はじめに
欧米ではプランターというと、植物を育てるための容器のことで、鉢だけでなく室内で使う花瓶をさすこともあるようです。この記事では主に長方形の容器で家庭菜園を楽しむための、野菜や果物・ハーブなどを育てるプランター栽培について、詳しく解説していきます。初心者の方も自己流の方も栽培のコツと注意点をおさえて、プランター栽培を楽しみましょう。
プランター栽培とは?
ベランダなどもともと土のないところや、室内でも野菜を育てられるのがプランター栽培の特徴です。家庭菜園を始めるなら、人気の高いトマトなどの夏野菜の苗が出揃う時期、ゴールデンウィークがおすすめの時期です。種まきで育てるのは、春3〜4月と秋8月下旬〜10月ごろが適期です。
キッチンガーデンやポタジェにもおすすめ
家庭菜園には育てたものをすぐに調理して食卓に並べられる、手軽さと新鮮さがあります。病害虫対策に市販の農薬を使わず有機質肥料だけで育てる、こだわりの育て方もできます。コンパニオンプランツを組み合わせて、ハーブや草花を野菜と一緒に育てる、フランス式家庭菜園「ポタジェ」も人気です。
プランターの種類
プランターにもいろいろな種類があり、温度や湿度の管理はプランターの材質によっても違いがあります。初心者の方にもわかりやすく、種類ごとの特徴や使い方をお伝えします。
①野菜用の大型(深型)プランター
野菜用の深型プランター
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実物野菜を育てるなら、土がたっぷりと入る容量の大きなプランターを使いましょう。支柱が必要なトマトやナス・キュウリなどの夏野菜やエンドウやインゲンなどの豆類には、深さがありしっかりと根が張れるサイズが必要です。プラスチック製のプランターは薄さと軽さがメリットですが、夏や冬の時期は土の温度が変化しやすく、湿度がこもりやすいデメリットもあります。
②定番の長方形プランター
お花を育てる定番の横長タイプは、ほうれん草や水菜などの葉物野菜やハーブ類・イチゴなどを育てるのに向いています。葉物野菜はタネからの栽培で、適した時期は温度や湿度が安定している春と秋です。病害虫予防のネットをかぶせ、肥料を控えめにすると葉物野菜が味わいよく育ちます。
③エコなバッグ型プランター
リサイクル素材を使った、通気性のよいプランターバッグが家庭菜園で注目です。小ぶりな室内向きなど、大きさや形にもバリエーションがあります。土がたっぷり入る深型なら、ベランダでもじゃがいもを育てられます。じゃがいもは初心者の方でも栽培が簡単で、おすすめの野菜のひとつです。
④室内用の底面吸水プランター
キッチンのカウンターにも置ける、手ごろなサイズの室内用プランターもあります。水やりの簡単な底面給水タイプで、鉢皿がいらないのも魅力です。室内向きのスプラウトやミックスベビーリーフ、パセリやミントなどが簡単に育てられます。お料理にちょっとずつ使いたいものを、室内で育てるのにおすすめです。
⑤おしゃれなテラコッタ製プランター
素焼きの鉢にも、長方形のプランターとして使えるものがあります。通気性のよい素焼きは、湿度を抑えるのが特徴です。土を入れると重くなりますが、おしゃれな雰囲気でポタジェを楽しみたい方にぴったりです。底が平らなプランターは、レンガに乗せて通気性を保ち、病害虫の侵入を防ぎましょう。
⑥ナチュラルなウッドプランター
立ってお手入れや収穫ができる、本格的な野菜の栽培におすすめのウッドプランターです。深さもあり、土がたっぷり入ります。価格は高いですが、防腐塗料でメンテナンスすれば、長く使用できます。
プランター栽培の8つのコツ
プランターで野菜を育てて収穫する8つのコツをご紹介します。限られたスペースを有効に使って、効率よく収穫につなげるプロセスを、順を追って解説していきます。
プランター栽培のコツ①野菜に合わせたプランター選び
トマトやナスなどの実物野菜苗1ポットに対して最低必要な土の量は、12Lと考えてください。もちろん12L以上でも大丈夫です。しっかりと根が伸びる実物野菜には深型、根がそれほど伸びない葉物野菜には定番の横長のプランターを使います。上手に使い分けて、効率よく収穫しましょう。
プランター栽培のコツ②良質な培養土を使う
最も重要なポイントは、土質です。根を伸ばして栄養を吸い上げるベースとなるのため、水はけがよく良質な肥料分が含まれている市販の野菜用培養土がおすすめです。ブレンドする場合は赤玉土や鹿沼土の中粒に黒土と腐葉土を混ぜて、肥料を入れます。プランター栽培は、毎回新しい用土に入れ替えるのもポイントです。
プランター栽培のコツ③プランター向きの苗を選ぶ
例えばイチゴ苗にも、露地栽培向きやハウス向きなど品種によって育て方が違います。種苗メーカーの努力で、家庭菜園でも育てやすい野菜苗が増えています。ラベルの裏書きなどをチェックして、プランター栽培向きの品種を選びましょう。温暖地と寒冷地では温度や湿度などが違い、育てられる種類や時期が違ってきます。
プランター栽培のコツ④苗を詰め込まない
必要以上に苗を詰め込むと、苗が成長して風通しが悪くなり、土の湿度が高くなって結果的に収穫量が減ってしまいます。そんなときは、コンパニオンプランツを組み合わせるのがおすすめです。トマト苗の隣にバジルやイタリアンパセリを、ナス苗の隣にニラや青ネギを植えてみましょう。病害虫対策もできて風味も増し、お料理のメニュー作りにも役立ちます。
詳しくは、こちらの記事をどうぞ!
プランター栽培のコツ⑤季節に合わせて日当たりをよく
プランターで育てるときには、日当たりと風通しをよくすることも大切なポイントです。東向きや南向きがベストですが、環境に合わせてプランターを置く高さや向きを調整しましょう。簡単に置く場所を移動できるのも、プランター栽培の利点です。ガーデンラックなどを活用して、スペースを有効に使い、日当たりと風通しのよい環境を作りましょう。
プランター栽培のコツ⑥病害虫対策
病害虫対策は、早めの予防が大切なポイントです。春から秋は気温が上昇して、病害虫の影響が出やすくなります。野菜苗を植え付けてから1〜2週間後から、月に1度は殺虫殺菌剤をスプレーして、病害虫の予防をしましょう。葉や茎から吸収して効果が出ます。防虫ネットで覆うのも、病害虫に効果があります。
プランター栽培のコツ⑦コンパクトに仕立てる
露地栽培のトマト苗は高さが2mぐらいまで成長しますが、プランター栽培では地上部で120〜130cm、プランターを含めても150〜160cmぐらいで芯止め(成長点をカット)します。プランター栽培はコンパクトに育てることで、一つひとつの花芽に無駄なく栄養が行き渡ります。旨味がぎゅっと詰まったおいしい野菜が収穫できる、おすすめの方法です。
プランター栽培のコツ⑧こまめなお手入れ
プランター栽培の最大のメリットは、こまめにお手入れできることです。野菜を収穫するまでには、支柱やネットへの誘引、病害虫対策やわき芽をつむ摘芯など細かな作業があります。⑦で解説したように、コンパクトに仕立てることで、葉っぱの状態や花芽のつき具合、収穫のタイミングをこまめにチェックしやすくなります。
出典:写真AC