シモツケはバラ科の庭木で、漢字では「下野」と表します。これは下野(現在の栃木県)で発見されたことが理由です。シモツケ属に分類される種類は温帯に70種ほど存在し、シモツケ以外ではコデマリやユキヤナギがあげられます。シモツケは栽培しやすく、花や紅葉が美しいため初心者の庭木にもおすすめの植物です。
シモツケの原産地は、日本や中国、朝鮮半島ですが、その花と紅葉の美しさは高い評価を受けています。ヨーロッパやアメリカでも人気が高く、海外の庭でシモツケが見られることもめずらしくありません。
ボタニ子
園芸部類 | 庭木 |
形態 | 低木落葉樹 |
樹高・草丈 | 0.5~1.0m |
花の色 | 赤、白、ピンク |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 鑑賞用 |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
シモツケは、初夏に花をたくさん咲かせます。1つの花で見れば直径1cmにも満たない小さなものですが、大量に枝先にこぼれるように咲き乱れるため、見ごたえ十分です。花の色も赤、ピンク、白とバリエーション豊富で、花の少ない夏の庭を彩ります。
シモツケは落葉樹のため、紅葉します。たっぷりと花を楽しんだ後はオレンジ~黄色の葉を楽しめるため、通年で観賞価値が高い植物です。
シモツケは花が美しいうえ、育てやすい点が魅力です。耐寒性・耐暑性がともに強いため、庭に植えておけば難しい手入れをせずとも強健に育ちます。ガーデニング初心者の人や、忙しくて手入れの時間が取れない人にもおすすめの樹木です。
シモツケは成長の早さが特徴です。こんもりと茂るので、グランドカバーとしての働きも果たします。何株か並べて植えれば、背の低い生垣に仕立てることも可能です。ただし、鉢植えの場合は根詰まりや肥料切れを起こしやすいほど成長が早いので、毎年の植え替えが必要になります。
ダブルプレイレッド
参考価格: 1,865円
ダブルプレイレッドは、海外で品種改良されたシモツケの新品種です。通常の赤い花を咲かせるシモツケよりもさらに濃い赤を咲かせるのが特徴で、育てやすさは変わりません。新芽は黄色みがかっており、庭のアクセントにもなりますよ。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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サイズ | 5号ポット |
ゴールドフレーム
参考価格: 1,978円
ゴールドフレームはその名のとおり、葉に金色のフチが入ったような葉が美しい品種です。とくに紅葉期の葉が美しく、1本の木の中で黄色からゴールド、赤色と葉のグラデーションが生まれ、見ごたえがあります。低木で、高木の株元などに植えてコントラストを作りこむのもおすすめです。
おすすめ度 | ★★★★☆ |
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サイズ | 0.3~0.4m |
ホワイトゴールド
参考価格: 1,485円
ホワイトゴールドは、白い花とライトグリーンのコントラストが鮮やかな品種です。開花期には白く明るい花が、まるで霧のように咲き誇ります。明るい雰囲気の庭にしたい人におすすめです。
おすすめ度 | ★★★★☆ |
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サイズ | 5号ポット |
ピラルディー
参考価格: 1,998円
ピラルディーは、シモツケの品種の中でも個性的な花の付き方をします。猫じゃらしのような房がつく穂咲き品種で、風に揺れる様子が涼やかです。紅葉も美しく、夏~秋の終わりまで長く目を楽しませてくれるでしょう。
おすすめ度 | ★★★★☆ |
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サイズ | 0.8~0.9m |
シモツケによく似た見た目と名前をもつ植物に、「シモツケソウ」があります。シモツケソウはシモツケと同じバラ科・シモツケ属の植物ですが、シモツケは「庭木」であるのに対し、シモツケソウは「草(山野草)」の一種です。葉の形や花の付き方が異なります。購入の際は注意しましょう。
ボタニ子
シモツケソウの特徴や育て方について解説した記事はこちらからどうぞ。
植え付け時期 | 2~4月、11~12月 |
紅葉の時期 | 10~11月 |
施肥の時期 | 4月 |
剪定の時期 | 花後、2月 |
花が咲く時期/開花時期 | 5月~7月頃 |
シモツケの植え付け時期は?
植え付け時期は基本的には12月までに済ませましょう。霜が降りる地域では、なるべく早く根付かせるため、11月には終えます。また、梅雨時期は根腐れしやすいため植え付けはおこないません。
シモツケの開花時期は?
