サクランボは「桜桃(オウトウ)」や「実桜(ミザクラ)」とも呼ばれている植物で、花後に真っ赤な実をつけるのが特徴です。落葉性の低木で、人工授粉をすれば1本でも結実するため、家庭菜園でも育てられます。
園芸部類 | 果樹 |
形態 | 落葉性低木 |
樹高 | 1m〜3m |
花の色 | 白色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや強い |
耐陰性 | 強い |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
サクランボは5月〜6月にかけて、まん丸に膨らんだかわいらしい実をつけます。開花時期にピンク色の花を咲かせるサクラとは違い、サクランボは純白の花が固まって咲くのが特徴です。初夏に入ると、甘酸っぱくておいしいサクランボをたくさん食べられる「サクランボ狩り」も楽しめます。
名前の由来は?
サクランボは「サクラの実」という意味の「桜ん坊」という言葉を元につけられた名前です。実が大きくてツヤのある高級なサクランボは「赤い宝石」とも呼ばれ、贈答用としても人気があります。
花言葉は?
サクランボには「小さな恋人」「上品」「幼い心」「あなたに真実の心を捧げる」「善良な教育」という花言葉がついています。子どもへの贈り物にぴったりな花言葉が多く、成長のお祝いや進学祝いなどに添える花としても人気です。
サクランボ 佐藤錦
参考価格: 1,639円
佐藤錦はサクランボの中でも代表的な品種で、果肉がやや硬めで甘みが強いのが特徴です。粒の大きさが揃った佐藤錦は、高級品として贈答用にも利用されています。山形県が原産で「黄玉」と「ナポレオン」と掛け合わせて作られた品種です。
生産地 | 山形県 |
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実の色 | 赤色 |
サミット アメリカンチェリー
参考価格: 1,782円
サミットはカナダで栽培されている品種で、ほかのサクランボに比べて実が大きいのが特徴です。実が熟すと赤色から黒みがかった赤紫色に変化していくため、実の色を見れば食べごろがわかります。「アメリカンチェリー」とも呼ばれており、果肉が肉厚で食べ応えのある品種です。
生産地 | カナダ |
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実の色 | 赤紫色 |
植え付け時期 | 12月〜3月 |
植え替え時期 | 12月〜3月 |
肥料の時期 | 2月、5月、10月、12月 |
剪定の時期 | 12月〜2月、8月〜9月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月 |
実がなる時期/収穫時期 | 5月〜6月 |
栽培適期は?
サクランボは、休眠期にあたる12月下旬〜3月上旬に苗木を植え付けます。サクランボは種から育てると発芽率が低く、実がなるまでに時間がかかるためおすすめできません。開花時期は4月で、花後2週間〜3週間ほどで実がつきます。実がついてから1カ月ほどで真っ赤に色付き、5月下旬〜6月下旬にかけてが収穫適期です。
梅雨時期の管理のコツは?
サクランボは、梅雨時期に雨に長く当たると、実が避けたり枯れたりする恐れがあります。鉢植えの場合は、雨をしのげる軒下や室内に移動させましょう。地植えの場合は、ビニールなどを使用して雨避けしておくと安心です。
サクランボは、地植えでも鉢植えでも育てられます。根が張って大きく成長するため、広いスペースを確保できる場合は、地植えがおすすめです。鉢植えの場合は、深さと重みのある鉢を使用して、鉢が倒れないように管理しましょう。
盆栽としても育てられる?
サクランボを鉢植えにして苔玉などで表面を覆い、小さく剪定しながら育てると、盆栽としても育てられます。枝がやわらかい4月〜6月に針金を使用して枝を誘引しておくと、自分好みの樹形にできるのが魅力です。
サクランボは、日当たりと風通しのよい場所で育ててください。日当たりが悪いと花が付きづらくなり、サクランボの収穫量が減少します。また葉が密に茂るため、風通しのよい場所で管理して病気や害虫被害を予防しましょう。小さく剪定すれば室内でも管理できますが、基本的には鉢植えの場合も屋外で育てるのが適しています。
室内で管理する場合のポイントは?
