ニホンタンポポとは?種類・特徴やセイヨウタンポポとの違いを解説!

ニホンタンポポとは?種類・特徴やセイヨウタンポポとの違いを解説!

春の野花の代表であるタンポポですが、原産地によってニホンタンポポとセイヨウタンポポに分けられるのはご存じでしょうか。地域によってたくさんの品種を持っているニホンタンポポについて、特徴やセイヨウタンポポとの見分け方、花言葉などをご紹介します。

記事の目次

  1. 1.ニホンタンポポとは
  2. 2.ニホンタンポポとセイヨウタンポポの見分け方
  3. 3.日本に咲くタンポポの種類
  4. 4.まとめ

ニホンタンポポとは

出典:写真AC

ぽかぽかとあたたかい野原や土手に元気よく咲いているタンポポ(蒲公英)の花は、皆さん一度は見かけたことがあるでしょう。素朴で馴染み深い花ですが、このタンポポ、大きく分けて2種類あるのをご存じでしょうか。日本固有の種であるニホンタンポポと、外来種のセイヨウタンポポです。

名前 タンポポ(蒲公英)
別名 鼓草(ツヅミグサ)
英名 ダンデライオン
科属名 キク科タンポポ属
原産地 北半球の広い範囲
開花の時期 3月から5月(ニホンタンポポの場合)
花の色 黄色、白色

セイヨウタンポポの分布が拡大

出典:写真AC
 

実は近ごろ見かけるタンポポのなんと8割が、ヨーロッパから移入されたセイヨウタンポポか、ニホンタンポポとの交雑種であるといわれています。特に都会で見かけるタンポポは、ほとんどがセイヨウタンポポです。セイヨウタンポポは生態系に影響を及ぼすとして、シロアリやウシガエルとともに「日本の侵略的外来種」ワースト100にも名前が数えられています。はなやかな色で野山を彩ってくれる花ですが、生態系への影響を考えると悪い面もあるのですね。

タンポポの名前の由来

出典:写真AC 

タンポポは、江戸時代までは鼓草(ツヅミグサ)と呼ばれていました。そこから日本に古くから伝わる伝統の楽器である鼓の「タン」「ポポ」という音をとって、タンポポという名前で呼ばれるようになったといわれています。英名の「Dandelion(ダンデライオン)」はフランス語の「dent de lion(ライオンの歯)」という言葉が由来で、タンポポの葉のギザギザした形からライオンのキバが連想されたものです。

タンポポの花言葉

出典:写真AC 

タンポポの花言葉は、「愛の神託」「まごころの愛」そして「別離」です。神託とは神のおつげのことで、「愛の神託」という花言葉は、タンポポの綿毛で恋占いをしていたヨーロッパの言い伝えにちなんでいます。また、たくさんの綿毛がそれぞれ違う方向へと舞い飛ぶ様子が別れを連想させて、「別離」という花言葉もつけられたのでしょう。

タンポポの綿毛占い

出典:写真AC 

タンポポの綿毛を使った恋占いとは、好きな人のことを思い浮かべて「好き、嫌い…」と唱えながら、タンポポの綿毛にフーッと息を吹きかけるというものです。一息で全部の綿毛を飛ばせたら両想い、少し綿毛が残ったときは、相手の心が離れてしまうかもしれないとされています。そしてたくさん綿毛が残ったら、残念ながら相手はあなたに関心がないという暗示です。

ニホンタンポポとセイヨウタンポポの見分け方

出典:写真AC 

二ホンタンポポとセイヨウタンポポはどちらも細かく黄色い花びらの品種が多くてそっくりの見た目をしていますが、簡単な見分け方がひとつあります。パッと見てわかる見分け方のポイントと、それ以外の違いについて、表にまとめると以下の通りです。代表的な違いについて、順番に見ていきましょう。
 

  ニホンタンポポ セイヨウタンポポ
分布 局地的 全国に広く分布
形の違い 総苞片が… 閉じている そり返っている
開花の時期 1年を通して咲く
繁殖方法 他家受粉が必要 受粉は不要
種の大きさ 大きくて重い 小さくて軽い
種の量 少ない 多い
環境への適応力 強い やや弱い

ニホンタンポポとセイヨウタンポポの見分け方①総苞片(そうほうへん)

ニホンタンポポかセイヨウタンポポかを見分けるポイントでもっとも簡単なのは、花びらの付け根にある「総苞片(そうほうへん)」という部分の違いです。ニホンタンポポは総苞片が閉じているのに対し、セイヨウタンポポの総苞片はそり返っています。これは花が咲く前のつぼみの状態でも、綿毛になったあとでも変わらず、はっきりと違いがあることを確認できます。

