キリンソウは、ノコギリのようにギザギザの葉をもつ多肉植物です。野生のキリンソウは、岩場や草原などのやや乾燥した地域に自生しているのが特徴で、開花時期には鮮やかな黄色の花を咲かせます。
園芸部類 | 多肉植物、草花、山野草、観葉植物 |
形態 | 常緑性多年草 |
樹高・草丈 | 10cm~50cm |
花の色 | 黄色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 落葉性、初心者向け、盆栽、寒さに強い |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
キリンソウはプニプニとした肉厚の葉をつけ、葉の外側にノコギリの刃のような切れ込みが入っているのが特徴です。小型タイプのキリンソウは、花壇の寄せ植えやロックガーデンにも利用できます。苔玉を使用して、小さく剪定しながら盆栽仕立てにするのも人気です。
名前の由来は?
キリンソウは「麒麟草」と「黄輪草」という2つ漢字で表記される植物です。「麒麟草」は中国の古書に登場する伝説上の動物「麒麟」が元になったといわれています。「黄輪草」は花を上から見ると、漢字のとおり黄色い輪っかにみえる性質に由来してつけられた名前です。
花言葉は?
キリンソウには「警戒しながら」「警戒」「要注意」という花言葉がついています。キリンソウは開花時期になると黄色い花を咲かせるため、信号の黄色に見立てて「要注意」や「警戒しながら」という花言葉がつけられました。
光岳麒麟草(テカリダケキリンソウ)
参考価格: 440円
光岳麒麟草(テカリダケキリンソウ)は乾燥に強く、水やりの回数が少なくて済むのが魅力です。原産地が南アルプスの南端にある「光岳」のため「光岳麒麟草」と名付けられました。
草丈 | 10cm〜30cm |
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開花時期 | 5月〜7月 |
秋の麒麟草(アキノキリンソウ)
参考価格: 770円
秋の麒麟草(アキノキリンソウ)は名前のとおり、秋に開花する品種です。11月上旬ごろまで開花を楽しめるのが特徴で、花が次々と泡立つように咲き誇る様子から「アワダチソウ」という別名でも親しまれています。
草丈 | 20cm〜80cm |
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開花時期 | 9月〜11月 |
植え付け時期 | 3月〜5月、9月〜10月 |
植え替え時期 | 3月〜5月、9月〜10月 |
肥料の時期 | 3月〜5月 |
剪定の時期 | 3月、9月、12月 |
花が咲く時期/開花時期 | 5月 |
キリンソウは、地植えでも鉢植えでも育てられます。草丈が低いので、花壇の寄せ植えにする場合は、ほかの植物よりも前面に植え付けましょう。鉢植えにする場合は、根詰まりを防ぐために、基本的には1つの鉢に1株ずつ植え付けてください。プランターの場合は、株間を20cmほどあけるのがポイントです。
キリンソウは、日当たりと風通しのよい場所で管理します。耐陰性はありますが、日光が全く当たらない場所に置くと、茎だけが間延びして花付きが悪くなるので注意してください。葉が密に茂るため風通しのよい場所で管理して病害虫被害を予防しましょう。キリンソウを室内で育てる場合は、レースのカーテン越しの窓辺など、優しく日光の差し込む置き場所で管理します。
キリンソウは排水性の高い用土で育てましょう。市販されている「山野草用培養土」や「観葉植物用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒に鹿沼土を加えた用土を使用してください。鉢植えの場合は水はけをよくするために、鉢底石や鉢底ネットを使用するのもおすすめです。
ロックガーデンで育てる場合は?
