コマツナは日本や中国が原産で、栽培方法が簡単なため初心者でも気軽に育てられる野菜です。栄養満点で、野菜が少なくなる冬の時期に旬を迎えるため、家庭菜園の定番としても人気があります。
園芸部類 | 野菜 |
形態 | 一年草(秋〜翌夏にかけての越年草) |
樹高 | 15cm~30cm |
花の色 | 黄色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通(品種により強い) |
耐陰性 | あり |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
コマツナは「非結球葉菜」に分類されており、キャベツのように結球しないのが特徴です。種まきをしてから約50日ほどで収穫できるので、家庭菜園でも気軽に育てられます。ビタミンやβカロテン、ミネラルや鉄分が豊富に含まれている、栄養満点の緑黄色野菜です。収穫しないで育てると、3月〜5月にかけて黄色い花(菜の花)を咲かせます。
コマツナは収穫後に根元の部分だけを水につけておくだけで、また再生して葉をつける「リボーンベジタブル」としても人気があります。土に植えっぱなしにしておいてもまた葉をつけますが、空き容器に根元を入れてキッチンで水耕栽培すると、新鮮なコマツナをすぐに料理に使えて便利です。
名前の由来は?
コマツナの発祥地は、現在の東京都江戸川区小松川付近といわれています。そのため「小松川」という地名から「小松」を取り、「小松菜(コマツナ)」と名付けられました。また、雪が降る冬の時期に旬を迎えるため「冬菜」や「雪菜」という別名がついています。
花言葉は?
コマツナには「小さな幸せ」という花言葉がついています。コマツナの葉を収穫すると花は咲きませんが、収穫しないで放置すると「とう立ち」して黄色い花を咲かせるのが特徴です。かわいらしいコマツナの花をみつけた喜びが、そのまま花言葉になったといわれています。
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春のセンバツは、春〜秋にかけていつでも種まきができます。コマツナの品種の中でも葉の枚数が多いので、たくさん収穫できるのが特徴です。葉の大きさや高さがほぼ同じように成長します。下葉が取れやすいので軸部が揃い、束ねたときに美しく仕上がるのが魅力です。
生産地 | 千葉県 |
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草丈 | 25cm〜30cm |
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こいしい菜は秋まき用のコマツナで、茎が徒長しにくいのが特徴です。白さび病耐病性があり「第55回東京都種苗研究会・秋まきコマツナの部」で第1位を受賞したコマツナとしても人気があります。
生産地 | 神奈川県 |
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草丈 | 20cm〜25cm |
コマツナは「こいしい菜」のほかにも「すごい菜」や「よかった菜」などのユニークな品種があります。葉の厚みや草姿などが異なるので、自分好みのコマツナの品種を探して育てるのも楽しみのひとつです。
種まきの時期 | 3月〜10月 |
植え付け時期 | 4月〜11月 |
肥料の時期 | 4月〜11月 |
開花時期 | 3月〜5月 |
収穫時期 | 5月〜12月 |
栽培適期は?
コマツナは真冬の時期をのぞいて、いつでも収穫できるのが魅力です。種まきは3月〜10月に行いますが、耐暑性が普通程度のため、秋に種まきをして冬に収穫する周期で育てると株が大きく育ちます。成長が速いと種をまいてから1カ月程度で収穫できるので、ほかの植物との間作や混作にも使える野菜です。
コマツナは、プランター栽培も露地栽培も可能です。庭に広いスペースがある場合は、露地栽培にするとたくさんのコマツナが収穫できます。アパートやマンション住まいの場合は、プランターに植え付けてベランダ栽培するのがおすすめです。植木鉢で育てる場合は、1つの鉢に1株ずつ栽培していきましょう。
コマツナは屋外で地植え栽培される場合がほとんどですが、室内でも育てられます。地植え栽培する場合は、用土を整えたあとで高畝にしてから植え付けましょう。室内で育てる場合は、プランター栽培や、水耕栽培で育てます。日当たりが悪いと、おいしいコマツナに育たないので、日光のたっぷり当たる窓辺で管理してください。
コマツナは、日当たりと風通しのよい場所で管理してください。午前中にたっぷりと太陽の光が当たり、午後には半日陰になるような場所が適しています。日当たりのよい場所を好みますが、直射日光に長く当たると、葉焼けを起こして枯れる恐れがあるので注意しましょう。
葉が黄色く変色する原因は?