ニホンタンポポとセイヨウタンポポの見分け方②開花の時期

花を見かけた時期も、見分けるポイントのひとつになります。タンポポといえば春というイメージが強いかもしれませんが、セイヨウタンポポは春に限らず1年中発芽をしていて、冬の寒いなかでも花を咲かせるのが特徴です。「こんな時期にタンポポ?」と思ったなら、ほとんどの場合それはセイヨウタンポポでしょう。

ニホンタンポポとセイヨウタンポポの見分け方③繁殖の方法

出典:写真AC 

セイヨウタンポポと二ホンタンポポは、繁殖の方法にも違いがあります。ニホンタンポポは他家受粉、つまり自分の株以外の株から花粉をもらわなければ受粉できません。ハチや蝶などの助けがあってはじめて、種子を作ることが可能になります。一方セイヨウタンポポは、受粉をしなくても自力で種子が作れます。まわりに媒介となってくれる昆虫がいない環境でもクローンを作り出せるため、ニホンタンポポを圧倒するスピードで増えているのです。

ニホンタンポポとセイヨウタンポポの見分け方④種子の大きさや量

ふたつのタンポポには種子(綿毛)にも違いがあります。セイヨウタンポポの方が作られる種子の量が多く、小さくて軽いため遠くまで飛んでいくという特徴があります。より広い範囲に、多くの種子を、一度にまけるというのが強みです。ニホンタンポポはセイヨウタンポポに比べると、種子の量は半分程度しかありません。さらに一粒が大きくて重さもあるので、分布を広げていくことは苦手なのです。

日本に咲くタンポポの種類

出典:写真AC 

タンポポにはニホンタンポポとセイヨウタンポポという大きな分類からさらに派生して、咲いている地域や花の大きさによってさまざまな品種が存在します。

ニホンタンポポの種類

出典:写真AC 

ニホンタンポポの品種です。地域に合わせた変化を遂げていて、名前もカントウタンポポ、トウカイタンポポなど自生地域にちなんだものが多いのが特徴です。同じ品種でも個体差が大きく、見分けることは難しいとされています。

カントウタンポポ

ニホンタンポポの代表的な品種です。関東地方を中心に、主に太平洋側に広く自生しています。総苞片が直立で、先に突起が見えるのが特徴です。

エゾタンポポ

エゾ(蝦夷)とは北海道の古い呼び名です。エゾタンポポは北日本、特に日本海側に分布しています。ほかの品種に比べ、葉が大きく広がっているのが特徴です。

カンサイタンポポ

関西地方や中国地方などの西日本で見られる品種です。総苞片の幅はやや狭めで、セイヨウタンポポよりも一回り近く小さいサイズが特徴です。

ヒロハタンポポ

別名をトウカイタンポポというこの品種は、関東から和歌山県のあたりまでに自生しています。総苞片は花びらに沿うようにして生えていて、苞の先がツノのように尖っているのが特徴的なタンポポです。

シロバナタンポポ

出典:写真AC 

黄色があざやかなタンポポのなかでも珍しく、白い花を咲かせる美しいタンポポです。主に大阪より南に自生しているので、東日本でこの白いタンポポを見かけたことのある人はほとんどいないかもしれません。見た目は一般的なタンポポと同じでも、花の色が白いとずいぶん印象が違いますね。「私を探して、見つめて」という、ロマンチックではかなげな花言葉もつけられていますよ。

セイヨウタンポポの種類

出典:写真AC 

上記のようにたくさんの品種のあるニホンタンポポに対して、セイヨウタンポポは主に2種類の品種が日本で自生しています。

セイヨウタンポポ

ヨーロッパから持ち込まれた帰化植物です。ニホンタンポポと異なり、総苞片が下に向かってそり返っているのが特徴です。繁殖スピードが速く、日本全国に1年中咲いています。

アカミタンポポ

アカミタンポポも外来種で、セイヨウタンポポと同じようにヨーロッパが原産です。見た目もセイヨウタンポポとほぼ同じですが、綿毛の種の部分が赤色をしていることで見分けられます。セイヨウタンポポ以上に勢力を拡大している地域もあるようです。

まとめ

出典:写真AC 

パッと明るい黄色と素朴な花姿で春の野原をにぎやかにしてくれるタンポポですが、日本固有種は今や全体の2割ほどとなっていることがわかりました。これまでなにげなく見ていたタンポポも、実はセイヨウタンポポだったということが多いのかもしれませんね。

おもち
ライター

おもち

幼少期、母とふたりでつくった小さな花壇が宝物でした。季節の移り変わりを色とりどりの花で知るのがとても好きです。

関連記事

Article Ranking