キリンソウは、ロックガーデンにも適している植物です。庭でロックガーデンに仕立てる場合は、吸水性の高い溶岩系の石を選び、自分好みの形に並べます。石の間に、パーライトなどの排水性の高い用土を入れてからキリンソウを植え付けてください。
キリンソウは多湿が苦手なため、年間を通してやや控えめに水やりをするのがポイントです。水の与えすぎは、根腐れを起こして枯れる原因になるので注意しましょう。キリンソウを地植えで育てている場合は、降雨のみで十分です。鉢植えの場合は、土の表面が乾燥してから2日〜3日後に水やりをしてください。
キリンソウは肥料を与えなくても問題なく育ちます。しかし、株を大きくしたい場合や成長が滞っている場合には、3月〜5月にかけて草花専用の液体肥料を規定の分量より薄めて与えてください。植え付けの用土に元肥として緩効性肥料を混ぜ込んだ場合は、元肥のみで十分育つため、追肥の必要はありません。
室内で育てている場合は?
室内で鉢植えや盆栽として育てているキリンソウに肥料を与えると、肥料独特の臭いが気になる場合があります。「有機質肥料」ではなく「化成肥料」を使用すると臭いが気になりません。また、化成肥料はコバエの発生を予防できるのも魅力です。
コナガは、体長5mm~10mmほどの小さなアオムシです。葉の裏側などの見つけにくい場所に寄生し、キリンソウの栄養分を吸汁しながら成長します。大量発生する恐れがあるため、水やりのときなどに、定期的に葉の裏側までチェックしながら管理してください。
立ち枯れ病は、カビの菌糸が原因で発生する病気です。感染すると下葉から枯れ込んでくるのが特徴で、用土に病原菌が残っているとまわりの株も次々としおれていきます。感染した部分は薬剤を散布しても治せません。ほかの部分への感染を防ぐためにも、早めに切り取って処分しましょう。
キリンソウは、花後に花がらを放置するとカビが発生しやすくなります。カビが原因の「灰色カビ病」に感染する恐れがあるため、花子はすぐに花がら摘みを行い株を清潔に保ちましょう。
キリンソウをポット苗の状態で購入する場合は、葉に適度なふくらみがあり、花芽のたくさんついている苗を選びます。葉の裏側までしっかりとチェックして、病害虫被害を受けていない苗を購入してください。
キリンソウの植え替えは、3月〜5月か9月〜10月に行います。根を傷めないように丁寧に鉢から取り出し、根についている古い用土を落としてから、新しい用土に植え替えましょう。根が大きく成長しすぎている場合は、根鉢を半分程度まで切り落としてから植え替えるのがコツです。
キリンソウは、夏場に直射日光に当てると、葉焼けを起こして枯れる恐れがあります。鉢植えの場合は軒下や室内に移動させ、地植えの場合は寒冷紗や遮光ネットを使用して30%〜40%ほど遮光してください。耐暑性は普通程度ですが、暑い時間帯に水やりをすると用土が蒸れて、根が腐ったり枯れたりします。そのため、涼しい時間帯に水やりをするのがおすすめです。
キリンソウは耐寒性が強く、地植えでも冬越しが可能です。落葉性のため、秋の終わり頃から葉が茶色く変色しはじめます。冬でも葉が残っている場合は、葉に雪や霜があたるとキリンソウが弱ったり枯れたりする恐れがあるので注意してください。寒冷地の場合は、マルチングをしてから冬越しさせると安心です。
キリンソウの株分けは、休眠期にあたる3月〜5月に行います。大きく成長した株を選び、根を傷つけないように丁寧に掘り起こしてください。根を手でほぐして、簡単に分かれる部分で株分けしていきましょう。根茎が硬い場合は、ハサミやナイフで切り分けても構いません。株分け後は、完全に根付くまで風通しのよい日陰で管理します。
キリンソウは挿し木でも増やせます。5月〜6月にかけて、若くて健康に育っている部分を選び、先端から15cm〜20cmほどの長さで切り取ってください。切り口を水に浸してたっぷりと水を吸わせてから、赤玉土などの挿し木用の用土に挿していきます。発根するまでは、水切れを起こさないように管理しましょう。
出典:写真AC