鉢植え向きの桜の品種の条件とは
ここでは、鉢植え向きの桜の品種の条件について紹介します。前にも触れたように、桜は非常に種類や品種が多いです。それだけに好みだけで選ぶと「実は鉢植えに向かない品種だった」などといったことが起こりかねません。鉢植えに向いている桜の条件とは何か、ここで確認していきましょう。
樹高があまり高くならない
鉢植え向きの桜の品種の条件として、真っ先にあげられるのは、樹高があまり高くならないことです。どんな植物でも鉢植えで育てると、ある程度は樹高を抑えられます。しかし、樹高が高くなる品種は生長が早いので根詰まりが起きやすく、どうしても植え替えなどの作業が多くなってしまいます。この点でいえば、樹高が高くならない品種が多く属しているヒカンザクラ群や、マメザクラ群の桜がおすすめといえるでしょう。
小さくても豪華
株が小さくても豪華で見栄えが良いことも、鉢植えにする桜として大事な条件です。花びらが幾重にも重なって咲く八重咲きの品種や、花つきが非常によい品種、花色が濃いめで鮮やかな品種などがよいでしょう。
苗木を入手しやすい
意外と見落とされがちな条件が、苗木が入手しやすいことです。鉢植え向きで、自分の好みにも合っていたとしても、肝心の苗木が入手しにくい、または入手不可能だったでは話になりません。桜にはたくさんの品種がありますが、何らかの事情で専門店で扱っていなかったり、苗木が生産中止になっていたりで、苗木の入手が困難、または不可能になっている品種が存在します。欲しい品種の苗木が入手できるかどうか、事前に調べておきましょう。
気候条件に合っている
上記の苗木の入手と同じく、意外と見落とされがちなのが気候条件です。桜の耐暑性と耐寒性は、品種によって差があります。たとえばヒカンザクラは暖地性の品種なので耐寒性がやや弱く、寒冷地には不向きとされています。反対に高山性の品種であるチシマザクラは耐暑性が弱く、暖地での栽培は難しいです。桜を購入する際には、自宅の気候条件に合っているかどうか、事前に調べておきましょう。
おすすめの鉢植え桜の品種
ここからは鉢植えに向いた桜の品種を紹介します。盆栽で人気の高い桜や、コンパクトでありながら華やかな桜など、小さくても魅力あふれる品種がたくさんあります。好みにピッタリの理想的な桜も、きっと見つかるでしょう。
おすすめの鉢植え桜その①:旭山(アサヒヤマ)
まずは盆栽で非常に人気の高い品種、旭山です。一才桜とも呼ばれています。若木のうちから花をつける上に花つきがよく、小さな株いっぱいに八重咲きの綺麗なピンク色の花をつけます。耐陰性や耐寒性もあり、まさに鉢植えとしてもうってつけの品種といえるでしょう。開花時期は3月から4月です。場所を取らないので、キッチンやベランダでも育てられます。
おすすめの鉢植え桜その②:南殿桜(ナデンザクラ)
京都御所の紫宸殿(南殿)の南庭に自生していたことから、南殿桜と呼ばれるようになりました。ひな人形の飾りに欠かせない「左近の桜・右近の橘」の左近の桜とは、この南殿桜のことです。盆栽としても人気があります。旭山と同じく八重咲きの桜ですが、幹や枝が太いので重厚な雰囲気があり、小さくても風格が感じられます。花色は気品のある淡紅紫色で、開花時期は4月上旬頃です。
おすすめの鉢植え桜その③:御殿場桜(ゴテンバザクラ)
名前が示すように、現在の静岡県御殿場市周辺を発祥とする桜です。樹高はあまり高くありませんが、花つきが非常によいため、庭木や生垣としても利用されてきました。盆栽としても人気の高い品種です。花は淡紅色の一重咲きですが、小さくても株いっぱいに咲き誇るので、寂しく感じることはありません。独特の繊細な雰囲気があります。開花時期は4月上旬頃です。
おすすめの鉢植え桜その④:八重紅彼岸(ヤエベニヒガン)
八重紅彼岸(ヤエベニヒガン)は、マメザクラの雑種とエドヒガンを親とする品種です。中輪の八重咲きで花つきがよく、花色は淡紅色で、花が開くとややグラデーションがかかります。そのため満開になると、とても愛らしい雰囲気をかもし出します。しかも樹高があまり高くならないので、まさに鉢植えにうってつけの品種と言えるでしょう。開花期は4月上旬から中旬頃です。
出典:写真AC