綿毛ができるまでの過程をよく知っておく必要があるのよ。
まず知っておきたい!タンポポの綿毛ができるまで
きれいなタンポポの綿毛をドライフラワーとして保存するには、採取のタイミングが大切です。タンポポの綿毛ができるまでの過程を理解していると、適切なタイミングで綿毛を採取できます。
開花から綿毛になるまでの参考動画
こちらの動画は、タンポポの開花から綿毛が開くまでをとらえた映像です。タンポポは頭の部分だけでなく、茎も大きく変化しますよ。
①タンポポの開花
二ホンタンポポとセイヨウタンポポ
綿毛のドライフラワーは、二ホンタンポポでもセイヨウタンポポでもできます。ニホンタンポポは開花時期が3~4月です。それに対してセイヨウタンポポは一年中花をつけます。冬でも冷たい風を避けて地面にへばりつくように咲く姿を見たことがある人もいるでしょう。
花の命は3日程度
画像のようにタンポポの花はつぼみが徐々にふくらんで、外側の花びらから順に開いていきます。中心部の花びらが閉じている花(画像上部の円の中)は、まだ咲いたばかりの花です。中心部までしっかり花びらが広がり、反り返るように咲いている花は終わりに近づいています。花は夜に閉じて日光を浴びると開きますが、3日ほど咲くともう開きません。
②種子を作る準備
変化は開かなくなった花弁がしおれるだけではありません。花が終わった花茎は倒れ、地面に横たわってしまいます。これは効率よく種子を作るために、エネルギーを節約しているのだと考えられています。しかし2週間ほど経って種子の準備が整ってくると、花茎は再び立ち上がり始めるのです。そのころには枯れた花びらが落ち、下から白い綿毛(冠毛)が見えます。
ボタニ子
タンポポの花の茎が一度倒れるなんて、知らなかったわ。
綿毛ができるまでの茎は、ただ起き上がるだけじゃないの。子孫をより多く残すために、もう一工夫するのよ。
③綿毛が開くまで
花茎は立ち上がりながら、花が咲いていたときよりもぐんと高く伸びます。これは風を受けてより遠くへと種子を飛ばすためです。がくからのぞく白い綿毛(冠毛)が目立つようになると、がくが開き始めます。タンポポの綿毛の最盛期は、開花から2週間ほど遅れたころ(二ホンタンポポは4月~6月中)です。綿毛が開いてからも茎は伸び続け、少しでも子孫を多く残そうとします。
ボタニ子
タンポポの綿毛ができるまでには、秘密がいっぱいあるのね。でも、どのタイミングで綿毛を採取すればよいのかしら?
タイミングを間違えると、せっかく採取してきても開かないことがあるの。タンポポの綿毛を採取する適切な時期を教えるわね。
保存する綿毛の採取時期と方法
タンポポの綿毛は、開ききったものを採取しても持ち帰れません。ドライフラワーにして保存するタンポポの綿毛は開く前の段階で採取します。綿毛を開く準備がしっかり整っているかどうかを見分ける方法を押さえておきましょう。
採取に適するタンポポの綿毛の見分け方
- 茎が花のときよりも高く伸びている
- 枯れた花びらが落ちているか、触るとぽろっと落ちる
- 白い綿毛が見えている
ドライフラワーとして最も適したのは背が高く伸び、がくの上に綿毛がしっかり見えているものです。早ければ摘んで数時間後、遅くても翌日には開きます。帰宅までに時間がかかる場合や、帰ってすぐに処理ができない場合はすでに開きかけているものは避けたほうが無難です。開きかけは、処理するまでに綿毛が開いて壊れてしまうことがあります。
タイミングがずれるときれいに開かない
茎がまだ地面に寝ていてるものや、花びらが引っ張っても取れないものは、摘んでも花びらが枯れるだけで開きません。花びらの下に綿毛はありますが、十分成熟していないからです。枯れた花びらがまだ残っているものや、綿毛がわずかしか見えないものは、開くまでに時間がかかります(条件により1~3日)。状態によっては貧弱な綿毛にしかなりません。
さあ、採取したタンポポの綿毛を開かせて、ドライフラワーとして保存できるように加工していきましょう。
出典:筆者撮影