きゅうりには支柱が必要?
きゅうりはかぼちゃやスイカと同じように、つるを地面に這わせて栽培されてきました。ですが地面に這わせる栽培方法は、病気や成長が悪くなるなどのリスクがあります。詳しい支柱が必要な理由を見ていきましょう。
支柱立ての理由
理由1「病害虫の予防」
きゅうりのつるは絡まりやすく、葉の密集した場所にカビや害虫が発生しやすくなります。支柱につるを這わせることで、つるや葉の間隔が適度にとれ、病害虫の予防になります。
きゅうりの主な病気と原因
褐斑病(カッパンビョウ)…高温多湿時に発生。
- うどんこ病…葉にカビがついて発生。
- 灰色かび病…低温多湿時に発生。
きゅうりの主な害虫と害
- アブラムシ…葉裏について養分を吸う。
- ウリハムシ…葉を食べて穴だらけにする。
- ハダニ類…葉裏について養分を吸う。
理由2「成長促進とつるが倒れるのを予防」
きゅうりはつる性植物で、つるを長く伸ばし、その途中に実をつけます。支柱を立てることでつるの伸びがよくなり、支えられることでつるが倒れるのを防ぎます。
理由3「日当たり」
葉やつる、株どうしの間隔がとれることで、日当たりや風通しがよくなりムレを防ぎます。
理由4「収穫量と収穫のしやすさ」
成長が促進されることで実のつきがよくなり、つるに間隔があるため収穫がしやすくなります。
きゅうりに支柱を立てる時期はいつ?
家庭菜園の支柱立て、時期はいつがよいのか?
家庭菜園できゅうりを育てるとき、支柱を立てるタイミングはいつがよいか気になります。家庭菜園の場所や環境条件などさまざまありますが、基本的な支柱立てのタイミングはつぎの2つになります。
タイミング1「植え付け前」
うねを立てたあと、きゅうりの苗を植え付ける前に支柱を立てます。その後、苗穴を掘り植え付けします。
タイミング2「植え付け後」
苗の植え付け後すぐか、あるていど株が成長してから支柱を立てます。家庭菜園で支柱を立てるタイミングに迷ったときは、長すぎると倒れる心配があるのでつるの長さが30cm~50cmになったら支柱を立てましょう。
どちらのタイミングも、風が強い日におこなうと支柱が倒れる心配があるので、できるだけ風のない日を選んで作業しましょう
支柱立てのポイント1「支柱の形状」
きゅうりに使用する支柱は、高さ・長さ・太さ・形に注意して選びます。
1、高さと長さ
きゅうりは成長すると高さが1m以上になります。転倒を防ぐため、成長後の高さを考えて長さ2mほどの支柱を使いましょう。きゅうりはつるがよく伸びるほど、地中の根も長く伸び丈夫に育ちます。
2、太さと形
太め(直径2cmほど)の支柱を使います。支柱の太さは強度に関係していて、重みを増していくきゅうりにはあるていど太さのある支柱が適しています。支柱の形は、たくさんのでっぱりがついた「イボ竹タイプ」がよく、イボがあることでつるが引っかかりやすく誘引もしやすくなります。
支柱立てのポイント2「支柱の立て方」
1、支柱の上下に注意する
支柱には上下があり、丸みを帯びたほうが上で、尖っているほうが下(土に挿すほう)です。上下を間違えず立てることで、支柱がぐらぐらせず転倒防止につながります。
2、立てる位置と深さ
根の成長や傷みの原因にならないよう、支柱を立てる位置は苗から5cm以上離し、30cm以上地中に深く差し込みます。
3、支柱の数
きゅうりは1本立てした支柱でも育てることができますが、背の高くなる植物に対し1本立ての支柱は強度が弱く、つるを誘引する場所もあまりありません。1本立ては植木鉢などで育てるときに場所もとらず有効で、うねで育てる場合は支柱が2本以上必要になります。
支柱立てのポイント3「支柱の補強」
筋交いや横に渡して補強する
うねに立てる支柱は1本立てや2本立てだと強度が弱いので、筋交いや横に渡すなどして補強します。補強用の支柱が短いときは、2本~3本支柱を足して紐で縛り連結させてから使います。
支柱立てのポイント4「支柱の固定」
支柱を紐で固定する
交差した部分や筋交いをあてた部分を麻紐やビニール紐で縛り、補強を強固にします。紐の巻き方は、交差部分を紐で2週~3週ほど巻き込み、締め付けて固定します。
支柱立てのポイント5「ネットの張り方」
1、網目は気にせず
ネットには網目が四角い園芸用ネットや、網目がひし形になっているきゅうり用のネットがあり、どちらの網目でもきゅうりの栽培ができます。
きゅうりネットは絡まりやすいので、ほどく際には絡まりに注意しましょう
2、たるまないように張る
ネットを設置する際は、つるや実の重みによってたるみがでないよう、支柱にしっかりと張った状態で固定します。ネットの余った部分はまとめて、いちばん端の支柱にくくりつけます。
支柱立てのポイント6「つるの誘引と巻き方」
1、親づるを誘引する
誘引は親づる(細いつるには不要)を上へ垂直に伸ばすために必要な作業で、誘引のタイミングは植え付け後すぐです。その後は伸びていく親づるを一定の間隔で支柱にくくりつけていきます。くくりつける紐はつるの成長に合わせゆるめに巻き、8の字を書くように紐を交差させて結びます。
2、つるの巻き方
きゅうりの細いつるは巻き方が決まっておらず、左右どちらにも旋回するため、どの方向からでも支柱やネットに巻きつけができます。細いつるが支柱やネットから離れて伸びているときは、折れないよう注意して支柱やネットに引っかけてあげましょう。
きゅうりの支柱立て方1「垂直式支柱」
垂直式支柱はうねが1本のときに使われる、基本的な支柱の立て方です。立てる支柱の数が少ないため日当たりはよくなりますが、風には弱いので、筋交いや両端に支柱を足して補強しましょう。
垂直式支柱の作り方
作り方1
作り方2
垂直式支柱のネットの張り方
- 長めに切った紐を用意して端の支柱に結び付けます。紐の反対側からきゅうりネットの網目部分を通し、反対側の支柱に紐を結び付けます。ネットは絡まりやすいので気をつけながらカーテンのように広げ、しっかりと張った状態で支柱とネットを数ヵ所紐などで固定します。
きゅうりの支柱立て方2「合掌式支柱」
合掌式支柱はうねが2本のときに使われる支柱の立て方で、向かい合わせにした支柱を斜めに挿し、その上に支柱を渡して固定します。できあがりの形は合掌造りの屋根を思わせます。合掌式支柱の特徴はは強度が高いことです。
合掌式支柱の作り方
作り方1
作り方2
作り方3
合掌式支柱のネットの張り方
- 張り方は垂直式と同じですが、合掌式は両方のうねにネットを張ります。
手作りの支柱を使う
枝や竹で手作りする
きゅうりの支柱は、木の枝や竹などを使って手作りすることができます。手作りの支柱を使う場合も市販の支柱と同じように、適度な太さの枝や竹を選び、つるの高さを考えて長さのあるものを用意しましょう。
枝や竹は土に挿すほうを斜めに切って尖らせると、挿しやすくなりますよ
まとめ
きゅうりの支柱立ては、株を丈夫に育て、収穫の量を増やすなどのメリットがあります。支柱を立てるタイミングは、苗の植え付け前後のどちらでも大丈夫ですが、つるが長くなりすぎると支柱立てや誘引作業が大変になるので、できるだけ早めに立てて、たくさんの収穫を楽しんでくださいね。
出典:筆者撮影