サトウキビの概要
サトウキビは熱帯地域で栽培されているイネ科の植物で、草丈の高さは最大で6mになることもあります。育てるには複数の栽培条件をクリアする必要があり、これらをクリアすればプランターを使ってベランダで育てるといったことも可能です。ここでは基本情報や種類などについて解説します。
基本情報
科名 | イネ科 |
属名 | サトウキビ属 |
別名 | ウージ・うぎ |
原産地 | 東南アジア |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 強い |
育成適温 | 16~30℃ |
草丈 | 2~6m |
花色 | 白 |
ボタニ子
ちなみに江戸時代の奄美では「換糖上納」といってお米の代わりに黒糖を納めていたのよ。
種類
代表的な種類は3種類ある
サトウキビの代表的な種類は3種類あります。1つ目は「銅葉サトウキビ」です。葉の色が銅色になり、この色は日光にたくさん当たって育った証拠です。2つ目は「竹糖(ちくとう)」で、おもに四国地方で栽培され、和三盆の原料になります。草丈の高さはほかの品種より小さいのが特徴です。3つ目「バリエガツム」は、葉に白い斑が入っています。
最近では病害に強い飼料用もある
サトウキビは春に病害虫の被害を受け、それまで育てたものが一気にダメになることも多くありました。しかし最近では、病害に強い飼料用も登場しています。これは「やえのうしえ」という名前で、黒穂病やさび病に強いのが特徴です。さらに、大きく育つと倒れやすかったところを倒れにくく改良もしています。
用途
砂糖や燃料など用途はさまざま
サトウキビは、黒糖・白砂糖・ラム酒の原材料やバイオ燃料の原材料に使われています。黒糖が加工品のなかではよく知られていますが、これは白砂糖に精製する前のもののことで、亜鉛や鉄分などの栄養が豊富です。最近では、お茶やジュースにも加工されています。機会があればぜひ飲んでみてはいかがでしょうか。
栽培条件
栽培条件は4つある
健康的に大きくするには、「強日光」「水やり」「高温」「乾燥」などの栽培条件をクリアしなければいけません。強い日射しを好み、栽培する際の環境温度は、16~30℃が最適です。水をあげる際も夏はたくさん、冬は乾燥気味と変えて管理します。このような栽培条件をクリアすれば、立派に育てられるはずです。
サトウキビの育て方①植え方
サトウキビの植え方は、「春植え」「夏植え」「株出し」の3種類です。春植えと夏植えの植え方は行う時期が違うだけでやり方そのものは共通で、株出しのみやり方が違います。それぞれの栽培環境にあわせて、適したやり方を選びましょう。この項目では、3つの植え方について解説します。
春植え・夏植えでの植え方
おすすめは1年で収穫できる春植え
植える時期は春と夏の2種類で、おすすめは春植えです。夏だと刈り取り時期(春)までに育ちきれず、育成期間が春よりも長くなります。春植えだと、生育が盛んな夏に適したタイミングで育てることが可能です。置き場所は日光がよく当たる場所を選びます。しかし風が強い場所だと、風で隣同士の葉が揺れて触ると傷むため、適度な風除け対策が必要です。
ボタニ子
植え付けと刈り取りが重なる4月には、サトウキビの日(4月の第4日曜日)があるんですよ。
定植のやり方
定植する際の株間は、約30cm空けましょう。赤玉土と腐葉土で畑を作ったら、定植するところに溝を掘って苗を寝かせて置き、土をかけます。溝の深さは30cmほどにし、根が出て落ち着くまではこまめに水をあげて土を乾燥させすぎないようにしてください。芽が出るまで、だいたい2~3週間かかります。畑作りが難しい際は、市販の野菜の土で構いません。
プランターのやり方
プランターなら深めのタイプで育てることが可能です。株間は、定植同様に30cmほど空けてください。3年くらいで根詰まりするくらいに根が育つので、一年に一度植え替えしたほうがよいでしょう。植え替えする時期は春がおすすめです。肥料は鑑賞目的での栽培なら少なくて問題ありませんが、食用なら多めに与えます。
肥料はチッ素・リン酸・カリの量が、バランスよく配合されているものを選んでね。
株出しでの植え方
株出しは次年度以降に行う
株出しとは、一度刈り取りが済んだ苗を植えて芽を出させるやり方です。作業の手間が軽減でき、回数にすると3~4回ほど、株出しできます。初めはお店で購入した苗を春植えや夏植えで育てて刈り取りしてみて、次に植え付ける際に、この株出しをしてみるとよいのではないでしょうか。
植え方のコツ
- 植え方は春か夏に行うやり方と、株出しがある
- 春と夏なら、春に植えたほうが適している
- 風が強いところなら風除けしたほうがよい
- 定植のほか、プランターでも育てられる
- 使用する土は、一般的な野菜の土でいい
サトウキビの育て方②増やし方
栽培したものをさらに増やすには、挿し木と根伏せの2パターンのやり方が適しています。根伏せは挿し木のやり方の一つで、5~7月が適期です。これらの増やし方は、ほかの植物を増やすケースにも使えます。ここで挿し木と根伏せ、それぞれの増やし方をマスターして、栽培する場面で活かしていきましょう。
挿し木での増やし方
節を2ヶ所ほどつけて植える
サトウキビを増やす方法は、挿し木です。やり方は節をつけて適当な長さに切って植えます。植える際は、土に寝かせるように横に置いてください。節から新しい芽が出てくるので、しばらくは根が乾きすぎないように、頻繁に気にかけて水を与えて管理します。挿し木は、5~7月に行いましょう。
根伏せでの増やし方
根を少し切り取って植える
根伏せは挿し木のやり方の一つで、茎を切って挿すのではなく、根を切って植えます。根を切るので根伏せといいますが、切る部分が変われば呼び名も変わるのです。行うタイミングは挿し木と同じです。根伏せの手順は、根を数cm切り取り、挿し木同様に植えたら少しだけ土をかけてください。数週間経つと切った根から芽が出てきて育ちはじめます。
増やし方のコツ
- 増やし方には挿し木と根伏せがある
- 挿し木や根伏せをするのは5~7月がよい
- 乾燥しすぎないように水を与える
ボタニ子
続いては収穫・水やり・冬越しについて解説します。
沖縄をはじめとし、四国や九州地方でもたくさん栽培されています。