胡椒を栽培する前に
胡椒の栽培条件
栽培に挑戦する前に、まずは胡椒がどんな特徴を持った植物なのか調べておきましょう。現在世界で作られている胡椒の主な生産国は熱帯地方であるインドやベトナムです。そこで育つ胡椒の植物としての特徴をあげていきます。胡椒にはどんな環境が適しているのでしょうか。
分類 | つる性の非耐寒性常緑小低木 |
つるの長さ | 5~10m |
発芽適温 | 20~27℃ |
生育温度 | 10~40度 |
主要生産国 | インド(原産地)、ベトナム、インドネシア、ブラジル、 |
難関だらけの胡椒の栽培
寒冷地日本でも栽培はできるのか?
上記の胡椒の特徴から生育温度を考えた時点で、露地栽培は沖縄以外では難しいでしょう。そして胡椒の種は日本でも通信販売されていますが、種から栽培することは非常に困難といわれています。その一方、主要生産地の国々では挿し木からの育て方が一般的ですが、定植して果実をつけるようになるのには3年かかるのです。それではどうやったら日本で胡椒の栽培ができるか代替案を考えてみましょう。
寒冷地(日本)で胡椒を栽培するには?
生育温度の保持
寒冷地の場合、室内栽培がおすすめ
胡椒の栽培に当たっての適性気温を考えると、露地栽培が可能な地域は沖縄のみに限られてしまいます。ということで露地栽培は諦めて、気温の低い時期は室内に取り込めるプランターなどで栽培しましょう。日本での胡椒の栽培に適している時期は高温多湿な梅雨時になります。なるべくこの時期の状態に近づけるよう、水を絶やさず温度管理に気を付けましょう。夜間の最低気温が10℃を確実に上回る場合は屋外に出しても大丈夫です。
種からか苗からか
挿し木からの定植が一般的
種からの栽培が難しいとされている胡椒は、挿し木からの定植という形が一般的な育て方になっています。これに倣い、挿し木からある程度成長した苗木を購入しましょう。次の問題として10mに達するつる性の胡椒の管理ですが、実は胡椒にはつるにならない矮性の品種もあるのです。これは1mに満たない樹高でも結実することができるので、年内での収穫が可能となります。
栽培条件を克服するために
さて栽培条件はなんとか揃えられそうですね。ここまでに提示してきた条件でしたら、沖縄の露地栽培にこだわることなく寒冷地でも胡椒の栽培に挑戦することができます。それではもう一度、胡椒を栽培するための環境のポイントをまとめておきましょう。
寒冷地日本で胡椒を栽培するポイント
- 低温期は室内で温度管理できるよう、プランターで育てる
- 沖縄、もしくは梅雨時の環境をイメージして管理する
- つるにならないコンパクトなドワーフグリーンペッパーを栽培する
- すでに挿し木である程度成長した苗木を定植する
胡椒の育て方
さていよいよ胡椒の栽培に取り掛かるわけですが、育て方としては上記で述べてきたことに加える注意事項として、苗木が小さい内は外に出さないこと、直射日光によって葉が痛むのを避けることなどがあげられます。大変手間のかかる胡椒の栽培ですが、季節ごとのポイントを解説していきます。
初夏・まず環境を整えて
写真:すでに花穂の出てきたドワーフグリーンペッパー
日本で栽培する場合、春ではなく初夏が活動のスタートとなります。気温が十分に上がってから苗を植えつけましょう。ドワーフグリーンペッパーは成長しても1mほどですので、苗木の購入時点ですでに花穂が出てきている場合もあります。しばらくして新芽が動いてきたら環境に気をつけましょう。気温が安定しないうちは、一鉢用のビニールハウスなどを利用するとよいでしょう。湿度温度共に一貫して変化が出ないように管理することが大切です。
夏・直射日光は厳禁!葉焼けに注意
写真:夏の時期に開花を終え、実が膨らんでいくドワーフグリーンペッパー
高温多湿が最適な環境の胡椒ですが、意外にも直射日光で弱ります。夏の時期は直射日光に気を付けてください。葉が痛むとそれをきっかけに株が弱るので、日かげを作るか遮光シートなどで株を守りましょう。暑い時期は水切れにも注意しましょう。生産地ではスコールもありますので、朝夕に葉水を与えることも重要です。これはハダニの予防にもなります。また外気に当てたり外で管理する際は、ヨトウムシの侵入に気をつけましょう。
秋・収穫までもう少し!
秋は結実の時期です。みごとなぶどう状に育った胡椒は完熟させてもよいのですが、今回はグリーンペッパーということで、青い内に穂ごと切り取り取ったのちに粒に分けて乾燥、または生食でいただきます。実のなくなった株は来年もまた収穫できますから、現状維持で大切に育てて下さいね。気温が急激に下がる時期です。温度、湿度管理には十分気をつけてください。
冬・日あたりのよい室内へ
冬の時期は、胡椒を育てるに当たって一番神経を使う時期でもあります。引き続いての温度と湿度のの確保ですが、温度には気を使っていても湿度の管理が疎かになりがちです。乾燥の時期でもありますので葉水をしっかり与えてください。湿度は80%維持が望ましいです。ビニールハウスでも温度が足りないようでしたら、鉢ごとラップなどでくるむ方法もあります。温かい部屋に置き、胡椒には梅雨時が最適な環境だということを思い出してください。
胡椒の育て方のポイント
今回は購入した苗木からの栽培ということで、収穫までの流れをまとめてみました。挿し木からスタートする場合は結実までに期間がかかるかもしれませんね。それでも、手間がかかればかかっただけ収穫の感動もひとしおです。胡椒の栽培上のポイントは以下の通りになりす。
胡椒の育て方のポイント
- 定植直後は室内で管理すること
- 1年を通して極端な温度変化を与えないこと
- 気温は必要だが直射日光には弱いこと
- 気温だけでなく湿度も一定に保つこと
- 湿度は常に80%以上が望ましい。ハダニの防止も兼ねて常に葉水を与えること
- 温度を保つために、ビニールハウスやラップなどを使い、過保護なぐらいに防寒すること
写真:つるにならないドワーフグリーンペッパー