牡丹桜(八重桜)とソメイヨシノ
日本の桜と言えば、真っ先に名前があがる品種がソメイヨシノです。ここでは牡丹桜とソメイヨシノとの違いを紹介しましょう。まず最初に、ソメイヨシノの主だった特徴を説明します。
ソメイヨシノの特徴
ソメイヨシノ(染井吉野)は、オオシマザクラの雑種とエドヒガン系の桜の品種との交配で誕生した栽培品種です。生長が早く、若いうちからたくさんの花をつける性質が花見用の桜として好まれ、全国各地に植栽されました。他の桜との交配は可能ですが、同種同士の交配はほぼ不可能であるため、挿し木や接ぎ木でしか純粋な子孫を残せないという特徴があります。
ソメイヨシノの基本データ
植物学的分類 | バラ科サクラ属:落葉広葉樹 |
原産地 | 日本 |
開花時期 | 3月中旬~3月下旬 |
花色 | 薄ピンク色 |
別名 | ヨシノザクラ(吉野桜) |
ソメイヨシノと牡丹桜との違いは?
牡丹桜とソメイヨシノとの違いは、以下の3点です。
違い①咲き方と花びらの枚数
牡丹桜は八重咲きで、花びらの枚数も品種によって違います。一方、ソメイヨシノの花びらは5枚と決まっており、咲き方も一重咲きです。また、牡丹桜は花と葉が同時に展開するのに対して、ソメイヨシノは花が終わってから葉が展開します。
違い②開花時期
牡丹桜とソメイヨシノは、開花時期も違います。ソメイヨシノが3月中旬頃から咲き始め、3月下旬頃に満開期を迎えるのに対して、牡丹桜は遅れて4月中旬頃に開花を迎えます。また、ソメイヨシノはすぐに散ってしまうので開花期間が短いことに対して、牡丹桜は開花期間が長く、5月上旬頃まで楽しめるのも両種の違いと言えるでしょう。
違い③歴史の長さ
桜の代表格とされるほど全国各地に広まっているソメイヨシノですが、誕生したのは江戸時代中期から末期と、その歴史は意外と新しいです。一方、牡丹桜(八重桜)は平安時代に和歌に詠まれるなど、古くから親しまれてきた歴史を持っています。
牡丹桜(八重桜)の育て方
華やかで一本だけでも見応えがある牡丹桜を、家庭でも育ててみたいと思う方は少なくないでしょう。桜は「育てるのが難しい」というイメージが強いですが、強健な品種を選び、育て方の重要なポイントを抑え、環境を整えることができれば大丈夫ですよ。
牡丹桜の育て方のポイントその①:植え付けと植え替え
植える場所の条件は?
一年を通して日当たりと風通しのよい場所を選びましょう。鉢植えで育てる場合も同じです。牡丹桜は耐寒性があるので、屋外でも冬越しすることができます。また、若木のうちは風で倒れる恐れがあるので、支柱を立てておくことをおすすめします。
植え付け・植え替えの適期は?
牡丹桜の植え付けの適期は、休眠期に当たる11月から3月中旬です。ただし、真冬の植え付けは株を傷つける可能性があるので注意しましょう。鉢植えの場合は、苗よりも一回りか二回り大きな鉢に植え付けます。地植えの場合は深さ30cmから40cm、幅50cmから60cmほどの植穴を掘って植え付けましょう。植え替えの適期は12月から3月です。1年に1回の割合で植え替えます。
牡丹桜の育て方のポイントその②:用土と肥料
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用土・土は?
牡丹桜は弱酸性で水はけのよい土壌を好みます。鉢植えで、自分で土を作る場合は赤玉土(中粒)5:川砂3:腐葉土2の割合で作りましょう。市販の庭木用の土でもOKです。地植えの場合は、植穴を掘った際に出た土に、腐葉土を2割か3割ほど混ぜておきます。
肥料の種類と適期は?
肥料の与え方は鉢植えと地植えで少し異なります。地植えの場合は2月と5月に、それぞれ寒肥・お礼肥として油粕と骨粉入りの有機質肥料、もしくは緩効性肥料を与えましょう。鉢植えの場合はこれに加えて、3月と10月に液体肥料を与えます。鉢植えは水やりのたびに肥料成分も流れてしまうからです。
牡丹桜の育て方のポイントその③:水やり
水やりの仕方も、鉢植えと地植えとで違います。鉢植えの場合は、土の表面が乾き始めたらたっぷりと与えましょう。牡丹桜は水を好みます。特に開花期や夏場など水を多く必要とする時期は、水切れに注意が必要です。地植えの場合は植え付け直後の1、2カ月間は、土が乾いたら水を与えるようにします。その後は雨が降らない日が続く時以外は、水やりをしなくても大丈夫です。
牡丹桜の育て方のポイントその④:剪定
強剪定は絶対厳禁
桜は「桜切る馬鹿」という言葉があるほど、剪定に弱い植物として知られています。牡丹桜も例にもれず、強剪定は厳禁です。樹形が大きく乱れるなど、よほどのことがない限りは徒長枝を間引く程度の弱い剪定で十分です。剪定を行う時期は花後と落葉後が適しています。切り口からばい菌が侵入して腐ることが多いので、剪定した枝の切り口には、忘れずに癒合剤を塗っておきましょう。
牡丹桜の育て方のポイントその⑤:病気・害虫対策
注意する病気は?
根にコブを作り、肥大して樹木を弱らせる根頭がん種病に要注意です。効果的な治療法や薬剤がなく、一度発病すると回復するのは難しいと言われています。株の体力が落ちるとかかりやすくなるので、牡丹桜に余計なストレスのかからない、良質な栽培環境を整えることが予防策につながります。根を踏んだり、水切れを起こしたりしないように注意することも必要です。
注意する害虫は?
桜の葉裏につき、栄養分を吸い取るサクラコアブラムシに注意が必要です。放置していると葉が縮れ、先端に紅色のコブができてしまいます。早急に殺虫剤を散布して、徹底的に駆除しましょう。
まとめ
牡丹桜は華やかで美しく、個性的な品種もたくさん存在する魅力的な桜です。桜の名所で観賞したり、自分好みの品種を育てたりと、自分に合った楽しみ方を見つけてくださいね。
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出典:BOTANICA