シモツケの開花時期は初夏です。花が終わった後、刈り込むともう一度脇芽から花が咲き、繰り返し花を楽しめます。
シモツケは鉢植えで栽培可能です。ただし成長が早いので根詰まりを起こしやすく、大きな鉢植えへの植え替えと定期的な施肥の必要があります。
シモツケは地植えも可能です。低木でこんもりとした形に茂るため、グランドカバーや高木の株元を彩るのにも重宝します。地植えの場合は、鉢植えのような定期的な施肥は必要ありません。
シモツケは耐寒性が強いため、通年で屋外の管理で構いません。鉢植えの場合も、ある程度の日当たりを好むため、屋外で管理します。
シモツケは日当たりのよい場所または、半日陰で育ちます。1日中日が当たらないような場所は避けましょう。落葉後は日光を必要としないため、鉢植えの場合は移動させても構いません。
地植えの場合は、土に腐葉土と少量の化成肥料を混ぜ込んで用土とします。鉢植えの場合は赤玉土小粒:腐葉土=6:4の割合で用土としたものに少量の化成肥料を混ぜ込んで、鉢底石を敷いた上から用土をいれましょう。あらかじめブレンドされた庭木の栽培用の土を使っても構いません。
地植えの場合の水やりは、夏場に地面が極度に乾燥したときに与える程度で十分です。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりとまとめて水やりをします。
シモツケは成育が早いため、肥沃な土を好みます。地植えの場合は土に腐葉土と化成肥料を最初に混ぜ込んでください。鉢植えの場合は4月ごろに株元に化成肥料をパラパラと追肥しましょう。
シモツケの主な害虫は、カイガラムシやアブラムシです。カイガラムシやアブラムシは、枝が込み合って風通しが悪くなるとつきやすいため、込み入っているときは剪定しましょう。あまりに害虫の数が多い場合は、株元にオルトランなどの薬剤散布が効果的です。また、枝が込み入っていると株の中にハチの巣ができるときもあるため、定期的な剪定をします。
ボタニ子
一度つくと厄介な害虫、アブラムシ、カイガラムシの対策について詳しくまとめた記事はこちらです。
シモツケは丈夫なため、かかりやすい病気はとくにありません。
シモツケは1回目の花が終わった後、刈り込むと新しく花をつけます。花期も長くなり花付きもよくなるため、花後は刈り込みましょう。刈り込みバサミで枯れた花ガラを落とすように丸く刈り込んでください。「花が終わったら刈り込む」を繰り返せば7月ごろまで次々と花をつけます。
葉がついている時期に苗を選ぶ場合は、葉の先が枯れて水枯れを起こしていないか、カイガラムシやアブラムシなどの害虫がついていないかをチェックします。落葉後の苗を選ぶ際は、枝の先が枯れていないか、主幹が枯れて空洞になってしまっていないかなどを触ってチェックしましょう。
シモツケは成育旺盛なため、鉢植えで育てる場合は毎年植え替えが必要です。2~4月または10~11月に植え替えします。一回り~二回り大きな鉢に植え替えてください。その際には新しい土に腐葉土や堆肥を混ぜ、少量の化成肥料も一緒に加えましょう。
シモツケの剪定は、花後の刈り込みと2月頃の刈り込みが基本です。また夏場でも枝が旺盛に伸び、株の中が込み入ってきていれば適宜剪定し、風通しをよくします。剪定は3月ごろまでには終えましょう。
シモツケの摘心は必要ありません。
シモツケは耐暑性も高いため、とくに夏越しの対策は必要ありません。あまりに乾燥した暑い日が続く場合は、水切れに注意する程度で十分です。
シモツケは冬越しの対策もとくに必要ありません。落葉後は日光を必要としないので、鉢植えなどの場合は日陰に移動させて管理するのもよいでしょう。
シモツケの基本的な増やし方は、挿し木です。挿し木の適期は6~7月で、成育旺盛な元気な枝を選び、10~15cmほどの長さに切り取ります。花がついている場合は取り除き、切り取った枝の根元を斜めにカットしてから挿し木用の土に挿しましょう。土に挿し木した状態で水やりを続け、発根を待ちます。
ボタニ子
挿し木できる植物の数は多く、コツをつかめばガーデニングライフが充実しますよ。挿し木について詳しい記事はこちらです。
シモツケの仲間にあたるコデマリやユキヤナギも小さな花をたくさん咲かせます。詳しい育て方についてはこちらをどうぞ。