サクランボを室内で上手に管理するには、鉢の置き場所が重要です。用土や葉が乾燥するのを防ぐために、エアコンの風が当たらない場所に置いてください。また、日当たりのよい窓辺に置いて、日照不足にならないように管理します。受け皿に水が溜まっていると根腐れを起こして枯れる原因となるので、定期的に水を捨てましょう。
サクランボは、畝を作らなくても問題なく育てられます。しかし、地植えにする場所の排水性が悪い場合は、根腐れで枯れるのを防ぐために畝を立てても構いません。畝の高さは10cm〜15cmほどが目安です。根が横にも大きく成長するため、畝間は30cmほどあけておきましょう。
サクランボは、水はけと水もちのよさを兼ね備えた用土で管理しましょう。市販されている「花木用培養土」や「果樹用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒と腐葉土をよく混ぜ込んだ用土を使用してください。地植えの場合は、苗木を植え付ける場所をしっかりと耕し、用土をふかふかの状態にしておくのがポイントです。
サクランボの苗木の植え付けは12月〜3月に行います。サクランボの種は発芽率が低く、どの品種との交配種かもわからないため、苗木を購入して植え付けて育てていくのが基本です。根を傷つけないように、丁寧に植え付けていきましょう。完全に根付くまでは、水切れを起こさないように管理してください。
サクランボを地植えにする場合は、あらかじめ植え付け穴を掘ってから苗木を定植していきます。株間は30cm〜50cmほどあけてください。植え付け穴の大きさや深さは、苗木のサイズにもよりますが、直径約50cm〜60cm、深さ約40cm〜60cmほど掘っておきましょう。
サクランボは元肥として、油かすや鶏糞などの有機質肥料を与えましょう。元肥を与えたあとも、2月、5月、10月と成長にあわせて追肥を行います。肥料をたくさん与えると株は大きく成長しますが、サクランボの実がなりにくくなる恐れがあるので注意しましょう。また、肥料の与えすぎは、肥料やけを起こして枯れる原因になります。
サクランボを地植えで育てている場合は、完全に根付いてしまえば降雨のみで十分なため、水やりの必要はありません。鉢植えの場合は、土の表面が乾燥したら、鉢底から水が流れ出る程度にたっぷりと水やりをします。冬は休眠期に入り水をあまり吸わなくなるため、水やりを控えめにして、やや乾燥気味に管理するのがポイントです。
サクランボを植え付けてすぐは、風にあおられて倒れたり折れたりする恐れがあります。太くてしっかりとした幹になれば支柱は必要ありませんが、若い苗木のときは支柱を立てておくと安心です。
サクランボは1月〜3月にかけてが落葉期で、葉がない状態で冬越しします。耐寒性が強く、地植えでもマルチングなしで冬越しが可能です。しかし、耐暑性がやや弱く、夏に水分が足りないと株元から枯れ込んできます。用土の水分が蒸発するのを防ぐために、ビニールや敷き藁を利用してマルチングをしておくのがおすすめです。
サクランボは2月に「寒肥」として、有機肥料を株元に適量与えます。5月と10月には、速効性の化成肥料を適量与えてください。サクランボの成長にあわせて季節ごとに追肥を行うと、大きく成長したおいしい実が収穫できます。
サクランボを地植えで育てている場合は、植え替えの必要はありません。鉢植えで育てている場合は、根詰まりを防ぐために2年〜3年に1回は、ひと回り大きな鉢に植え替えてください。
サクランボは「つぎ木」という方法で増やします。つぎ木は「台木」という元になる木の断面に、新しく増やしたい「穂木」を固定していくという増やし方です。サクランボのつぎ木は、2月〜3月か8月〜9月に行いましょう。
サクランボは、1本だけで結実する品種もありますが、品種によって人工授粉をしないと花後に実がならない場合があります。サクランボの開花がはじまり、花が「五分咲き」のときと「満開」のときに、筆や綿棒などを使用して花粉を雌しべにこすりつけてください。
サクランボの実が大きくならない場合は、花後に「摘果(てきか)」を行いましょう。摘果とは、実が多くつきすぎている場合に、実を間引きする作業をさします。実がたくさんあると栄養分が分散してしまい、実が大きく成長しません。そのため、1つの枝に2粒〜3粒程度残し、あとは摘み取っていきましょう。
サクランボの葉が黄色く変色する場合は、日照不足を疑います。地植えで育てている場合は、ほかの植物や建物の陰になっていないか確認してください。鉢植えの場合は、日当たりのよい場所に移動させましょう。
灰星病(はいぼしびょう)は、カビの菌糸が原因で発生する病気です。サクランボやモモなどの果樹が主に感染しやすい病気で、実が腐ったり枯れたりする恐れがあります。花後に花がらを放置すると、カビが発生する場合があるので注意しましょう。
褐斑病(かっぱんびょう)は、梅雨時期などの湿度の高い季節に発生しやすい病気です。感染した部分が茶色や褐色に変色するのが特徴で、放置すると腐敗がはじまり悪臭を放つようになります。褐斑病に感染した部分は、光合成ができなくなり弱ったり枯れたりするため、早めに切り取って処分しましょう。
アブラムシは、年間を通して発生しやすい害虫です。集団で寄生し、サクランボの栄養分を吸汁しながら成長します。数が少ない場合はガムテープに貼り付けて駆除しますが、大量発生した場合は殺虫剤を散布して駆除しましょう。光り物が苦手な性質を利用して、園芸用のシルバーテープを張り巡らせておくと予防ができます。
カイガラムシは5月〜8月に発生しやすい害虫です。サクランボの葉や茎に寄生し、栄養分を吸汁するのでサクランボが弱ったり枯れたりします。名前のとおり貝殻のように硬い甲羅で覆われているため、殺虫剤を散布しても駆除ができません。そのため、歯ブラシなどを使用して、株から払い落とすようにして駆除してください。
出典:写真AC