コマツナを日当たりの悪い場所で育てると、下葉から枯れ込んできたり、葉が黄色く変色したりします。ほかの植物や建物の陰になっている場合は、半日以上は日の当たる場所に移動させてください。
コマツナは、連作障害の出にくい植物といわれています。しかし、アブラナ科に分類される作物全般が連作障害で「白さび病」にかかりやすいため注意が必要です。連作する場合は、新しい用土を追加したり、堆肥をたっぷりとすき込んだりして、病原菌の繁殖を抑えてください。
コマツナは水はけのよい環境を好むため、露地栽培の場合は畝を作ってから植え付けるのがポイントです。100cm〜120cmほどの幅で畝を立てていきましょう。畝をいくつか作る場合は、畝間を20cm〜30cmほどあけてください。排水性の悪い場所で育てる場合は、畝を「高畝」にしておくと、根腐れを起こしにくくなります。
コマツナは、水はけと水もちのよさを兼ね備えた用土で育てます。ホームセンターや園芸店で市販されている「野菜用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒と腐葉土を混ぜ込んでから、少量のバーミキュライトを加えた用土を使用してください。
畑で露地栽培する場合の用土は?
コマツナを露地栽培する場合は、土壌酸度を調節しておく必要があります。元肥を混ぜ込む前に「消石灰(しょうせっかい)」や「苦土石灰(くどせっかい)」を使用して、酸度濃度をpH6.0〜pH6.5程度に調節しておきましょう。また、用土をしっかりと耕してふかふかにしておくと、根がよく伸びて健康な株に育ちます。
コマツナの種まきは、冬の休眠期を避けた3月〜10月の間ならば、いつ行っても構いません。しかし、品種によって「春まき品種」や「秋まき品種」があるので注意が必要です。種が入っている袋や説明書をよく読み、それぞれに適した時期に種まきをしてください。コマツナは冷涼な気候を好むため、初心者は秋に種まきをする「秋まき品種」を選ぶとよいでしょう。
コマツナは、地植えでもプランターでも「筋まき」という方法で種まきをしていきます。筋まきとは、土の上に細い棒で溝を掘り、線状に種をまいていく方法です。1cm程度の深さに溝を掘ってから、種が重ならないようにまいていきましょう。種をまいたら土を5mmほど薄くかぶせ、手で軽く押してから水をたっぷりと与えます。
種が流れてしまうのを防ぐには?
コマツナの種はとても小さく、種まき後に勢いよく水やりをすると種が流れてしまう恐れがあります。そのため、ジョウロやホースで水やりをするのではなく、霧吹きを使用するのがおすすめです。また、あらかじめ用土を湿らせておくと、種まき後に水やりをする必要がなくなり、種が流れてしまうのを防げます。
コマツナの種をまいたら、発芽するまでは水切れを起こさないように管理するのがポイントです。プランター栽培の場合は、新聞紙をかぶせておくと水が蒸発するのを予防できます。コマツナの発芽適温は15℃〜25℃のため、夏は涼しい場所に移動させましょう。
コマツナは、種から育てるのが一般的なため、定植の必要はありません。育苗ポットなどは使用せず、育てたい場所に直接種まきをして育苗していきましょう。
コマツナを植え付ける前に、堆肥や緩効性の化成肥料を元肥として混ぜ込んでおきます。肥料を好むので、たっぷりと用土に加えても構いません。地植えにする場合は、種を植える1週間ほど前に元肥を混ぜ込んでおきましょう。
露地栽培の場合は、種まき〜発芽するまでの間は毎日水やりを行います。発芽後は降雨のみで十分なため、水やりの必要はありません。プランター栽培の場合は、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出る程度にたっぷりと水やりをしてください。多湿の環境で育てると、根腐れを起こして枯れる原因になります。
水耕栽培の場合は?
