ゴムの木の「取り木」の方法を図解で解説!取り木の定義も併せて紹介!

ゴムの木の「取り木」の方法を図解で解説!取り木の定義も併せて紹介!

「取り木」は植物の繁殖方法のひとつで、ゴムの木などは取り木で増やせます。取り木は伸び過ぎた観葉植物を2つに取り分けることも可能で、それほど難しい手法ではありません。取り木とはどのような方法なのか、ゴムの木の取り木の手順を参考に見ていきましょう。

記事の目次

  1. 1.取り木とは?
  2. 2.ゴムの木の取り木概要
  3. 3.ゴムの木の取り木方法【図解】
  4. 4.ゴムの木の取り木を楽しもう!

取り木とは?

Photo by jeremy_norbury

取り木とは植物の増やし方のひとつで、枝や幹に発根させてから切り離し新しい株を作る方法です。枝を切り取ってから発根させる「挿し木」とは逆の順序です。おもな取り木方法には「高取り法」と「盛り土法」「圧条法」などがあります。

取り木の特徴

Photo by jeremy_norbury

取り木は、本体から水や養分が行き届くので成功しやすく、挿し穂の作りにくい植物を増やせるメリットがあります。幹の途中で取り木すれば、成樹の形で新しい株が作られ、長く伸びすぎた植物の仕立て直しも可能です。一方、発根に時間がかかり、一度に多くの株は増やせません。挿し木しやすい植物は、挿し木で増やすのが一般的です。

取り木のさまざまな方法

出典:筆者作成

高取り法

高取り法は、幹の皮の一部を剥いで根を出させる方法です。発根させる位置によって、樹形の整った新しい株を得ることが可能なため、ひょろ長く育った観葉植物や盆栽の仕立て直しができます。高取り法は、マンリョウ、カエデ、キンモクセイなど、多くの庭木や観葉植物、盆栽で行えます。

圧条法

圧条法は「枝伏せ」「曲げ取り」とも呼ばれ、地表近くの枝を曲げて一部を地面に埋めて根を出させる方法です。枝の柔らかな植物に向いていて、一度に複数の株を増やすことも可能です。ローズマリー、タイムなどのハーブ類やロウバイなどが圧条法で増やせます。

盛り土法

盛り土法は、根元に土を盛って、新しく出てくる茎やヒコバエなどに根を出させる方法です。植物によっては、地表近くで切り戻しておくことで多くの新しい株が得られます。盛り土法が適しているのは、ヤツデ、ゲッケイジュ、ボケなど、株元から数本の茎が分かれて立つ樹木やヒコバエの出やすい植物です。

ボタ爺

ボタ爺

ヒコバエとは、根元や切り株から生えてくる若い芽のことじゃ。ベーサルシュートともいう。

ゴムの木の取り木概要

ゴムの木の基本情報

出典:写真AC

名前 ゴムの木、ゴムノキ、インドゴムの木
学名 Ficus elastica
科・属名 クワ科・イチジク属
原産地 インド~東南アジア
園芸分類 観葉植物
形態 常緑樹
植え替え時期 5月~9月

ゴムの木は樹液がゴムの原料となる植物ですが、鉢植えの観葉植物として広く流通しています。種類は多く、上記のインドゴムの木のほかに、フランスゴム、ベンガルゴム(ベンガレンシス)なども人気です。広義では、ウンベラータやベンジャミンなどもゴムの木の仲間で、いずれも取り木で増やしやすい植物です。

ゴムの木の取り木方法と適期

方法は高取り法

ゴムの木の取り木は高取り法で行います。ゴムの木の幹は、どの種類も比較的剥ぎやすく、取り木しやすい植物です。伸びすぎたり、途中の葉が落ちたりしたゴムの木を半分に分けることによって、増殖と仕立て直し(剪定)ができます。

適期は梅雨の頃

ゴムの木の取り木は、梅雨の頃が適期です。その時期はゴムの木の生育が盛んなため発根を促しやすく、植え替えにも適しています。1~2カ月ほどで発根し、9月頃までには切り離して植え付けできます。

