生でおいしく食べられるきゅうり
夏野菜の代表的存在のきゅうりは、生ですぐに食べられるのが魅力の野菜です。クセがなくさっぱりとした味わいで、サラダの具材や薬味に使うなどさまざまな楽しみ方ができ、冷蔵庫に1本あると重宝します。生でおいしく味わえるきゅうりですが、加熱調理して食べる方法も人気が高まってきています。人気が高まるのにともない、加熱してもおいしいのかと疑問に思う人も増えているでしょう。
きゅうりは焼くとおいしい?
きゅうりは焼いてもおいしく食べられます。生食のイメージが強いきゅうりですが、炒め物からスープまで、幅広い調理法で楽しめます。生で食べると調理法が限られるため、意外に食べ飽きてしまうことの多いきゅうりも、加熱調理でおいしく食べる方法を知っておくとレシピのレパートリーが増えておすすめです。
ボタニ子
焼くと「まずい」と感じる人がいるのはなぜか
まずい理由①食感
加熱したきゅうりをまずいと感じる大きな理由は「食感」です。きゅうりは水分が多く、生食ではシャキシャキとした食感を楽しめます。火を通すとシャキシャキ感を失い、しっとりとした食感に変わります。「きゅうりはシャキシャキしている」というイメージが強い分、火を通すと「まずい」と感じてしまう人がいるわけです。
まずい理由②青臭さ
生で食べるときもいえることですが、きゅうりは焼いても若干の「青臭さ」が残るケースが多いです。もともときゅうりの青臭さに敏感な方は、加熱したきゅうりを食べても同じように「臭い」と感じ、「きゅうりに火を通す=まずい」という考えに至ってしまいます。ただし、青臭さは調理法や味付けで十分緩和できるため心配ありません。
まずい理由③鮮度
鮮度が落ちたきゅうりは、生はもちろんですが、加熱調理してもおいしくありません。調理する段階で傷んでいることに気が付いたときは、迷わず破棄しましょう。見た目では判断がつかない場合でも、加熱調理したときに「臭いが変」「酸っぱい味がする」など異変を感じた際は、すぐに食べるのをやめてください。
きゅうりが持つ栄養素とは
「きゅうりには栄養がない」と思っている人は少なくありませんが、これは捉え方の間違いです。きゅうりは「Least calorific fruit」、直訳すると「最も熱量の低い果実」というギネス世界記録を持っています。つまり、きゅうりは「ローカロリーな野菜」というだけで、栄養がないわけではありません。
ボタニ子
きゅうりには栄養がたっぷり含まれているよ!どんなものがあるのか見てみよう!
栄養①ビタミンC
きゅうりにはビタミンCが豊富に含まれており、その含有量はトマトの約1.3倍です。ビタミンCは、免疫力アップやコラーゲンの生成、メラニン色素の抑制、鉄の吸収をサポートする働きを持っています。風邪予防などの健康面だけでなく、美肌や美白などの美容面での効果への期待も高いです。
栄養②ビタミンK
きゅうりにはビタミンKが豊富に含まれています。ビタミンKは、主に血液を固めて止血する働きをします。また、骨にカルシウムを取り込む際に手助けする役割も持っており、骨の健康維持には欠かせません。「歯や骨を丈夫にしたい」「よくけがをする」「授乳中」の方は、積極的に取り入れたい成分の一つです。
栄養③カリウム
きゅうりに含まれる栄養素の中でも、含有率が高いのが「カリウム」です。カリウムは、血圧の抑制や体内の水分と塩分量の調整の働きを持ち、血流促進やむくみ解消に効果的です。カリウムは体内のナトリウムと結びつき、老廃物の排泄のサポートをする役目もあります。塩分の摂取量が多い現代人はカリウム不足になりやすいため、注意が必要です。
栄養④食物繊維
きゅうりには腸の働きを活性化させることで有名な「食物繊維」も含まれています。整腸作用のほかにも、血糖値の上昇の抑制、肥満予防、コレステロール低下の手助けをすることから、生活習慣病予防や便秘の軽減と解消などの効果が期待できます。ただし、摂りすぎると腸の働きが鈍くなり、便秘や下痢の原因になることもあるため注意しましょう。
栄養⑤βカロテン
きゅうりには含有量は少なめですがβカロテンも含まれています。強力な抗酸化作用を持っており、免疫力アップや視力の維持、皮膚や粘膜を健康に保つ効果への期待が高いです。体内では必要に応じてビタミンAに変換されるため、老化防止などのビタミンAの効能も同時に果たします。
栄養⑥シトルリン
シトルリンとは、ウリ科の果菜類に多く含まれているアミノ酸の一種です。血管を拡張させる作用があり、血流改善につながります。血流がよくなることで、疲労回復、冷え取り、むくみ防止、集中力や記憶力アップへの効果も期待されています。抗酸化作用も持っているため、アンチエイジングや老化防止を求めている方に特におすすめです。
ボタニ子
ウリ科の代表的な野菜には、かぼちゃ、ズッキーニ、トウガン、スイカなどが挙げられるよ!
きゅうりの栄養素は焼くとどうなる?
きゅうりが持つ栄養素には、「焼くことで壊れてしまう」ものと「吸収がよくなる」ものがあります。摂取したい栄養素を効率的に吸収するためにも、栄養素の特徴を知っておきましょう。
加熱調理と相性のよい栄養素
きゅうりが持つ栄養素の中でも、βカロテンは特に加熱調理との相性がよいです。βカロテンは油と一緒に摂取することで吸収がよくなるため、炒めるかグリルする調理法が向いています。カリウムやシトルリン、食物繊維は熱による成分破壊が少なく、加熱調理しても問題なく摂取できます。
ボタニ子
食物繊維は火を通すことで成分は変わらないけど、繊維質が軟らかくなって食べやすくなるメリットがあるよ!
火を通すと壊れてしまう栄養素
きゅうりに多く含まれるビタミンCは、熱に弱く加熱すると壊れやすいです。水にも溶けやすいため、ビタミンC摂取が目的の場合は、火を通すときに茹でたり蒸したりせずレンジで短時間温める程度にとどめましょう。ビタミンKは熱には強めですが油に溶けやすいです。炒める、またはグリルする際は、油も一緒に摂取することをおすすめします。
火を通すことで抑えられる成分
きゅうりには「アスコルピナーゼ」と呼ばれる酵素が含まれていますが、50℃以上の熱を通すと作用が弱まる性質を持っています。アスコルピナーゼはビタミンCを破壊する働きを持っており、きゅうりを生で食べるとビタミンCの吸収が悪くなってしまいます。つまり、火を通すことで、きゅうりに含まれるビタミンCを効率的に摂取できるわけです。
ボタニ子
次は、きゅうりを焼くおいしい食べ方について紹介していくよ!
「加熱したきゅうりはまずい」っていう人もいるけど、なぜなのかしら?