ナスの切り戻し作業
ナスの切り戻し作業は、風通しをよくすることで病気や害虫から防ぐほか、新芽や花、実の成長を促します。ナスの収穫量を重視する場合は、主枝の切り戻しを行うとよいでしょう。切り戻したところから新しいわき芽が生えることで、花数が増え収穫量も増えます。品質重視の場合は、側枝の切り戻しを行いましょう。伸びすぎた枝や茎を短くすることで、養分が花や実などにいきわたります。
主枝の切り戻し(更新剪定)の仕方
主枝の切り戻しの目的は、収穫量の増加です。梅雨が明けると、真夏の暑さと乾燥が原因で、皮が硬く色ツヤが悪くなり品質の低下が懸念されます。また、この時期、ナスは繁茂になり疲れ気味です。9月以降も収穫するならば、植物を若返らせる目的で更新剪定をしましょう。切り戻すことで、新しい枝が生えます。新しい枝が生えると花数が多くなり、収穫量も増えます。
切り戻し時期
切り戻し時期は、7月中旬〜8月上旬までです。実つきが悪くなったら切り戻すタイミングです。秋の収穫に備えて作業をするため、生育期間を考慮すると遅くともお盆までには作業を終わらせましょう。
切り戻し方法
- 草丈が50cm以上伸びている枝を切り戻す
- 枝葉が混みあっているところを剪定する
- 病害虫が出ている枝などを残らず取り除く
切り戻しの仕方は、各主枝の1/3〜1/2を切ります。株全体から見ると、高さが1/2〜2/3になるのが目安です。強い芽が残るように作業しましょう。中途半端な切り方はせず、実がついていても切ることによって、収穫量が増えます。
根切りの目的
根切りの目的は、株を若返らすことです。疲れた株の根を切ると、新しい根がたくさん出てきます。根が多いと水分と養分を大きく吸い上げるため、わき芽が発生し側枝となり、株全体が回復します。また、更新剪定で葉の蒸散が減っているため、根切りすることで株全体のバランスが崩れるのを防ぐのも目的のひとつです。
根切りの方法
根切りをするときは、株元から30cmくらいのところにスコップを入れましょう。そこから1周するように株のまわりを根切りをします。根切りのコツは、垂直にシャベルを深く入れることです。
肥料を与える
根切りした後は、追肥をします。根切りをしたことで、土が耕された状態になるため、その位置に肥料をまきましょう。肥料は、1㎡当たり30gを目安に化成肥料を使います。また、8月は真夏のため、土が乾きやすい時期です。乾燥を防ぐために、株の根元に刈り草か稲ワラを被せるとよいでしょう。花は半月ほどで咲き、1カ月後に秋ナスの収穫を迎えます。
側枝の切り戻し(側枝一果どり)の仕方
- 花がまだ蕾のうちに、花の上の葉を1枚残して摘心する
- 実を収穫した後、基部2芽のうち強い芽の上で切り戻す
- その芽が大きくなって蕾が見えてきたら、1と同じように蕾の上の葉を1枚残して摘心する
ナスの切り戻しの注意点
ナスが枯れる原因のひとつは、剪定の失敗です。また、作業を怠ると日光不足でナスの実が色あせ、ツヤのない状態になるため注意しましょう。剪定をし風通しをよくすると、病気や害虫を防げ農薬の量も減らせます。農薬に頼りすぎると、天敵昆虫と善玉菌も死んでしまうため気をつけましょう。
注意点①適期を逃さない
更新剪定の適期は7月中旬~8月上旬です。適期を逃してしまった場合、更新剪定を行うと株の再生に間に合いません。そのため、秋ナスの収穫に失敗します。もし、剪定をするならば、緩めに切り戻しましょう。
注意点②更新剪定が不要な場合
側枝一果どりの場合は、収獲のタイミングごとに切り戻しをしています。作業をこまめに行なっているため、全体的に繁茂にはならないため、更新剪定の必要がありません。細い側枝は随時、間引く程度に切り戻しましょう。
注意点③次に植え付ける予定がある場合
栽培スペースが狭く、ナスの次に栽培する野菜の植え付けの予定があるならば、切り戻しは避けましょう。切り戻すことで若返ってしまい、ナスの栽培が終えられないからです。収穫し、株が弱ってきたらナスの栽培をやめます。
注意④雑菌はしっかり予防する
晴れた日の午前中に、切り戻し作業をします。午前中に行うと、切り口が乾燥しやすくなるからです。雑菌が切り口に入ると、病気に感染する恐れがあるため、天気が悪い日は避けます。また、雑菌を防ぐためには、剪定バサミやナイフは清潔なものを用意しましょう。ほかに、手袋か軍手をつけて作業をすると、手に付着している雑菌が切り口に入るのを防げます。
上手に切り戻してナスを長期収穫!
ナスは切り戻すことで収穫量が増え、色ツヤがよくなり品質が高められます。また、ナスは切り戻すと、長期間連続して収穫できる野菜です。夏の間に1節目〜2節目を残して切り戻せば、秋以降も実をつけ長期にわたって収穫できますよ。上手に切り戻して、食卓でナスを楽しみましょう。
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出典:筆者作成