さつまいもはプランター栽培できる?
さつまいもは「食欲の秋」を代表する食べ物です。そのため、さつまいも栽培といえば「農家の人々が広い畑で育てる作物」という印象が強く、「家庭菜園で育てるものではない」「園芸初心者には不向き」と考える方もいるでしょう。しかし、じつはさつまいもは、プランターでも栽培可能です。暑さに強く瘦せ地でも育つ丈夫な野菜で、手間もかかりません。初心者でも育てられます。
さつまいものプランター栽培【栽培スケジュール】
さつまいものプランター栽培【準備】
苗の選び方
さつまいものプランター栽培で準備するのは苗、プランター、用土の3つです。さつまいもの苗は、4月ごろからホームセンターなどで販売されます。さつまいもの苗の選び方のポイントは「茎」「葉」「節間」です。茎が太く、葉に厚みがあって色も濃く、節間が間延びしていないものを選びましょう。
植え付け時期まで間がある場合は、苗を水を浅く張ったバケツに浸けて日陰で保存します。1週間ほどもちますよ。
プランターの選び方
さつまいもは根菜のため、鉢やプランターで育てる場合は、深さと大きさが選び方のポイントになります。2株~4株の苗を植え付けるなら、土をたっぷりと入れられる深型で、幅60cm以上の大型プランターを選びましょう。材質は素焼き、またはプラスチックで問題ありません。
さつまいも栽培におすすめのプランター
aika(アイカ) 菜園プランター 710
参考価格: 918円
aicaの菜園プランターは、幅70.5cm、奥行き40cm、高さ26cmの大型プランター商品です。大きさも深さもあり、さつまいも栽培のほか、深く根を張る植物栽培にも向いています。底にすのこがついているため、水はけがよい点も魅力です。家庭菜園造りに役立つアイテムとなるでしょう。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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用土の選び方
さつまいもは痩せ地で育つ野菜です。水はけがよく肥料成分が控えめの用土であれば、問題なく育ちます。プランター栽培なら、市販品の花と野菜用培養土で十分です。用土をプランターに入れる前に、鉢底石を底に入れておくと、さらに水はけがよくなりますよ。
さつまいもは乾燥に強いぶん、湿気に弱いんだ。だから水はけをよくすることが大事なんだよ。
さつまいものプランター栽培【植え付け~収穫】
栽培環境
さつまいもは生育適温20℃~30℃と、温暖な気候を好む野菜です。温暖で日当たりと風通しがよい場所なら問題ありません。反面、寒さには弱いため注意が必要です。植え付けも寒さが完全に去り、地温が上がった時期に行います。さつまいもは順調に育つとつるがよく伸び、葉もよく茂るため、ある程度つるが伸びたら支柱を立てて誘引しましょう。
植え付け
さつまいもの植え付け時期は、完全に寒気が去り、地温が上がる5月半ば~6月半ばです。さつまいもは苗の植え方によって、収穫できる果実の数や大きさが違ってきます。プランター栽培でおすすめの植え方は「垂直植え」「斜め植え」です。どちらも収穫数は少ないですが、充実した大きな果実ができます。
さつまいもの植え方
植え方の種類 | 植え方の特徴 |
垂直植え | ・まっすぐ植え穴を掘り、根元だけを植え付ける ・植え方にコツがいらず、手間がかからない ・個数が少ないぶん、大きい果実ができる |
斜め植え | ・斜めに植え穴を掘り、根元の3節~4節を植える ・根が定着しやすい ・養分がよく行き渡るので、良質な実ができる |
水平植え | ・畝と水平になるように植え付ける ・深く植えるため、収穫個数が多くなる ・地植え・長い苗向きの植え方 |
植え付けの適切な深度とは
プランター栽培のさつまいもの植え穴は5cmほどの深さで掘り、苗は根元から3節~4節を目安に、浅めに植え付けるのがポイントです。深いと果実が大きくなり過ぎたり、逆につきにくくなったりする恐れがあります。手間が少ない垂直植えや、質のよい実ができやすい斜め植えなど、浅めに植える方法をうまく選んで植え付けましょう。
水やり
さつまいもの水やりの頻度は、苗の成長具合で異なります。さつまいもは乾燥に強く湿気に弱いですが、葉がよく茂るため蒸散作用が活発な植物です。定植しないうちは水切れしやすいため、植え付けてから1週間は毎日水やりしましょう。根が張って葉がしっかりしてきたら、水やりの頻度を土の表面が乾いたら水を与える程度に変えます。
蒸散作用とは、植物内の余分な水分を大気中へ放出する現象です。おもに葉の裏側で行います。
植物の蒸散作用は、人間でいえば排泄行為に当たる現象だよ。
肥料
さつまいもは痩せ地で育つため、肥料が多いとかえって生育に悪影響をおよぼします。追肥は控えめ、生育状態によっては必要ありません。ただし、土量が限られるプランター栽培は肥料不足になる場合があります。黄色い葉が表れたら肥料不足のサインです。さつまいもは窒素分が多いと葉が茂り過ぎて果実が育ちません。追肥はカリウム分が多い草木灰を少量施しましょう。
肥料の適期は?
