「取り木」とは?代表例を用いて時期・期間など具体的なやり方を解説!

「取り木」とは?代表例を用いて時期・期間など具体的なやり方を解説!

植物には種まきをはじめ、さまざまな繁殖の仕方があります。その中で「取り木」という繁殖方法があるのをご存じでしょうか。一見難しそうですが、コツを知れば実は簡単にできますよ。日本を代表する植物2種と熱帯性の植物2種を例に取り木のやり方をご説明します。

記事の目次

  1. 1.取り木とは?
  2. 2.取り木の種類
  3. 3.取り木に必要なもの
  4. 4.取り木の仕方
  5. 5.取り木でツツジを増やす方法
  6. 6.取り木で梅の木を増やす方法
  7. 7.取り木でキウイを増やす方法
  8. 8.取り木でアボカドを増やす方法
  9. 9.取り木の際に起こりがちなトラブルと対処の仕方
  10. 10.まとめ

取り木とは?

Photo byumutavci

「取り木」とは樹木の繁殖法の一種で、親木の幹や枝から発根させる方法です。樹皮の下にある「形成層」を削り取ることで栄養や成長ホルモンの流れを変え、根っこができる元である根源(原)体を活性化させて発根を促します。

取り木のメリット/デメリット

取り木はメリットの多い繁殖方法です。デメリットもありますが、ポイントさえ押さえればそれほど心配はいらないでしょう。慣れてくれば、少しずつお気に入りの植物を繁殖させて、病気や虫害による枯死のリスクを分散できますよ。

取り木のメリット

間延びした植物のサイズを調整したり、自分好みの樹形に仕立て直したりできるのが、取り木の最大のメリットです。親木の根を維持した状態で作業をするため、親木・取り木苗ともにダメージが少なく、挿し木より失敗しにくいのも魅力です。

取り木のデメリット

細い枝を削りすぎて折れてしまうこともあるため、場合によっては少し難しいと感じる人もいるかもしれません。無事発根して鉢上げする際も、直根がないため風などで倒れやすいでしょう。支柱を立てたり、ロープで固定したりという工夫が必要になります。

取り木の種類

一言で「取り木」と言っても、いくつかの方法に分かれます。取り木で代表的なものは「高取り法」や「圧条法」「盛り土法」「裂き上げ法」などです。高取り法では特に「環状剥皮(かんじょうはくひ)法」が有名で、よく使われています。

取り木に必要なもの

Photo by Pleuntje

取り木にはそれほど多くのツールは必要としません。滅菌したカッターやナイフとミズゴケが二大ツールです。そのほかの細かい道具を買い揃える必要がないため、手軽にチャレンジできますね。ミズゴケはホームセンターや100円ショップでも手に入ります。

高取り法に必要なもの

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高取り法には

  1. 滅菌処理済みのカッターやガーデニングナイフ
  2. ミズゴケ(茶色よりも白色のミズゴケがおすすめ)
  3. ポリ袋やラップ(ミズゴケを覆うことができるサイズのもの)
  4. ポリ袋やラップを固定するワイヤーやテープ
が必要です。

盛り土法に必要なもの

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盛り土法に必要なものは

  1. 土とスコップ
  2. (環状剥皮を行う場合は)滅菌済みのカッターやナイフ
です。作業法は後述しますが、文字通り「土を盛るだけ」の方法のため、必要ツールも非常にシンプルですね。

圧条法に必要なもの

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圧条法を行う際は

  1. 茎を土に固定するためのピンや小枝
  2. 土とスコップ
  3. (環状剥皮を行う場合は)滅菌済みのカッターやナイフ
を用意しましょう。ピンは枝を押さえて、時間の経過とともに抜けない程度の強度があれば、何でも大丈夫です。

裂き上げ法に必要なもの

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裂き上げ法に必要なものは

  1. 滅菌処理済みのカッターやナイフ
  2. 接ぎ木テープ
  3. ミズゴケ(茶色よりも白色のミズゴケがおすすめ)
  4. ポリ袋やラップ(ミズゴケを覆うことができるサイズ)
です。ミズゴケの量は、切り口の乾燥を防ぐためにぎりこぶし大程度を用意しましょう。

準備ができたら作業に取り掛かってみましょう。

取り木の仕方

取り木の作業は、いずれの方法もそれほど難しくはありません。ただし刃物を使う場合は支える手の位置に注意し、ケガをしないよう気をつけてくださいね。焦らず、ゆっくり作業を進めましょう!