リボーンベジタブルとして水耕栽培で育てている場合は、容器の水を毎日取り替えてください。古い水で育てると、臭いが気になるだけでなく、コマツナが腐ったり枯れたりするので注意しましょう。
コマツナは「極立性」という草姿をしており、株がまっすぐ上に成長するのが特徴です。収穫時期でも高さは30cmほどのため、支柱に誘引する必要はありません。
コマツナは耐寒性が強く、冬でも収穫できる野菜です。しかし、雪や霜に当たると、葉が傷んだり枯れたりして、おいしいコマツナが収穫できなくなります。秋まき品種を育てている場合は、冬になる前に収穫するか、ビニールやバークチップを利用してマルチングをしておくと安心です。
露地栽培の場合は2回、プランター栽培の場合は1回程度「間引き」を行いながら管理します。コマツナは、種まきをしてから1週間ほどすると、本葉が2枚出てくるのが特徴です。苗の間隔が3cm〜5cmになるように発育の悪い葉を間引いていきます。露地栽培の場合は、さらに本葉が4枚出てきたときにも間引きを行いましょう。
間引きした葉は食べられる?
間引きした葉は少し小さいですが「間引き菜」として問題なく食べられます。間引き菜は若芽のため、やわらかくてアクが少ないのが特徴です。おひたしや炒め物に使うと、味がよくしみておいしく食べられます。
コマツナは肥料を好みますが、追肥をしすぎると病気や害虫被害を受けやすくなります。元肥として堆肥や緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおけば、あとは間引きの前に1回追肥する程度で構いません。
露地栽培での追肥のコツは?
コマツナを露地栽培で育てている場合は、畝の間に肥料をまいていくのがコツです。1mにつき25g〜30gを目安に、畝と畝の間に肥料を施していきます。株に直接肥料がかからないように注意しましょう。
コマツナの種が発芽しない場合は、温度や水分、日光などの条件があっていない恐れがあります。コマツナは水切れを起こすと発芽しないので、たっぷりと水やりをしてください。また、発芽適温が15℃〜25℃のため、暑すぎたり寒すぎたりしても発芽しません。夏はエアコンが適度に効いた室内で管理するとよいでしょう。
発芽したばかりの苗がすぐに枯れる場合は、水不足を疑います。種まきをしてから発芽するまでは、水切れを起こさないように管理するのがポイントです。発芽後の葉が小さい時期も、水を多めに与えながら管理しましょう。市販されている「加温育苗器」などの育苗アイテムを使うのもおすすめです。
コマツナの葉を収穫しないで放任で育てると、3月〜5月にかけて黄色い花を咲かせるのが特徴です。アブラナ科に分類される野菜が咲かせる花は「菜の花」と呼ばれ、さまざまな料理に利用できます。花が咲いたコマツナは「とう立ち」しており、葉がかたくなり甘みが失われておいしくありません。春は育成スピードが速くなるので、収穫時期を逃さないようにしましょう。
立ち枯れ病は、カビの菌糸が原因で発生する病気です。立ち枯れ病に感染すると、地上間際の株元から茶色や褐色に枯れ込んでくるのが特徴で、茎がやせ細ってきます。高温多湿の環境で育てると発生しやすい病気のため、風通しのよい場所で管理して、葉が茂る前に収穫するのがおすすめです。
炭そ病は、コマツナの葉や茎の部分に広く発生する病気です。感染した部分が黒色や褐色に変色するのが特徴で、葉の光合成が妨げられてコマツナが枯れる原因になります。放置すると腐敗が始まり悪臭を放つようになるため、ほかの部分への感染を防ぐためにも、早めに切り取って処分しましょう。
アブラムシは年間を通して発生し、コマツナの栄養分を吸汁しながら成長する害虫です。コマツナはアブラナ科に分類されているため、とくに被害を受けやすいといわれています。アブラムシを発見したら、数が少ないうちにガムテープなどに貼り付けて駆除しましょう。
ヨトウムシは「夜盗虫」と表記され、名前のとおり夜になると活動を開始する害虫です。葉が穴だらけになっているのに、害虫の姿が発見できない場合はヨトウムシを疑います。昼は土の中に潜んでいるので、株元に殺虫剤を散布するか、夜に見回りをして直接駆除しましょう。
出典:写真AC