ゴムの木の取り木で準備するもの

Photo by jeremy_norbury

準備する道具 用途
ハサミまたはナイフ(カッター) 幹の皮を剥ぐ
水に濡らしたミズゴケ 皮を剥いだ幹に巻く
ビニール、ラップなど ミズゴケを包む
紐、テープなど ミズゴケを幹に縛る
手袋 手を保護する
コップや水差し(後日) ミズゴケが乾いたら湿らせる

ゴムの木の取り木方法【図解】

図解①位置を決める

出典:筆者作成

まず、取り木する位置を決めます。(図①)高取り法は、環状剥皮(かんじょうはくひ)といって幹の皮を剥ぐため(図②)、先端の細くて柔らかい緑色の茎よりも、真ん中や下の方が剥ぎやすいでしょう。

図解②幹を削ぐ

出典:筆者作成

環状剥皮する箇所の上下に、清潔なハサミかナイフで幹にぐるりと軽く切れ込みをいれます。(図②-1)切断しないように気を付けてください。次に、切れ込みの間を、縦に剥いでいきます。(図②-2)剥ぎ方が薄いと根が出る前に自然修復してしまうので、白い部分(木質部)が見えるまで削ぎ取ってください。(図②)

白い樹液が出てくるので、かぶれやすい人は手袋をしましょう。

環状剥皮する幹の幅はどれくらいですか?

削ぎ取る長さは、幹径の2倍~1.5倍が目安です。ゴムの木の場合は、3cm前後がよいでしょう。

削ぐ皮の厚さはどの程度ですか?

幹の太さにもよりますが、1mm~2mm程度です。白い木質部が見えるようにします。

図解③ミズゴケを巻く

出典:筆者作成

  1. ミズゴケは、あらかじめ水に浸しておく
  2. 環状剥皮した箇所に、水気を軽く絞ったミズゴケをたっぷり巻き付ける(図③-1)
  3. ミズゴケをビニールで包み、上下を紐などで幹に縛り付ける(図③-2)
  4. 半日陰で管理し、ミズゴケが乾いたらビニール包みの上部を開けて、水を差す

下方をしっかりと縛り付け、上は緩めに縛るか、ほどきやすい結び方にすると管理しやすい。

直射日光が当たらないようにしましょう。レースのカーテン越しに光が届くような場所に置くのがいいですね。

ミズゴケはどれくらいの量がいいですか?

握りこぶしくらいの大きさが目安です。少なすぎると乾きやすく発根しにくくなります。

発根促進剤は必要ですか?

発根促進剤を使わなくても発根しますが、根が出にくい場合は、環状剥皮した箇所に発根促進剤(ルートンなど)を塗ってください。

図解④発根を確認して切り離す

環状剥皮した箇所は、1~2カ月で発根します。ミズゴケに巻き付くほどみっしり根が出てきたら、根の下方で(図④)切り離して植え付けましょう。植え付け前に、ミズゴケを丁寧に取り除いてください。根が絡みついて取れないところはそのままで構いません。

取り木後の管理

植え付けから1週間程度は、そのまま半日陰に置いてください。取り木で増やしたゴムの木は、取り分け箇所によっては、株が大きいことがあります。根がまだ十分広く張っていないので支柱を立てると安心です。親株の方は、切断箇所の下から枝が伸びてくるので、新しい樹形に育っていくのを楽しみましょう。

ゴムの木の取り木を楽しもう!

取り木の手順【ゴムの木】

  • 取りたい箇所で環状剥皮する
  • 環状剥皮した箇所にミズゴケを巻く
  • ミズゴケをビニールで包んで幹に縛り付ける
  • 半日陰で管理し、ミズゴケを乾かさないように適時水を注ぐ
  • 十分に根が出たら切り離して植え付ける

取り木は、挿し木ほどなじみのある方法ではないかもしれませんが、手順がわかるとそれほど難しくありません。成功率が高いのが嬉しいですね。ゴムの木の取り木は初心者でも挑戦しやすいので、機会があれば挑戦してみましょう。

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ボタニ子

手を怪我しないように気をつけてね!

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Sandy
ライター

Sandy

家庭菜園など庭いじりを楽しんでいます。樹木も好きで、様々な木を植えては剪定に追われています。素敵な写真をシェアしてくださる方々に感謝です。

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