取り木の方法①高取り法(環状剥皮)の仕方

STEP1 幹や枝を削る

  1. 清潔なカッターやナイフで枝の上下2本、約2cmの幅で、環状にグルリと傷をつけます
  2. 上下2本を繋ぐようにタテにカットを入れ、指で樹皮をくるりと剥ぎ取ります
  3. 樹皮を剥がし取った切り口を木質層(枝の中心部にある層)に届く深さでさらに削ります

STEP2 ミズゴケを巻いて削り口を覆う

  1. にぎりこぶし大のミズゴケ(小さすぎると乾きやすいので注意)を水につけ、水が滴らない程度に絞ります
  2. 削り取った部分に、濡らしたミズゴケを巻き付けます
  3. ミズゴケが乾かないよう、ポリ袋やラップで包み、テープやワイヤーで落ちないよう固定します(ポリ袋やラップは2~3重に巻き付けるのも有効)

STEP3 発根まで日々メンテナンスする

  1. ミズゴケが乾いていたら水を注ぎ、湿り気をキープします
  2. ポリ袋やラップ越しに、根っこが何本も見えるようになったら枝から切り離します
  3. 切り離す際は、根が腐るのを防ぐため、ミズゴケをきれいに取り去った後で植え付けます
  4. 植え付けた後は半日陰に置き、毎日葉水を与えてしっかり根付くように管理しましょう

ボタ爺

ボタ爺

少しでも苗を安定させるには、鉢上げを急がず充分に発根させるのがコツじゃよ。

取り木の方法②裂き上げ法の仕方

裂き上げ法は高取り法の一種で、環状剥皮がしにくい細い枝などに向いています。

  1. 滅菌処理済みのカッターやナイフで、茎の太さの3分の1程度を目安に斜め鋭角(20~30°)に裂き上げます(深さは木質部に届くまでが適切)
  2. 切り込みを入れた部分に、水(発根促進剤を溶かし込むとなお良し)に浸したミズゴケを挟みます。
  3. 環状剥皮法と同様にポリフィルムで覆い、ミズゴケや切り口が乾かないようにします。

取り木の方法③盛り土法の仕方

1株からいくつも樹幹が立ち上がる「株立ち」状の樹木や、ヒコバエや根が出やすい樹木などで行う方法です。

  1. 根元近くに土を盛っておきます(その際に環状剥皮をしてもOK)
  2. 約1年後、根が出るのを待ってから切り離し、苗として植え付けます
  3. 植え付けた後は半日陰に置き、毎日葉水を与えてしっかり根付くように管理しましょう

環状剥皮部分にホルモン剤を塗っておくのも効果的

  • 環状剥皮した部分に、発根促進剤(メネデールやルートンなど)を付けておくのも効果的です。根っこが出るのは環状剥皮した上側のため、そこにもしっかり付けましょう。

取り木の方法④圧条法の仕方

  1. 若くてやわらかい(しなる)枝やヒコバエを曲げて、その一部を土に触れさせます。
  2. 曲げた枝が土から離れないよう、U字のピンや小枝などで留めておきます。
  3. 曲げた枝の上から土を盛ります(その際、土中に埋める枝を環状剥皮してもOK)
  4. 約1年後に枝を切って堀り取ります
  5. 植え付けた後は半日陰に置き、毎日葉水を与えてしっかり根付くように管理しましょう

曲げにくい場合はワイヤーなどで枝を誘導

  • やわらかい枝と言っても、思うように曲がってくれないものもあります。そのような場合は枝の周りにぐるぐるとワイヤーを巻き付けながら、意図する方向へ枝を誘導して曲げていくやり方が有効です。

次からは、代表的な植物別の取り木のポイントを見ていきましょう!

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取り木でツツジを増やす方法

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