マンリョウは、関東以西の照葉樹林に自生する低木です。野鳥が実を運んで、人里に近い場所に生えることもあります。江戸時代に園芸品種が多く生まれ、鉢植え栽培や植栽が盛んに行われるようになりました。
園芸部類 | 庭木 |
形態 | 低木 |
樹高・草丈 | 40cm~1m |
花の色 | 白 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 常緑、縁起物 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
マンリョウの茎は株元で分枝せずに直立し、先端近くで小枝を伸ばして濃緑色の光沢のある葉を互い違いにつけます。葉は、縁に波打つようなギザギザの入る長い楕円形です。葉の下のほうから伸びた小枝の先に、多数の白い花が放射状につき、花後に艶やかな赤い実を結びます。
似たような赤い実のなるセンリョウ(千両)やカラタチバナ(百両金、百両)、ヤブコウジ(十両)よりも多い実を、垂れ下がるほどつけることから万両(マンリョウ)と呼ばれたといわれます。ともに金運を呼ぶ縁起物として正月飾りなどに用いられます。
ボタ爺
どの植物が先に名づけられたかは、諸説あるようじゃ。
万両(マンリョウ)『紅孔雀』 2.5号ポット苗(h34)
参考価格: 643円
紅孔雀(べにくじゃく)は、葉に薄紅色の斑の入った品種で、実の色は赤です。若葉の頃は全体が赤く、次第に深緑色の部分が増えてシックなグラデーションになります。成長が穏やかでやや繊細なため、鉢植え栽培が向いています。
実の色 | 赤 |
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葉の色 | 薄紅色の斑入り |
苗の種類 | 2.5号鉢のポット苗 |
特徴 | 鉢植え向き |
万両(マンリョウ)白実 2.5号小苗(h34)
参考価格: 643円
マンリョウには、白い実(シロミノマンリョウ)やクリーム色の実をつける種類(キミノマンリョウ)があります。赤い実とあわせて紅白の正月飾りに最適です。こちらは白実品種のポット苗で、育て方は赤い実の種類と同じです。
実の色 | 白 |
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葉の色 | 濃緑 |
苗の種類 | 2.5号鉢のポット苗 |
特徴 | 白い実 |
洋種万両(マンリョウ) レッドベリーズ 5号苗(h31)
参考価格: 2,860円
レッドベリーズは、オランダで育種された矮性(わいせい)種です。コンパクトで樹形が崩れにくく、実つき・実もちともによく、長く観賞できます。
実の色 | 赤 |
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葉の色 | 濃緑 |
苗の種類 | 5号鉢植えの苗 |
特徴 | 矮性種 |
植え付け時期 | 4月~5月 |
開花時期 | 7月頃 |
実が赤くなる時期 | 11月~3月 |
植え付け適期は春と秋ですが、年末の正月準備の頃に入手する機会が増えます。鉢植えはそのまま飾って育て、春に植え替えてください。庭への植え付けも、春まで待ちましょう。
マンリョウは、庭木にすることも鉢植えも可能です。暖地や中間地では、強い北風を避ければ冬も戸外に置けます。積雪量の多い寒冷地では、庭植えの冬越しは難しく、鉢植えで管理するのがよいでしょう。盆栽にもできますよ。
マンリョウは日陰でも育ちますが、実を多くならせるには、半日陰のほうが花芽がつきやすくなります。夏の西日と冬の寒風が避けられて、木漏れ日が差すような場所が自生地の環境に似ていて、理想的です。鉢植えや盆栽は玄関など屋内にも置けます。
マンリョウは、保水性のよい土壌を好みます。しかし、水はけが悪いと根腐れを起こすので、水持ちと水はけのバランスのよい用土が適しています。庭植えには、腐葉土を鋤きこんでおきましょう。鉢植え用土は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜてください。
マンリョウは乾燥を嫌うため、鉢植えには土の表面が乾いたらたっぷり水やりします。庭植えは根づいたら降雨のみで育ちますが、植え付け後1~2年目は、晴天が長く続くときは水やりしてください。
植え付け時に、元肥を加えてください。追肥は2月頃に緩効性の化成肥料を与えますが、量は少なめでかまいません。
害虫の心配はほとんどありませんが、風通しの悪い環境では、まれにカイガラムシが発生することがあります。幹を傷つけないように削ぎ落しましょう。
丈夫なマンリョウは、かかりやすい病気はとくにありません。
花は、咲き終わると枯れて自然に散ります。気になれば軽く掃除する程度でよく、花後の管理はとくに必要ありません。
マンリョウの苗は、植え付け時期にポット苗が出回るほか、クリスマスや正月準備の頃に実つきの鉢植えが売り出されます。ポット苗は、葉数が多く茎のしっかりした株を選んでください。実つきの鉢植えは、実が多くついているものを選ぶとよいでしょう。
鉢植えは、根詰まりを防ぐために2~3年に1回植え替えてください。細い根をできるだけ切らないように気をつけましょう。
庭植えのマンリョウを移植できますか?
庭植えで大きく育ったマンリョウは、根の活着が難しく移植には向いていません。こぼれ種からの実生の株は、活着しやすい若苗の頃に、鉢上げするか適切な場所に植え替えましょう。
マンリョウは常緑ですが、新しい葉と入れ替えに枯れた古い葉を落としながら上に伸びていきます。実をつけた小枝も、実が落ちると枯れます。何年か経つと下のほうは小枝も葉も枯れ落ちて、茎だけの間延びした状態になるため、仕立て直しなどの作業が必要です。
マンリョウは、通常は剪定の必要はありません。年月が経って茎が間延びしたときに、茎の中ほどで剪定します。上部の葉を切り落としてしまうため、しばらくは寂しい状態になり、再び実がなるのは2~3年後です。適期は5月頃で、剪定した枝は挿し木にして増やすとよいでしょう。
もう一つの仕立て直し方は、取り木で根を出させてから切り離す方法です。茎の途中の幹を数cm剥ぎ、湿らせたミズゴケを巻いてビニールで包んで幹に縛りつけます。3カ月程度で根がしっかり出てくるので、切り離して植え付けます。
仕立て直しをせずに、そのまま見映えをよくする方法もあります。間延びした株の前や横に新しいマンリョウの苗を植えると、高低差がついて、センスよく見えます。ほかの植物を植える(置く)のもよいですね。
関東以西の平野部では、庭植え・鉢植えともに冬でも屋外で観賞できます。たまに雪をかぶるくらいなら問題ありません。寒冷地では、鉢植えにして玄関や玄関ポーチに置くのがよいでしょう。
マンリョウの実から果肉を除いて種を取り出し、そのまま種まき用土にまいて増やします。種まきの時期は3月~4月頃で、実がつく大きさに育つには3~4年かかります。
まれに、白い実の種から、赤い実が育つことがあります。
仕立て直しの項目で紹介したように、マンリョウは取り木で増やせます。取り木の適期は、5月~6月頃です。
発根しやすい上のほうの若い枝を切り取って5cm程度の挿し穂を作ります。剪定した枝を使ってもかまいません。挿し穂を水揚げしてから、小粒赤玉土などの用土に挿しましょう。挿し木の適期は5月~6月頃です。
マンリョウ
参考価格: 1,200円
流通しているマンリョウは、自生種ではなく園芸品種です。品種名のないものは、江戸時代に改良された「宝船」などの品種の系統が多く、育てやすい基本種のような扱いで広く普及しています。
実の色 | 赤 |
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葉の色 | 濃緑 |
苗の種類 | 5号鉢の苗 |
特徴 | 育てやすい |
出典:写真AC