さつまいもの追肥の適期は6月です。さつまいもの実は8月中旬ごろから肥大します。さつまいもの中のデンプン質を作るのにカリウムを必要とするため、味も大きさも良質な実を育てるには、追肥でカリウムを補給すると効果的です。ただし生育が始まってから追肥をすると、逆に果実の肥大化を妨害する恐れがあります。肥大化が始まる前、6月が追肥する時期となるのはこのためです。
収穫
さつまいもの収穫時期は品種や地域にもよりますが、9月下旬~11月です。秋に入り、葉色が薄くなって赤や黄色に変わったときが、収穫の目安となります。収穫する日は天候に注意が必要です。雨が降っていると、果実が傷ついて腐りやすくなってしまいます。よく晴れた日を選びましょう。さつまいもは寒さに弱いため、収穫作業は霜が降りる前に終わらせることも重要です。
さつまいものプランター栽培【特別な管理】
つる返し
さつまいものつるには、土に接した部分から根が出て果実をつける性質があります。このため、つるの生育を放置していると、果実をつけ過ぎて十分な養分が回らず、質の悪い果実ができてしまいます。これを防ぐ作業が「つる返し」です。地を這うつるを浮かせて、節間から出ている細い根を切除します。つるの生育が旺盛な夏は、1週間に1回のペースで行いましょう。
つる返しが不要な場合もある
つる返しは良質な果実を育てるための作業ですが、支柱を立てて栽培している場合は必要ありません。支柱に誘引されたつるは、土に接していないため根を出さないからです。支柱を立てて誘引したつるはコンパクトに収まるうえに、風通しもよく葉にまんべんなく日光が当たります。プランター栽培や小さな家庭菜園で育てる場合は、支柱を立てて誘引する方法がおすすめです。
病気・害虫対策
さつまいもの栽培で注意すべき病気・害虫は、つる割病、うどんこ病、アブラムシ、コガネムシ、ハダニ、ヨトウムシです。株は常に通気性を確保し、水や肥料のやり過ぎに注意します。日頃から株をこまめに観察し、初期のうちに発見して対処しましょう。さつまいもは食用のため、薬剤を使用する際は天然由来の製品がおすすめです。
除草作業
除草作業は、さつまいもへの日当たりをよくして、病気や害虫の予防にもつながる重要な作業です。除草作業は、苗の植え付け後30日がベストです。この時期を逃すと、雑草とつるの見分けがつきにくいうえに、炎天下の作業になってしまいます。雑草が成長する前に作業を終えましょう。その後は生育旺盛なつるが、雑草が生える隙がなくなるほど成長します。
さつまいもをプランターで手軽に収穫してみよう
さつまいもは秋グルメの代表格とされるため、家庭菜園向きでない印象が強い野菜です。しかし実際は痩せ地で育つほど丈夫で、初心者でも栽培できます。栽培スペースが狭くても、高さも深さもある大型プランターがあれば問題ありません。さつまいものプランター栽培で、手軽に秋の味覚を楽しみましょう。
出典:写真AC